17連続KO防衛を続けていたゲンナディ・ゴロフキンが、2試合続けて判定に持ち込まれ、昨年から指摘されてきた劣化が誰の目にも明らかになりました。
もちろん、この2試合の相手、ダニエル・ジェイコブスとカネロ・アルバレスは、2010年に暫定世界王者決定戦でKOしたミルトン・ヌネスを含めた18人とはレベルが違う相手でしたが、世界王者になってから7年、35歳になったGGGが全盛期を過ぎていることは間違いありません。
セルヒオ・マルチネスにミゲール・コット、ピーター・クイリン、ビリー・ジョー・サンダース、そして時間稼ぎに執着したカネロ…人気やタイトル・地位という既得権益を失うことを恐れた実力者は、GGGとの対戦をあからさまに回避してきました。
しかし、その実力を畏怖して遠巻きに眺めていたカザフスタンの英雄が衰えを見せたことで、ミドル級戦線の状況は一変しました。ゴロフキンの周囲に、実力者やビッグネームが急に群がり始めたのです。死臭を嗅ぎつけたハイエナのような連中です。
【2013年3月17日モンテカルロ。アメリカを代表するプロスペクト、27戦全勝24KOのジェームズ・カークランドを初回で屠り、かつてPFP3位まで上り詰めたポール・ウィリアムスと、WBO王者ディミトリー・ピログにも判定勝負に持ち込んだタフな石田順裕でしたが、全盛期のGGGの前では何も出来ない生贄の羊でした。この当時は、多くの実力者がGGGを回避、カザフスタンの好漢は「私と戦ってくれてありがとう」という感謝の言葉をいつも対戦相手に捧げていました。】
まず、WBAスーパー、WBC、IBFのベルトを巻くGGGと、リング誌認定王者でマルチネスからの正当王者(リネラル王者)の系譜を継ぐカネロは、来年5月のシンコ・デ・マヨ週間でのリマッチが内定。この勝者が、現在のボクシング界で最も価値の高いステイタスを手に入れることになります。
そして、全階級を通じてボクシング界の中心となるであろうこの勝者のステイタスを強奪しようと、ミドル級はもちろん、周辺階級の強豪たちまでもが次々と名乗りを上げているのです。
WBO王者のビリー・ジョー・サンダースはデビューから25戦、英国に引きこもり、強豪を徹底的に回避、最近は人気者アミール・カーンとのローリスク・ハイリターンの対戦に乗り気でしたが、GGGの衰えを見て心変わり。12月16日、ついにアウエーのリング、強打のデビッド・レミューの地元モントリオールに乗り込みます。アウエーとはいえ、英連邦のカナダ、両者のサポーターは互角に近い観客席を埋めると見られていますが、注目の一戦です。
サンダース、レミューともに「この試合に勝って、GGGとカネロの勝者と戦う」と、この戦いがミドル級ウォーズの〝準決勝〟だと主張しています。サンダースに至っては「(GGGにKO負けした)レミューは犬の食べ残した餌だ。レミューなんていう残飯は問題にならない、俺が興味あるのはその犬っころだ」とトラッシュトークを炸裂させています。
そして、GGGの無敵のベールを最初にめくって見せたダニエル・ジェイコブスは、11月11日に無敗のルイス・アリアスと対戦、「GGGとカネロの勝者と戦う。どちらでも簡単な試合になる」と、こちらも〝準決勝〟のつもりです。
さらに、無敗のWBAジュニア・ミドル級王者、デメトリアス・アンドラーデもミドル級転向。明日10月21日にやはり無敗のアランテス・フォックスとのミドル級12回戦を戦います。アンドラーデまでもが「フォックスの次は、ゴロフキンとカネロの勝者と戦うことになる」と、厚かましくもフォックス戦が〝準決勝〟だとブチ上げています。
この状況では、GGGとの指名試合を熱望しているWBC1位のジャーマル・チャーロ、IBF1位のセルゲイ・デレビャンチェンコは、しばらくウェイティングサークルから脱け出せそうにありません。
さらに2階級下のウェルター級は、歴史的にも名王者がミドル級侵略を目指してきましたが、シュガー・レイ・ロビンソン、シュガー・レイ・レナード、トーマス・ハーンズ…レジェンドの系譜を継ごうと、昨年のケル・ブルックに続き、ウェルター最強と目されるエロール・スペンスJr.もミドル級への挑戦を伺っています。
さあ、そして、WBA1位の村田諒太は、レギュラー王者のアッサン・エンダムとの直接再戦が、いよいよ明後日に迫りました。WBAレギュラーとはいえ、アルファベット王座の一つのピースをミドル級10傑にランクされる二人が争うのですが、悔しいかな世界的な注目度は今ひとつです。
【世界のミドル級ウォーズからは置いてけぼりの村田vsエンダムですが、日本国内では盛り上がっています。それにしても、5ヶ月で視力が1.0から2.0になるなんてことがあるんですね、視力検査は「大体の値」しか測定できないとはいえ…。】
