日本時間4月21日(日)ニューヨーク マディソン・スクエア・ガーデン

WBOウェルター級タイトルマッチ 王者テレンス・クロフォードvs挑戦者アミール・カーン



クロフォードが34戦全勝25 KOの31歳、対するカーンは37戦33勝KO4敗の32歳。

ともに、ライト級から持ち前のスピードを鈍らせることなくクラスを上げてきたスター選手で、年齢もキャリアも近似していますが、現時点のメディアやファンは両者の優劣をはっきり認識しています。

無敗のままPFPキングを争うポジションに登り詰めたクロフォードと、勝たなければいけない試合を落としビッグマッチでことごとく敗れた〝クロフォードになれなかった〟カーン。

年齢は1歳しか違わないとはいえ、クロフォードは今が全盛期のフレッシュなスーパースターで、カーンはスターダムから何度も転がり落ちた傷だらけの元スーパースター候補。

時系列は違えど、ある時点まで二人ともに明日のボクシング界を背負うホープでした。

その階段を順調に駆け上がったクロフォードと、転がり落ちたカーン…二人が絵筆を振るった未来のカンバスは、残酷なまでに反対色の絵の具で塗り重ねられてきました。

現時点のオッズはカーンの母国英国のウィリアムヒルでクロフォード勝利1/12(1.08倍)、カーン7倍。米国のブッカーではカーン12倍の数字も見られます。

しかし、カーンがひっくり返そうとしているのは試合のオッズだけでなく、ボクシング人生そのものの大番狂わせです。

2004年のアテネ五輪で銀メダルを獲ってからカーンは「頂点」だけをひたすらに目指してきました。

フロイド・メイウェザーとの対戦を熱望し、マニー・パッキャオにも何度もオファーを送り続けてきました。

メイとパックと戦うメガファイトが実現しないとなるや、周囲の反対を押し切って体重差のあるカネロ・アルバレスにも挑みました。

そして、明日また「無謀な挑戦」「また失神KO負けする」と揶揄されながもマディソン・スクエア・ガーデンのリングに上がります。

試合をPPV生中継するESPNで集計した専門家の予想は10人全員がクロフォードを支持。しかも、全員がKO決着になると見ています。

リング誌でも23人の全員がクロフォード勝利を推しています。

トレーナーのルディ・エルナンデスは「クロフォードは私のPFPランキングでNo.2(一番は井上尚弥)。カーンはまだ終わったボクサーではないが、クロフォードがKOするだろう。ただ、クロフォードが安全策を取れば判定までもつれる。そうなったらリプレイでは観たくない、つまらない試合になるだろう」と判定もありうると予想していますが、それでも王者勝利は揺るぎません。

しかし、一方的な〝結果〟予想にもかかわらず〝展開〟予想は「序盤はカーンがポイントをリードする」という見方が大勢です。

序盤からスピード全開で走るカーンと、どんな試合でも慎重に立ち上がるクロフォード。今回も、両者の入り方は変わらないと予想されています。

そして、カーンと戦う相手が全てそうであるように、クロフォードにとってもカーンは「キャリア最速の相手」です。

ESPNの見立てでもパワー、テクニック、相性で王者が優っているとしながらも、スピードはカーンに分があると分析しています。

カーンも「クロフォードは評価通りの素晴らしいボクサー。だからこそ私は彼と戦いたいのだ。私が彼を明らかに上回っているのは体格とスピード」と自信を見せています。

確かに身長は、カーン(174㎝)が王者(173㎝)をリードしています。今日の計量を見ても。わずか1㎝の差には見えないです、もう少しありそうです。

しかし、クロフォードのリーチは188㎝、カーンの180㎝を大きく上回ります。

さらに、スピードはどうでしょうか?

個人的にも、単純なハンドスピードはカーンが上だと思います。しかし、ボクシングで有効なスピードとは手と足と体、全ての連動です。そして、最も重要なことは相手に馴化されないスピードです。

スピードとパンチの精度、馴化されにくいスピード、を考えるとクロフォードがずっと上です。
今日行われた前日計量ではクロフォードが146.6パウンド、カーン146.6パウンドで両者とも一発クリア。 

二人とも仕上がりは良さそうです。

英国の英雄とイスラム教徒の悲哀を背負ってきたカーンに、頑張って欲しい思いはありますが、今回も相手が悪い…悲観的な予想しか立てることが出来ません。

クロフォードが様子見を終えた段階で、ノックアウトのカウントダウンが始まる、そんな展開になるでしょう。