【マイク・タイソンは引退後、大きな借金を背負い、困窮していました。しかし、そんな時ですら、日本をはじめ世界中のプロレス、格闘技関係者らから押し寄せる〝茶番劇〟へのプロポーズには「NO」と頑なに拒み続けました。その理由が「どんなに落ちぶれてもボクシングを冒涜することだけはしない」という高潔な決意だったのか、それとも「戦いの恐怖に震えることはもう絶対に嫌だ」という被虐の萎縮だったのか。何れにしても、引退後に暗黒の淵に沈むと誰もが確信していたタイソンは今、信じられないほど穏やかな毎日を送っています。リング上のタイソンは、仕方なく凶悪な偽りの仮面を被っていただけだったのかもしれません。】
さて、引退から2年経ったフロイド・メイウェザーと、(ボクシングと比較すると)新興のMMAで最も輝いている格闘家のコナー・マクレガーの、完全ボクシングルールでの一戦です。
欧米メディアの目は揃って「farce(茶番劇)」「bogus(インチキ、偽物)」と辛辣です。
メイウェザーはもちろん、マクレガーも単に目立ちたいだけ、しかもボクサーは楽に勝てるし、格闘家の方も負けても何も失わない。これほどのローリスク・ハイリターンの大興行は滅多にお目にかかれるもんじゃありません。
フロイド父も「マクレガーの練習風景をYouTubeで見たが、ジャブすら真っ直ぐ、まともに打てない。彼はジャブを打ってるつもりだろうが、押し出しも引きも恐ろしいほどに遅い。しかも遅いだけじゃなく、軌道がブレてしまっているから、キレも威力もない。誰に教わったらあんなに下手くそなジャブが打てるんだ?ボクシングルールなら、彼に負けるプロボクサーを探す方が難しいだろう」とこき下ろしています。
素人から見ても、確かにその通りです。しかも、MMAの遠い距離で戦うことに慣れているから、インサイドの打ち合いにはジャブ以上に未熟です。距離が詰まると、恐怖とパニックでマクレガーは目をつぶってしまうでしょう。
これは逆も同じです。もし、完全MMAルールで戦えば、ボクシングでは考えられない遠い距離から打ち込まれる強烈な蹴りと、見たこともない角度から突っ込んでくるタックルに、メイウェザーは全く何も出来ずにテイクダウンを奪われ、秒殺でしょう。
この試合が、ゲスな見世物以外の何物でもないことは間違いありません。そして、ボクシングにとっても、MMAにとっても、過去の〝異種格闘技戦〟同様に、中長期的には何の恩恵ももたらすことはないでしょう。
それどころか、ボクシングとMMAの健全な発展と、純粋なファンを貶めることにもなります。
巷間、言われているようにこの試合で大金を手にするマクレガーは、オクタゴンを降りて悠々自適の生活を選ぶでしょう。この試合が無ければ、彼は MMAのスーパースターとして、このスポーツの健全な発展にまだまだ寄与したはずです。そして、まだ若いこのスポーツにとってマクレガーの役割は非常に大きなものがあるはずでしたが…。
メイウェザーにしても、ゲンナディ・ゴロフキンとカネロ・アルバレスの大興行に嫉妬するのは彼の性格からしたら当然です。しかし、そのジェラシーはやはり健全な方向に向けられるべきです。つまり「3Gとカネロの勝った方と戦ってやる」と宣言したら、ボクシング界はもっと大きく盛り上がっていたはずです。
もちろん、前回紹介したようにモハメド・アリや、ロベルト・デュラン、ジャック・デンプシー、アーチー・ムーア、ロイ・ジョーンズといった超ビッグネームも茶番劇の舞台に上がりました。ジャック・ジョンソンやラリー・ホームズも、金に困って見世物になりました。超ビッグネームでなければ、レオン・スピンクスやトレバー・バービックらも日本のプロレスのリングに金のために上がりました。
何をしようが、それは個人の自由です。自分の名前、ブランドを使って効率的に金儲けをすることを批判できる人間などいないでしょう。金に困っていれば尚更です。他人からとやかく言われる筋合いはありません。
かつて、シュガー・レイ・ロビンソンは「奴らはコーヒーの一杯も振舞ってくれたことはない」とこぼしましたが、その言葉、「奴ら」はメディアだけじゃなくファンも指していました。記者は絶頂期には歯が浮くような提灯記事を羅列して、ファンはまるで神を崇めるように熱狂的に応援しますが、落ちぶれたら唾を吐いて、無視する…確かに、メディアとファンというのは残酷なまでに自分勝手です。
ただ、メイウェザーとマクレガーは、現状では金に困っていません。メイウェザーはもちろん、マクレガーもボクシング界最高収入を誇るカネロの倍近い報酬を手にしているのです。そんな、二人が、何も、今この時点で、互いが名前を成した恩のあるスポーツを後ろ足で蹴り飛ばすような行為をする必要が、どれほどあるのでしょうか。
