スペンスvsマイキーの回想から、マニー・パッキャオの史上唯一の⒏階級制覇についてあらためて考え直してみます。
私は、エロール・スペンスには防御面で重大な欠陥があると考えていました。
私は、エロール・スペンスには防御面で重大な欠陥があると考えていました。
攻撃時に、相手の射程距離にもかかわらず、顔面がガラ空きになるシーンを何度も見ていたからです。
防戦一方の弱い相手なら問題はなくとも、マイキー・ガルシアはその一瞬の瑕疵を見逃さない、そう予想していました。

スペンスという俊才は、いつかこっぴどいカウンターを食らって天井のライトを見上げることになる…確信に近い予感がありましたが、恐らくそれは間違いでした。
先日のマイキー戦では、打ち終わりにガードが緩くなることはもちろん、攻撃時に無防備になることもありませんでした。
ディフェンスに見られる欠陥、そう考えられていたのはクセではなく、相手がそこを突くスピードも技術も持っていないことを見越していただけだったのです。
しかるべき相手と戦うときは、きっちりと張り出すことが出来るバリアをスペンスは隠し持っていました。
生中継したWOWOWでは「階級の壁、というよりはスペンスの壁」(浜田剛史)という指摘は、その通りです。
もし、相手がThe Truth(本物)ではなくルーカス・マティセやジェシー・バルガス、あるいはダニー・ガルシアら、スペンスよりも技術的に何枚も落ち、生粋のウェルターでない相手なら違う結果になっていたのではないでしょうか。
もちろん、2019年3月16日土曜日の段階で彼らはベルトを持っていませんし、何よりもマイキー自身が穴王者(現時点のウェルターでは見当たりません)ではなく推定最強のスペンスだからこそ、この試合を熱望したのですから、このイフはありえません。
「スペンスの壁」というロジックも「推定最強王者」「標準的な王者」「穴王者」など意味不明の言葉が当たり前に飛び交う現代のボクシング界の病理を映し出す鏡でしかありません。
まともなスポーツには、何人もチャンピオンが並立するなんてことは絶対にありえません。
サッカーW杯の決勝は厳しいトーナメントを勝ち残った二国で争われる正真正銘のチャンピオンシップですが、W杯出場の実力すら無い二カ国が訳のわからない「世界王者決定戦」を争うなんて支離滅裂なことがまかり通っているのがボクシングの世界です。
「ずっと一貫して一番強い奴に勝ってチャンピオンになる、と発言してきた私を誰もが賞賛してくれるが、私は当たり前のことを言っているだけだ。私を褒める世界の方が間違っている」(マイキー・ガルシア)。
この本来あるべき実体を歪めて映しだす、醜悪で卑しい鏡を打ち砕こうとしたのがマイキーでしたが、その拳は虚しく跳ね返されてしまいました。
あらためてその実力を証明したスペンスにしても、最強王者の上に付けられる「推定」というタンコブを除去するには至っていません。
これほどのメガファイトに勝利しても、腰に巻いているのはIBFとWBCダイアモンドというアルファベットタイトルだけで、リング誌王者ですらありません。
テレンス・クロフォードに勝つ、その日までそのタンコブを消すことは出来ないのです(その前にクロフォードがコケたらとかは別の話)。
マイキーに話を戻すと、ウェルターバージョンの彼は私たちがよく知っている優秀なボクサーの拡大版ではありませんでした。
いつもよりも鈍重で、反射も遅く、常に正確に奏でてきたリズムまでがその音階は最後まで狂いっぱなしでした。
素晴らしいボクシングを披露したスペンスとの比較で相対的にそう見えてしまった可能性もありますが、それだけではないでしょう。
先日のマイキー戦では、打ち終わりにガードが緩くなることはもちろん、攻撃時に無防備になることもありませんでした。
