London Bridge is Broken down, Broken down, Broken down. London Bridge is Broken down, My Fair lady.

…。

いやー、ボクシングの醍醐味はいろいろありますが、大番狂わせもその一つです。

しかし、まさか…ここで?

だから大番狂わせなのですが。
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彫刻のようにビルドアップされたアスリートが倒れ、健康診断で生活習慣の改善を迫られるようなポッチャリがコーナーに向かって「終わったぞ」とドヤ顔を見せる。

この戦慄のコントラスト。

…私たちはボクシング史上最大の番狂わせを目撃したのかもしれません。



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①現代ヘビー級究極のメガファイトは消滅したか?➡︎YES

待望された無敗のヘビー級同士の激突。

2人とも今が全盛期。そして、1人は明らかな雑魚挑戦者を相手に軽く肩慣らし…。

同じようなシチュエーションは29年前にもありました。

無敵のアイアン・マイクが負けるはずのないバスター・ダグラスにやはり先制のダウンを奪ったものの、惨敗。

東京ドームのリングサイドで呆然と立ち尽くすイベンダー・ホリフィールドのなんとも複雑な表情が印象的でした。

そして、あの試合を境にタイソンでも倒れることを知った対戦者たちは、怯懦することなく攻め込んできました。

あの1試合で、タイソンは特別なオーラを完全に剥ぎ取られてしまったのです。

Ruiz took that aura from Joshua and, unlike alphabet belts, you never get that back.

ジョシュアもルイスにそのオーラを剥ぎ取られてしまいました。そして、それは世の中に溢れるアルファベットタイトルとは違い、一度失うと二度と手に入れることは出来ないのです。

ファンもメディアも魔法のガウンにも例えられるそのオーラを羽織ったままのボクサーの戦いに特別な思いを馳せます。

アンソニー ・ジョシュアvsデオンティ・ワイルダー 。

両者無敗のままで実現していたら、2人は飛び抜けてキャリアハイの報酬と注目を獲得していたはずです。

その意味で、ファンもメディアもワイルダー も痛恨の敗者です。

ルイスだけが勝者でした。


②ジョシュアはグラスジョーか?➡︎YES

ディリアン・ホワイト、アレキサンデル・ポベトキン、ウラジミール・クリチコ。ジョシュアのアゴを叩いた彼らによって29歳の元金メダリストのアゴがガラスで出来ていることは証明されていました。

しかし、豪快な勝利は小さな綻びを簡単に覆い隠してしまうのが常です。

赤ん坊かスモウレスラーのような体型のルイスが、美しくビルドアップされたジョシュアを破壊した様からは、退廃の臭いが立ち昇っていました。

ルイスの短い腕から繰り出されるボディブロウでシックスパックのジョシュアの腹が抉られ、シックスパックに仕上げることの出来ないアゴはさらに脆弱でした。

タイソンは「東京ショッカー」に沈んでからリング内外で迷走しましたが、そのアゴは意外にも鋼鉄製でした。ハートはガラス製でしたが…。

規律正しいジョシュアはリング外で醜態を晒すことはないでしょう。しかし、これからは誰もがそのアゴを狙い、自らはそのアゴに不安と恐怖を抱えながら戦い続けることになるのです。

日本時間日曜日の昼間に私たちが観たものは「まさか」でしたが、これからはそうは表現しません。

たった一文字しか違いませんが、ジョシュアがそのキャリアを続ける限り、私たちは「またか」と呟く試合をこれから先、何試合か見ることになるはずです。



③ヘビー級最強はルイスなのか?➡︎NO

日本時間の先週土曜日、WBC王者ワイルダー とリネアル王者フューリーが2020年上半期にリマッチを行うことで大筋合意しました。

ルイスはWBCを除く三つのアルファベットベルトをコレクションしましたが、再戦でジョシュアを返り討ちにしても最強とは認められません。

リング誌タイトルもステイクされるであろうワイルダー vsフューリーの勝者こそが、最強と見なされます。

しかし、これは未来の話です。

フューリーがトム・シュワルツに、ワイルダーがルイス・オルティスにそれぞれ勝利を収めることが大前提です。

あんなことが起きてしまった今、フューリーとワイルダー は負けるわけがないと笑える人はどこにもいません。

ルイスが防衛を重ね、ドーピング処分が明けてジャメル・ミラーもリングに戻り、ヘビー級の世界はスモウレスラーたちが支配する時代になるかもしれません。

まさに〝猿の惑星〟です。



④ジョシュアはダイレクトリマッチの条約を行使すべきか?➡︎NO

リマッチは英国で行われますが、ジョシュアの復活劇は大きなビジネスになるでしょう。

しかし、もしルイスに連敗するようなことになると全てを失うことになりかねません。

今回の敗戦の原因分析と、再戦での勝利を明確に見通せないならダイレクトリマッチは避けるべきです。

ジョシュアが戦いやすいボクサータイプをチェリーピックして手堅く再起すべきです。

今回の負け方は、ラッキーパンチ一発の交通事故には見えませんでした。タイソンvsダグラス同様に相性も最悪だった可能性大です。

タイソンが生涯、ダグラスとの再戦を拒否し続けたように、ジョシュアもルイスとは距離を置くべきかもしれません。

タイソンは、ダグラスが病気や敗戦でリングを離れがちになり興行として魅力十分の再戦でも回避する言い訳をいくつもこねることが出来ました。

しかし、ルイスが防衛し続けるケースはもちろん、王座を追われても第一線に踏み止まっているなら、ジョシュアはいつまでも逃げるわけには行きません。



⑤赤ん坊顔のスモウレスラー、ルイスは強いのか?➡︎おそらくはYES

ジョシュアとの7ラウンド、3ラウンドにダウンを奪われた瞬間を除いてルイスが主導権を握っていました。

頭を振って鋭い踏み込みから左からジャブを起点にインファイトに持ち込み、短い腕を活かした回転力のあるコンビネーションを同い年の超エリートに叩き込む作戦は完全にハマりました。

急遽決まった代打出場の完全アンダードッグが、これほどのパフォーマンスを魅せたのは、歴史的にもパッキャオとルイスだけでしょう。

ジョセフ・パーカーに完敗してるとはいえ、ルイスは二流の立ち位置でした。

つまりはボクシングに100%集中する環境ではなかったのです。

2017年に1試合も戦わなかったのは、前の年にパーカーに敗れた心身を癒すためではありません。

建設現場などで働き、生活費を稼ぐ必要に迫られたからです。

この大勝利でもう生活のために建設現場で働く必要はないでしょう。ボクシングに集中することで、もう一段上のレベルに上がるかもしれません。