さて、試合予想ですが直近になってますます「村田有利」と見られています。
ゴロフキン同様、2010年にWBA暫定王者になってから7年、タフなカメルーン人もそのピークは確実に過ぎ去っています。
33歳の肉体は、経年と強打を浴び続けたことによる劣化と無縁であるはずがありません。そのキャリが充実してるがゆえに、技術的にも大きな上積みは期待できないでしょう。
一方の村田はプロ13戦で大きなトラブルもなく、パンチによるダメージは全く蓄積されていません。31歳という年齢も、アマエリートからプロ5年目、間違いなくこれからプライムタイムを迎える時期です。
大方のオッズも、3−1から4−1へ、さらに村田寄りに傾いています。それでも、ミドル級です。「エンダムはパンチが無い」と言われていますが、ESPNが2016年の年間最高KOに選んだのは、このアフリカーナの戦慄の拳です。この階級のトップではパンチが無いボクサーなど、そもそも、一人もいるわけがないのです。
初戦の内容、両者のキャリアを考察すると「村田、断然有利」という予想しか出てきませんが、リングの上では何が起きても不思議はありません。
下馬評通りに、日本中の期待通りに、村田がエンダムを寄せ付けずにKOしたら、これは世界に大きな花火をぶち上げることになります。
早朝7:00からの放送とはいえ、9000万人が視聴できるESPNが全米生中継するわけですから、ボクシングマニアは生の村田諒太を目撃することが出来るのです。
一方で、今年に入って村田を共同プロモートするトップランクが、カネロやゴロフキン、ジェイコブス、アンドラーデらが契約を結んでいるHBOと袂を分かち、ESPNとタッグを組んだことが、村田の〝頂上作戦〟を遠回りさせることにならないか、心配な面もあります。
さらに、残念ながら、この試合がダイレクトにゴロフキンvsカネロの勝者につながる〝準決勝〟ではありえません。
それでも世界のトップで7年間も戦い続けて、キャリアを通じて1度もKO負けの無いエンダムを、圧倒してノックアウトしたとなると強烈なアピールになることは間違いありません。
目の前のエンダムに勝たなければ、何も始まらない話ですが、日本のボクシングファンが村田諒太に賭ける夢は「ミドル級世界王者のピースを拾うこと」ではありません。もっと先、もっと高い場所です。
両国国技館、何としても行きたかったのですが、残念無念、今回はテレビ観戦になりますが、声の限りに応援します!
もちろん、この2試合の相手、ダニエル・ジェイコブスとカネロ・アルバレスは、2010年に暫定世界王者決定戦でKOしたミルトン・ヌネスを含めた18人とはレベルが違う相手でしたが、世界王者になってから7年、35歳になったGGGが全盛期を過ぎていることは間違いありません。
セルヒオ・マルチネスにミゲール・コット、ピーター・クイリン、ビリー・ジョー・サンダース、そして時間稼ぎに執着したカネロ…人気やタイトル・地位という既得権益を失うことを恐れた実力者は、GGGとの対戦をあからさまに回避してきました。
しかし、その実力を畏怖して遠巻きに眺めていたカザフスタンの英雄が衰えを見せたことで、ミドル級戦線の状況は一変しました。ゴロフキンの周囲に、実力者やビッグネームが急に群がり始めたのです。死臭を嗅ぎつけたハイエナのような連中です。
【2013年3月17日モンテカルロ。アメリカを代表するプロスペクト、27戦全勝24KOのジェームズ・カークランドを初回で屠り、かつてPFP3位まで上り詰めたポール・ウィリアムスと、WBO王者ディミトリー・ピログにも判定勝負に持ち込んだタフな石田順裕でしたが、全盛期のGGGの前では何も出来ない生贄の羊でした。この当時は、多くの実力者がGGGを回避、カザフスタンの好漢は「私と戦ってくれてありがとう」という感謝の言葉をいつも対戦相手に捧げていました。】
まず、WBAスーパー、WBC、IBFのベルトを巻くGGGと、リング誌認定王者でマルチネスからの正当王者(リネラル王者)の系譜を継ぐカネロは、来年5月のシンコ・デ・マヨ週間でのリマッチが内定。この勝者が、現在のボクシング界で最も価値の高いステイタスを手に入れることになります。
そして、全階級を通じてボクシング界の中心となるであろうこの勝者のステイタスを強奪しようと、ミドル級はもちろん、周辺階級の強豪たちまでもが次々と名乗りを上げているのです。
WBO王者のビリー・ジョー・サンダースはデビューから25戦、英国に引きこもり、強豪を徹底的に回避、最近は人気者アミール・カーンとのローリスク・ハイリターンの対戦に乗り気でしたが、GGGの衰えを見て心変わり。12月16日、ついにアウエーのリング、強打のデビッド・レミューの地元モントリオールに乗り込みます。アウエーとはいえ、英連邦のカナダ、両者のサポーターは互角に近い観客席を埋めると見られていますが、注目の一戦です。
