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史上唯一の八階級制覇を成し遂げたマニー・パッキャオは、この勝利でウェルター級王座を4度獲得、ジャック・ブリトンとエミール・グリフィスの持つ記録「3」を更新しました。

数時間前にオーダーメイドのルーカス・マティセに圧勝したマニー・パッキャオは、今年12月で40歳を迎えます。

足掛け24年、実際にはストロー級のリミットも割り込んでいたデビュー戦から13階級で戦い続けて、ここまで69戦60勝(39KO)7敗2分。

身長166㎝(WOWOWでは169㎝と紹介されていましたが、Boxrecなどの166㎝が正確でしょう)、普段の体重でも65㎏を下回り、トレーニングで筋肉をつけて増量して臨んできた小さなフィリピン人の肉体が過酷な戦いで傷み、加齢によって大きく劣化していることは明らかです。

ウェルター級では凡庸なマティセを易々と攻略したパッキャオですが、かつて得意とした巨人狩り(2008年:オスカー・デラホーヤ戦/2010年:ジョシュア・クロッティ戦/2010年:アントニオ・マルガリート戦)に必要な敏捷性が完全に喪失してしまっていることは、ジェフ・ホーンに押された一戦からも見て取れます。

一方で衰えたとはいえ、ティモシー・ブラッドリーやジェシー・バルガスらウェルター級の第一グループを相手に完勝できる戦力をいまだに残しています。

体格で押されたとはいえ、ホーン戦にしても多くのメディアが指摘したように「盗まれた判定」と断じていい内容でした。
 
下の階級でトップ戦線を走っていたマティセをスピードだけではなくパワーとプレッシャーでも圧倒したのは流石ですが、ボクシングの定石通りに敏捷性は失ってもパワーは衰えないということでしょう。

この試合前、ボブ・アラムは「ワシル・ロマチェンコの次の試合の有力候補はパッキャオ」と語っていましたが、パッキャオのパワーがまだまだ健在であることを見せつけられて軌道修正するのは間違いありません。

オーソドックスなホルヘ・リナレスのスピードとパワーを持て余したハイテクには、トリッキーなエッセンスをまぶしたパックマンの波状攻撃は荷が重いかもしれません。 

パッキャオの復帰戦をクアラルンプールから世界にストリーミングしたESPNが「マニー・パッキャオは次に誰と戦うのか?」を早速アップしているので拙訳します。


🌃ジェフ・ホーン🌃

ジェフ・ホーンとのリマッチ、ホーム&アウエイで今度はフィリピン開催なら大いに盛り上がるはず。

前回の試合は王者パッキャオが敵地に乗り込むという形だっただけに、母国凱旋で雪辱を果たすという構図は、2006年(オスカー・ラリオス戦)以来の英雄の帰還に花を添えるはずだ。


▶︎▶︎▶︎外国人王者が防衛戦で日本に来るのは当たり前ですが、本来は逆であるべきなんですよね。プロの世界、商売の世界ですから致し方ないのですが。


🌃テレンス・クロフォード🌃

米国でしか戦ったことのないクロフォードは、滅多なことでは異国のリングに上がらないだろうから、対決のリングはラスベガスかテキサス、ニューヨークに組み上げられるはずだ。

しかし、パッキャオ陣営は、PFPのNo.1に推されることもあるクロフォードとの危険な一戦には相応の報酬とPPVの歩合を要求してくるだろう。


▶︎▶︎▶︎パッキャオとクロフォードの人気格差を考えると、クロフォードが条件面で大きな譲歩を強いられそうです。


🌃エロール・スペンスJr.🌃

現IBF世界ウェルター級王者。24戦全勝21KOの28歳は、現時点では大きな人気を獲得できていない。

しかし、メガファイトのためなら海外に出ることも厭わない性格だから、フィリピンのリングでも上がるだろう。


▶︎▶︎▶︎若さとスピード、勢い…パッキャオが失ったものを全て持ち合わせているスペンスとは分が悪いでしょう。


🌃ダニー・ガルシア🌃

 昨年対戦交渉があったパッキャオvsガルシア。

ガルシアがキース・サーマンとの統一戦を選んだために実現しなかったカードだが、今なお魅力的なマッチアップだ。


▶︎▶︎▶︎ブランドン・リオスという共通の対戦相手をプリズムにして両者を見ると、勝ちっぷりはガルシアでしたが、パッキャオのテクニックに翻弄されると見ます。


🌃キース・サーマン🌃

9歳若いサーマンだが、パッキャオとは体のサイズがほとんど同じ。パッキャオ同様、KO狙いから離れて安全運転の試合が続いている。

しかし、本来がファイターの二人が激突したとき、壮絶な打撃戦になる可能性も十分期待できる。

スペンス、ガルシア、サーマンとパッキャオの対決は非常に興味深いが、プロモーターとテレビ局の壁が大きく、実現にはいくつものハードルをクリアしなければならない。


▶︎▶︎▶︎日本びいきのサーマンは大好きなボクサーですが、怪我が多い、多すぎます。この3年間で2試合しかこなせていないのは残念です。 

*****バーナード・ホプキンスは49歳まで世界王者を張り、前人未到の長寿王者となりましたが、その背景には「死刑執行人」から「エイリアン」へのフルモデルチェンジがありました。

長寿王者であるために、あらゆる知恵とオプションを駆使したのです。

ホプキンスの偉大さは否定のしようもありませんが、人気と報酬で世界のトップに立つことはついにありませんでした。

ホプキンスの戦いには節制と努力と頭脳が結晶していました。他のスポーツなら、これが全てです。しかし、ボクシングでは最大の売り物は勇気です。

勇気を売りさばくボクサーは、激しい消耗から長寿王者たることは稀です。

モハメド・アリが「キンシャサの奇跡」を起こしたのは1974年、32歳のときでした。レオン・スピンクスに奪われた統一ヘビー級王座をダイレクトリマッチで取り返したのが1978年、36歳。

シュガー・レイ・レナードがマービン・ハグラーを薄氷判定で下したのは1987年、30歳でした。

ロベルト・デュランがアイラン・バークレーを倒して四階級制覇に成功したのは1989年、37歳になっていました。

39歳のマニー・パッキャオは、これからどこへ向かうのでしょうか?