ディフェンスに見られる欠陥、そう考えられていたのはクセではなく、相手がそこを突くスピードも技術も持っていないことを見越していただけだったのです。
しかるべき相手と戦うときは、きっちりと張り出すことが出来るバリアをスペンスは隠し持っていました。
生中継したWOWOWでは「階級の壁、というよりはスペンスの壁」(浜田剛史)という指摘は、その通りです。
もし、相手がThe Truth(本物)ではなくルーカス・マティセやジェシー・バルガス、あるいはダニー・ガルシアら、スペンスよりも技術的に何枚も落ち、生粋のウェルターでない相手なら違う結果になっていたのではないでしょうか。
もちろん、2019年3月16日土曜日の段階で彼らはベルトを持っていませんし、何よりもマイキー自身が穴王者(現時点のウェルターでは見当たりません)ではなく推定最強のスペンスだからこそ、この試合を熱望したのですから、このイフはありえません。
「スペンスの壁」というロジックも「推定最強王者」「標準的な王者」「穴王者」など意味不明の言葉が当たり前に飛び交う現代のボクシング界の病理を映し出す鏡でしかありません。
まともなスポーツには、何人もチャンピオンが並立するなんてことは絶対にありえません。
サッカーW杯の決勝は厳しいトーナメントを勝ち残った二国で争われる正真正銘のチャンピオンシップですが、W杯出場の実力すら無い二カ国が訳のわからない「世界王者決定戦」を争うなんて支離滅裂なことがまかり通っているのがボクシングの世界です。
「ずっと一貫して一番強い奴に勝ってチャンピオンになる、と発言してきた私を誰もが賞賛してくれるが、私は当たり前のことを言っているだけだ。私を褒める世界の方が間違っている」(マイキー・ガルシア)。
この本来あるべき実体を歪めて映しだす、醜悪で卑しい鏡を打ち砕こうとしたのがマイキーでしたが、その拳は虚しく跳ね返されてしまいました。
あらためてその実力を証明したスペンスにしても、最強王者の上に付けられる「推定」というタンコブを除去するには至っていません。
これほどのメガファイトに勝利しても、腰に巻いているのはIBFとWBCダイアモンドというアルファベットタイトルだけで、リング誌王者ですらありません。
テレンス・クロフォードに勝つ、その日までそのタンコブを消すことは出来ないのです(その前にクロフォードがコケたらとかは別の話)。
マイキーに話を戻すと、ウェルターバージョンの彼は私たちがよく知っている優秀なボクサーの拡大版ではありませんでした。
いつもよりも鈍重で、反射も遅く、常に正確に奏でてきたリズムまでがその音階は最後まで狂いっぱなしでした。
素晴らしいボクシングを披露したスペンスとの比較で相対的にそう見えてしまった可能性もありますが、それだけではないでしょう。
無敗のまま破竹の快進撃を続けるボクサーは、99.9%が致命的な欠陥を魔法のガウンで隠した裸の王様です。
彼らが天下無双に見える理由は、簡単です。その理由はたった一つしかありません。
相手が弱いから、です。
そして、このガウンを剥ぎ取られない方法は三つしかありません。
一つ目は、退屈極まりない負けないスタイルを確立した「フロイド・メイウェザー」になることです。
二つ目は、勝手知ったる自分の浅瀬から絶対に沖に出ない漁師のような「リカルド・ロペス」になること。
この二つはいずれも「退屈でも絶対に負けない」「浅瀬では完璧な漁が出来る」という超高等技術が要求されます。
そして最後の三つ目は「エドウィン・バレロ」になるか、です。
二つ目は、勝手知ったる自分の浅瀬から絶対に沖に出ない漁師のような「リカルド・ロペス」になること。
この二つはいずれも「退屈でも絶対に負けない」「浅瀬では完璧な漁が出来る」という超高等技術が要求されます。
そして最後の三つ目は「エドウィン・バレロ」になるか、です。