9月16日の3Gとカネロ、今年最大のメガファイトの3週間足らず前に、同じTモバイル・アリーナで、下品な野次馬だけを刺激する見世物を行う意味が、どれほどあるのでしょうか。
米国メディアはもちろん、フランスAFP通信も「下劣な見世物は大衆受けするが、一晩だけの馬鹿騒ぎでしかない。冷静にスポーツの発展を願う人々に出来ること、やるべきことはチケットやPPVを買わないことだ」と断じています。
もちろん、私は8月26日、亀海喜寛vsミゲール・コットを生中継で見ます。しかし、メイウェザーvsマクレガーもどんなに凡戦の結果が分かっていても、録画を見てしまうでしょう。私も、結局は下劣な見世物が好きなんです。所詮は、みんな、野次馬なんです。
ただ、これだけは忘れてはいけません。
メイウェザーvsマクレガーは、誰もが否定できない下劣な見世物ということ。最高のアスリートがその競技の頂点を決めるべく、究極まで研磨した技術を惜しみなく交錯させる崇高な戦いではないということ。
このイベントが注目されているのは、下劣な興味、卑しい野次馬根性だけからであるということ。
この見世物には、スポーツとしての価値は全く無いということ。
麻雀日本一が、将棋ルールで羽生善治と対決するのと同じです。
とっくの昔にピークは過ぎて、二年間も引退していた元ボクサーと、全くボクシング経験がない格闘家が、完全ボクシングルールでぶつかる、何ともタチの悪いサーカスです。
亀田興毅がやったことと大きな違いはありません。興毅は「ボクシングの素晴らしさ、凄さを伝えたい」.と語っていましたが、あのバラエティからはそんなものは全く伝わりません。
本気でそう思ってたなら、現役時代にまともな強豪と戦えば良かったんです。散々、ボクシングの価値を貶めることをしておいて、よくもそんなセリフが吐けるものです。
もちろん、亀田は超一流のチンドン屋です。彼らが奏でる欺瞞の笛太鼓に踊らされるメディアや大衆が蒙昧なだけで、彼らはチンドン屋として一流の技術を披露しているだけです。
世界を騒がすか、日本を騒がすか、せいぜいその差ですね。ただ、ボクシングのメガファイトの邪魔をしなかった亀田の方がまだマシです。
メイウェザーが取りうるベストの選択は決してマクレガーなんかではなく、3Gとカネロの勝者、あるいはアンドレ・ウォードとの夢の対決です。そこには下劣な腐臭が入り込む余地はないのですが…。
マクレガーもそうです。まだまだ、これから地歩を固めて成長しなければならない若いスポーツであるMMAの発展のために、彼が出来る最高のパフォーマンスはオクタゴンの中にしかありえないはずなのですが…。
さて、引退から2年経ったフロイド・メイウェザーと、(ボクシングと比較すると)新興のMMAで最も輝いている格闘家のコナー・マクレガーの、完全ボクシングルールでの一戦です。
欧米メディアの目は揃って「farce(茶番劇)」「bogus(インチキ、偽物)」と辛辣です。
メイウェザーはもちろん、マクレガーも単に目立ちたいだけ、しかもボクサーは楽に勝てるし、格闘家の方も負けても何も失わない。これほどのローリスク・ハイリターンの大興行は滅多にお目にかかれるもんじゃありません。
フロイド父も「マクレガーの練習風景をYouTubeで見たが、ジャブすら真っ直ぐ、まともに打てない。彼はジャブを打ってるつもりだろうが、押し出しも引きも恐ろしいほどに遅い。しかも遅いだけじゃなく、軌道がブレてしまっているから、キレも威力もない。誰に教わったらあんなに下手くそなジャブが打てるんだ?ボクシングルールなら、彼に負けるプロボクサーを探す方が難しいだろう」とこき下ろしています。
素人から見ても、確かにその通りです。しかも、MMAの遠い距離で戦うことに慣れているから、インサイドの打ち合いにはジャブ以上に未熟です。距離が詰まると、恐怖とパニックでマクレガーは目をつぶってしまうでしょう。
これは逆も同じです。もし、完全MMAルールで戦えば、ボクシングでは考えられない遠い距離から打ち込まれる強烈な蹴りと、見たこともない角度から突っ込んでくるタックルに、メイウェザーは全く何も出来ずにテイクダウンを奪われ、秒殺でしょう。
この試合が、ゲスな見世物以外の何物でもないことは間違いありません。そして、ボクシングにとっても、MMAにとっても、過去の〝異種格闘技戦〟同様に、中長期的には何の恩恵ももたらすことはないでしょう。
それどころか、ボクシングとMMAの健全な発展と、純粋なファンを貶めることにもなります。
巷間、言われているようにこの試合で大金を手にするマクレガーは、オクタゴンを降りて悠々自適の生活を選ぶでしょう。この試合が無ければ、彼は MMAのスーパースターとして、このスポーツの健全な発展にまだまだ寄与したはずです。そして、まだ若いこのスポーツにとってマクレガーの役割は非常に大きなものがあるはずでしたが…。
