村田諒太が世界のミドル級でトップクラスの実力があることを証明、亀海喜寛はあのミゲール・コットと世界戦を戦うことが内定と、日本のファンがずっと憧れてきた中量級の夢舞台世界が現実のものとなっています。

長らく世界をリードしてきた米国でボクシングの地位は長期凋落傾向の中、リング誌をはじめ米国メディアは日本、軽量級寄りの傾向をはっきり打ち出してきています。1980年から現在の形で発表されているリング誌PFP10傑は、日本人への門戸を固く閉ざしていましたが、この2年で山中慎介、井上尚弥が揃ってベスト10に名を連ねました(ファイティング原田の時代にこの制度があれば間違いなく3位以内に入ってたでしょうが…その時の序列は1位:原田、2位:エデル・ジョフレ、3位:モハメド・アリかもしれません、想像するとちょっとシビれますね)。


【日本の年間表彰式の模様が、リング誌3月号でレポートされました。日本でもボクシング人気は低落傾向ですが、米国ではもっと深刻、日本を中心としたアジアのボクサーの露出度は増しています。かつて頓挫したリング誌日本版が再創刊される日も近い?】

今夜は、夢ではなく現実として目の前にあるであろう日本人ボクサーの可能性を探ります。

まずは、亀海と村田です。世界のミドル級は9月16日で大きく変わるかもしれません。オッズはゲンナディ・ゴロフキン勝利が1.57倍、カネロ・アルバレスが2.38倍と、アバウト3−1で予想通りゴロフキン有利ですが、番狂わせの可能性は十分あります。カザフスタンの英雄には失礼ですが、予想通りの結果だとミドル級には何の波風も立ちません。

しかし、カネロがオッズをひっくり返すと、これは日本のボクシングファンにとっても非常に面白い、本当に非常に面白い展開が期待できます。カネロが勝てば、年内にもう1試合やると言われています。その相手は先日、ゴールデン・ボーイ・プロモーションと複数試合契約を締結したコットとのリマッチになることが濃厚です。

実際に、カネロの名前は出ませんでしたが、亀海戦の発表会見では「コットは12月にも戦う。相手は誰になるかはお楽しみ」とオスカー・デラホーヤが語っています。亀海を完全に無視した発言でムカつきますが、逆に考えるとコットを倒せば、亀海はカネロとのビッグマッチに駒を進める可能性が高いのです。

その時、亀海はWBO世界ジュニアミドル級王者、ゴロフキンに勝ったカネロは〝議論する余地の無い〟世界ミドル級王者。亀海はジュニアミドル、ミドルの2階級制覇が懸かるリングに上がるわけです。夢のような話ですが、現在のコットの実力が全盛期からは程遠いのは間違いありませんし、しかも長いブランク明けです。

亀海の実力評価は世界トップレベルとはお世辞にも言えませんが、海外メディアでも「亀海のモチベーションの高さと、引退の儀式を考えている今のコットでは、デラホーヤの台本通りに物語は進まない」という見方も少なくありません。

そして、村田です。こちらもゴロフキン、カネロとの絡みが期待出来るばかりか、亀海には申し訳ないですが、村田は世界基準の実力があります。トップ戦線にとどまる可能性が高いのです。

アッサン・エンダムとの再戦か、それとも他団体の王者との決戦か、次の試合はわかりませんが、勝ち進む実力は十分あると思います。ファンの夢を語らせてもらうなら、メガファイトに勝ってミドル級最強王者となって、ウェルター級の精鋭の侵略もねじ伏せる、カルロス・モンソンやマービン・ハグラーのような、ミドルの歴史になって欲しいですね。とりあえずは、まず、次の試合です!