ついにまともな相手とは一度も戦うことがなかったバレロは、あらゆるメディアから「ガードが低いのに頭の動きが乏しい」「多くの時間で口を開けたまま(打たれたら効く)」「序盤ですらパンチが流れる」…と、そのパワーよりも欠陥が指摘されることの多いボクサーでした。
しかし、その数え切れない欠陥は、もはや誰も突くことなど出来ません。三つ目は余計でした。
マイキーはメイウェザーのように全盛期の強豪を周到に回避することもなく、ロペスとは違い沖合の大魚を目指して出航しましたが、階級の壁に弾き飛ばされてしまいました。
無敗王者のまま引退することは、現代では難しいことではありません。穴王者からベルトを奪って(あるいは決定戦で訳のわからない相手に勝って)、雑魚挑戦者とゆるいダンスを踊っていればいいのですから。
しかし、勝手知ったる浅瀬から沖合に出て、複数階級制覇を目指すとなると、危険も伴います。
今回のマイキーや、ローマン・ゴンザレスの蹉跌はもちろん、穴王者相手でも一発殿堂の伝説エリック・モラレスがデビッド・ディアスに敗北を喫するなど、20世紀ほどではないにせよ「階級の壁」は現代でも明らかにそそり立っています。
この壁を8枚も突き破り、史上唯一の8階級制覇を達成したマニー・パッキャオがいかに変態的なボクサーであるか、マイキーの挫折を目撃した世界中のファンがあらためて驚嘆しています。
「パッキャオほど世界を驚かせたボクサーはいない」。リング誌のマドンナ、シンシア・コンテにとってもパッキャオは特別な存在です。
「フライ級王者がウェルターで無双していたなんてありえない。しかも今も王者だ」「ジュニアミドルでも小さなパッキャオが大きなアントニオ・マルガリートを追いかけ回した。上の階級ではボクシングしなければ通用しないはずなのに、なぜかパッキャオはいつも攻撃的だ」「激闘型なのに8階級制覇、40歳でもまだウェルターで王者。全てが理解に苦しむ」…。
そして、いまだに「ドーピング以外に説明できない」という根拠のない誹謗も少なくありません。
アジアから太平洋を渡って米国を震撼させた怪物について、あらためて考えてみます。
マニー・パッキャオとは何者なのか?
マイキーはメイウェザーのように全盛期の強豪を周到に回避することもなく、ロペスとは違い沖合の大魚を目指して出航しましたが、階級の壁に弾き飛ばされてしまいました。
無敗王者のまま引退することは、現代では難しいことではありません。穴王者からベルトを奪って(あるいは決定戦で訳のわからない相手に勝って)、雑魚挑戦者とゆるいダンスを踊っていればいいのですから。
しかし、勝手知ったる浅瀬から沖合に出て、複数階級制覇を目指すとなると、危険も伴います。
今回のマイキーや、ローマン・ゴンザレスの蹉跌はもちろん、穴王者相手でも一発殿堂の伝説エリック・モラレスがデビッド・ディアスに敗北を喫するなど、20世紀ほどではないにせよ「階級の壁」は現代でも明らかにそそり立っています。
この壁を8枚も突き破り、史上唯一の8階級制覇を達成したマニー・パッキャオがいかに変態的なボクサーであるか、マイキーの挫折を目撃した世界中のファンがあらためて驚嘆しています。

「フライ級王者がウェルターで無双していたなんてありえない。しかも今も王者だ」「ジュニアミドルでも小さなパッキャオが大きなアントニオ・マルガリートを追いかけ回した。上の階級ではボクシングしなければ通用しないはずなのに、なぜかパッキャオはいつも攻撃的だ」「激闘型なのに8階級制覇、40歳でもまだウェルターで王者。全てが理解に苦しむ」…。
そして、いまだに「ドーピング以外に説明できない」という根拠のない誹謗も少なくありません。
アジアから太平洋を渡って米国を震撼させた怪物について、あらためて考えてみます。
マニー・パッキャオとは何者なのか?
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