メイウェザーにしても、ゲンナディ・ゴロフキンとカネロ・アルバレスの大興行に嫉妬するのは彼の性格からしたら当然です。しかし、そのジェラシーはやはり健全な方向に向けられるべきです。つまり「3Gとカネロの勝った方と戦ってやる」と宣言したら、ボクシング界はもっと大きく盛り上がっていたはずです。
もちろん、前回紹介したようにモハメド・アリや、ロベルト・デュラン、ジャック・デンプシー、アーチー・ムーア、ロイ・ジョーンズといった超ビッグネームも茶番劇の舞台に上がりました。ジャック・ジョンソンやラリー・ホームズも、金に困って見世物になりました。超ビッグネームでなければ、レオン・スピンクスやトレバー・バービックらも日本のプロレスのリングに金のために上がりました。
何をしようが、それは個人の自由です。自分の名前、ブランドを使って効率的に金儲けをすることを批判できる人間などいないでしょう。金に困っていれば尚更です。他人からとやかく言われる筋合いはありません。
かつて、シュガー・レイ・ロビンソンは「奴らはコーヒーの一杯も振舞ってくれたことはない」とこぼしましたが、その言葉、「奴ら」はメディアだけじゃなくファンも指していました。記者は絶頂期には歯が浮くような提灯記事を羅列して、ファンはまるで神を崇めるように熱狂的に応援しますが、落ちぶれたら唾を吐いて、無視する…確かに、メディアとファンというのは残酷なまでに自分勝手です。
ただ、メイウェザーとマクレガーは、現状では金に困っていません。メイウェザーはもちろん、マクレガーもボクシング界最高収入を誇るカネロの倍近い報酬を手にしているのです。そんな、二人が、何も、今この時点で、互いが名前を成した恩のあるスポーツを後ろ足で蹴り飛ばすような行為をする必要が、どれほどあるのでしょうか。
9月16日の3Gとカネロ、今年最大のメガファイトの3週間足らず前に、同じTモバイル・アリーナで、下品な野次馬だけを刺激する見世物を行う意味が、どれほどあるのでしょうか。
米国メディアはもちろん、フランスAFP通信も「下劣な見世物は大衆受けするが、一晩だけの馬鹿騒ぎでしかない。冷静にスポーツの発展を願う人々に出来ること、やるべきことはチケットやPPVを買わないことだ」と断じています。
もちろん、私は8月26日、亀海喜寛vsミゲール・コットを生中継で見ます。しかし、メイウェザーvsマクレガーもどんなに凡戦の結果が分かっていても、録画を見てしまうでしょう。私も、結局は下劣な見世物が好きなんです。所詮は、みんな、野次馬なんです。
ただ、これだけは忘れてはいけません。
メイウェザーvsマクレガーは、誰もが否定できない下劣な見世物ということ。最高のアスリートがその競技の頂点を決めるべく、究極まで研磨した技術を惜しみなく交錯させる崇高な戦いではないということ。
このイベントが注目されているのは、下劣な興味、卑しい野次馬根性だけからであるということ。
この見世物には、スポーツとしての価値は全く無いということ。
麻雀日本一が、将棋ルールで羽生善治と対決するのと同じです。
とっくの昔にピークは過ぎて、二年間も引退していた元ボクサーと、全くボクシング経験がない格闘家が、完全ボクシングルールでぶつかる、何ともタチの悪いサーカスです。
亀田興毅がやったことと大きな違いはありません。興毅は「ボクシングの素晴らしさ、凄さを伝えたい」.と語っていましたが、あのバラエティからはそんなものは全く伝わりません。
本気でそう思ってたなら、現役時代にまともな強豪と戦えば良かったんです。散々、ボクシングの価値を貶めることをしておいて、よくもそんなセリフが吐けるものです。
もちろん、亀田は超一流のチンドン屋です。彼らが奏でる欺瞞の笛太鼓に踊らされるメディアや大衆が蒙昧なだけで、彼らはチンドン屋として一流の技術を披露しているだけです。
世界を騒がすか、日本を騒がすか、せいぜいその差ですね。ただ、ボクシングのメガファイトの邪魔をしなかった亀田の方がまだマシです。
メイウェザーが取りうるベストの選択は決してマクレガーなんかではなく、3Gとカネロの勝者、あるいはアンドレ・ウォードとの夢の対決です。そこには下劣な腐臭が入り込む余地はないのですが…。
マクレガーもそうです。まだまだ、これから地歩を固めて成長しなければならない若いスポーツであるMMAの発展のために、彼が出来る最高のパフォーマンスはオクタゴンの中にしかありえないはずなのですが…。
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