そして、そして、やはり日本の屋台骨は軽量級が背負っているのです。ノニト・ドネアが挫折、ローマン・ゴンザレスまでが急停車した現在の軽量級の世界地図は、もしかしたら日本人にとっては非常に難しいものになっているのかもしれません。

つまり、日本人のタレントが揃うジュニアフェザー級以下でのビッグネームが見当たらず、いるのは誰もが敬遠する純粋に強いだけのギレルモ・リゴンドーだけ。フェザーにはレオ・サンタクルスとカール・フランプトンの100万ドルファイターがいますが、井上尚弥にとってはフェザーは遠く、山中慎介は残念ながら誰もいないバンタムで骨を埋める腹でしょう。レオやカールも、この階級にいつまでいるかもわかりません。

そう考えると、井上vs山中というカードか、井上vsリゴンドーなんです。今のリゴンドーは天笠尚戦でも隙を見せたように、パーフェクトなボクサーではありません。ましてや天笠戦でも2年半も前です。ビッグネームからは敬遠され、試合間隔も空いています。

欧米のファンも、リゴンドーは評価はしても嫌いです。「誰でもいいから、あの上手いだけのキューバ人を叩きのめして欲しい」。そう願っているボクシングファンは少なくありません。

【リゴンドーとワシル・ロマチェンコは、実質的なPFP1、2位と言われています。この難攻不落のアマエリート、ある意味小賢しいテクニックの亡者を、プロの剛腕でぶっ倒すボクサーが現れたら…スター誕生です。シュガー・レイ・ロビンソン賞(最も名誉ある年間最高選手賞)確定です。井上尚弥にそれを期待するのは過重でしょうか?】

日本人の世界王者でも白黒はっきりつけて欲しいですね。田中恒成と田口良一は、絶対やらねばなりません。井岡一翔も「唯一無二の存在」に本気でなりたいなら、もう回り道してる時間はありません。井上だって同じです。

「世界王者」が、しかも近隣階級で10人レベルまで増殖してる現状を「ボクシング黄金時代」と捉えることがどれほど異常な思考か、それがわからない、わかろうとしないのはいただけません。メディアが一番悪いのですが。

エースの井上は雑魚を相手にして、弱小ジムの村中優は英国の強豪と戦う…これが長い間続いている、日本ボクシング界の腐敗の構図です。もちろん、井上は不利な条件を飲んで英国まで行く必要はありませんし、プロテクトされていない村中は呼ばれたらチャンスです。仕方がないのですが…これがずっと繰返されて、井上も内山高志のようにナマクラばかりを切り続けた挙句に、ナマクラにブッタ斬られておしまい…とかは悲しすぎます。

村田vsエンダム戦は、5億円興行、日本史上最大の規模だったと言います。もし、サンタクルスを呼べば5億じゃ済まないです。西海岸で戦えば1億円以上もらえるのですから、彼の報酬だけで2億以上積まないと、危険な日本には来るわけがないでしょう。

しかし、そういう興行が成り立つようにメディアも、ファンも盛り上げなければなりません。

井上や井岡の報酬は推定で5000万円レベルです。これは、彼らが米国で試合して支払われるわけもないとんでもない金額なんです。

西岡利晃はラファエル・マルケス戦で100万ドルの報酬を受け取ったと言いますが、それが事実だとしたらそのお金はあの興行からは絶対に出ていません。はるかに大きな興行だった、ドネア戦での報酬は日本のスポンサー収入も加味されて10万ドルです、西岡が日本で弱い相手に防衛戦をしてる方が何倍ももらえてるのです。もちろん、西岡が悪いのではなく、責任はむしろ別のところにあります。とにかく、こんな恥さらしは二度としてはいけませんし、日本のボクシングファンは忘れてはいけません。

ただ、西岡が日本で弱い相手に戦うよりも、報酬は3分の1以下でも、ただ名誉だけを求めてドネアをリングに引っ張り上げたことは忘れてはなりません。

井上、井岡に戻ると、日本で弱い挑戦者相手に5000万円もらえるのに、敵地で強豪相手に1000万円ももらえないなんて、そんなもん、ビジネスとして成立しません!井上がカリド・ヤファイと戦い、英国の大観衆にその実力を見せ付けてくれたら、日本のファンは大喜びですが…。

そうなると、英国では当たり前の同国人対決です。これは間違いなく盛り上がります。あるいは、世界中のビッグネームが敬遠するリゴンドーです。

【リング誌2016年PFP100傑から。リゴンドー6位、山中9位、井上11位、パッキャオ12位、井岡も22位につけています。】

とにかく強い相手と戦いましょう。聞いたことがないのといたずらに防衛戦を重ねるのは、安上がりなのはわかりますが、もういいです。ちゃんと世界を見せましょう。