サンダース、レミューともに「この試合に勝って、GGGとカネロの勝者と戦う」と、この戦いがミドル級ウォーズの〝準決勝〟だと主張しています。サンダースに至っては「(GGGにKO負けした)レミューは犬の食べ残した餌だ。レミューなんていう残飯は問題にならない、俺が興味あるのはその犬っころだ」とトラッシュトークを炸裂させています。
そして、GGGの無敵のベールを最初にめくって見せたダニエル・ジェイコブスは、11月11日に無敗のルイス・アリアスと対戦、「GGGとカネロの勝者と戦う。どちらでも簡単な試合になる」と、こちらも〝準決勝〟のつもりです。
さらに、無敗のWBAジュニア・ミドル級王者、デメトリアス・アンドラーデもミドル級転向。明日10月21日にやはり無敗のアランテス・フォックスとのミドル級12回戦を戦います。アンドラーデまでもが「フォックスの次は、ゴロフキンとカネロの勝者と戦うことになる」と、厚かましくもフォックス戦が〝準決勝〟だとブチ上げています。
この状況では、GGGとの指名試合を熱望しているWBC1位のジャーマル・チャーロ、IBF1位のセルゲイ・デレビャンチェンコは、しばらくウェイティングサークルから脱け出せそうにありません。
さらに2階級下のウェルター級は、歴史的にも名王者がミドル級侵略を目指してきましたが、シュガー・レイ・ロビンソン、シュガー・レイ・レナード、トーマス・ハーンズ…レジェンドの系譜を継ごうと、昨年のケル・ブルックに続き、ウェルター最強と目されるエロール・スペンスJr.もミドル級への挑戦を伺っています。
さあ、そして、WBA1位の村田諒太は、レギュラー王者のアッサン・エンダムとの直接再戦が、いよいよ明後日に迫りました。WBAレギュラーとはいえ、アルファベット王座の一つのピースをミドル級10傑にランクされる二人が争うのですが、悔しいかな世界的な注目度は今ひとつです。
【世界のミドル級ウォーズからは置いてけぼりの村田vsエンダムですが、日本国内では盛り上がっています。それにしても、5ヶ月で視力が1.0から2.0になるなんてことがあるんですね、視力検査は「大体の値」しか測定できないとはいえ…。】
さて、試合予想ですが直近になってますます「村田有利」と見られています。
ゴロフキン同様、2010年にWBA暫定王者になってから7年、タフなカメルーン人もそのピークは確実に過ぎ去っています。
33歳の肉体は、経年と強打を浴び続けたことによる劣化と無縁であるはずがありません。そのキャリが充実してるがゆえに、技術的にも大きな上積みは期待できないでしょう。
一方の村田はプロ13戦で大きなトラブルもなく、パンチによるダメージは全く蓄積されていません。31歳という年齢も、アマエリートからプロ5年目、間違いなくこれからプライムタイムを迎える時期です。
大方のオッズも、3−1から4−1へ、さらに村田寄りに傾いています。それでも、ミドル級です。「エンダムはパンチが無い」と言われていますが、ESPNが2016年の年間最高KOに選んだのは、このアフリカーナの戦慄の拳です。この階級のトップではパンチが無いボクサーなど、そもそも、一人もいるわけがないのです。
初戦の内容、両者のキャリアを考察すると「村田、断然有利」という予想しか出てきませんが、リングの上では何が起きても不思議はありません。
下馬評通りに、日本中の期待通りに、村田がエンダムを寄せ付けずにKOしたら、これは世界に大きな花火をぶち上げることになります。
早朝7:00からの放送とはいえ、9000万人が視聴できるESPNが全米生中継するわけですから、ボクシングマニアは生の村田諒太を目撃することが出来るのです。
一方で、今年に入って村田を共同プロモートするトップランクが、カネロやゴロフキン、ジェイコブス、アンドラーデらが契約を結んでいるHBOと袂を分かち、ESPNとタッグを組んだことが、村田の〝頂上作戦〟を遠回りさせることにならないか、心配な面もあります。
さらに、残念ながら、この試合がダイレクトにゴロフキンvsカネロの勝者につながる〝準決勝〟ではありえません。
それでも世界のトップで7年間も戦い続けて、キャリアを通じて1度もKO負けの無いエンダムを、圧倒してノックアウトしたとなると強烈なアピールになることは間違いありません。
目の前のエンダムに勝たなければ、何も始まらない話ですが、日本のボクシングファンが村田諒太に賭ける夢は「ミドル級世界王者のピースを拾うこと」ではありません。もっと先、もっと高い場所です。
両国国技館、何としても行きたかったのですが、残念無念、今回はテレビ観戦になりますが、声の限りに応援します!
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