そろそろ本気出したっていいんですよ。

かつて鬼か神かの活躍を魅せた母国だからといって、手加減していただかなくても構いません。

オープン戦がアップに過ぎないのは、いつものことだとわかっています。

それでも…。

あんなボール、どこにだって思い通りに打ち分けられるはずです。

あなたのバットが簡単に空を切るなんて、きっと何かの間違いです。

ツーストライクまで追い込まれたあなたが、ストライクをあっさり見逃すなんて、きっと私は悪い夢を見てるのでしょう。
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50歳までやる。

その言葉が伊達や酔狂でないことは、日本中の誰もが知っています。

まだまだ本気を出していないのもわかっています。

応援するしかないのもわかっています。

それでも、稀代のヒットメーカーが何でもないボールを空振りするのを目の当たりにするのは、本当に辛いのです。

世界史上最高の外野手の一人が、平凡な飛球に対して素人目にも走り出しが遅れるのを見るのが、痛いほどに辛いのです。

「そのバットには何か仕掛けがある」と驚愕されたバットコントロール。

ライトから放たれる「レーザービーム」のどこまでも真っ直ぐな光線美。

45歳。

MLBプレイヤーとしては稀有な数字です。

誰にでもわかる圧倒的なパフォーマンスだけでなく、伝説の記録をいくつも塗り替えることで、ファンを何度も時間旅行にも誘ってくれました。

まだまだ、歴史の1ページにはなりたくないのでしょう。

いいえ、国民栄誉賞を二度も固辞したのですから、金メッキの立派な銅像になるよりも、生身のアスリートとして、永遠にのたうち回り続けたいだけなのかもしれません。

見るのが辛い、なんて書いてしまいましたが、もしかりたらその受けとめ方が間違っているのかもしれません。

まず、今、日本の野球ファンは今、非常に上質なエンタテインメントの大団円を目撃していることは違いありません。

いいえ、もしかしたら東京ドームのイチローは、一年のブランクでこびりついたサビを落としているだけなのかもしれません。

そうだとしたら…いやいや、きっとそうです、これは次なるクライマックスの布石に過ぎないのです。

物語はまだまだ、続きます!