計量からものすごい盛り上がりでした。PC画面からでもジョシュア勝利に期待する7000人の熱狂が伝わってきました。

二人とも素晴らしい仕上がりです。

チャンピオンのアンソニー・ジョシュアが250.1ポンド(113.4kg)、挑戦者のウラジミール・クリチコが240.6 (109.1kg)。体重管理がだらしない選手も目に付くヘビー級の中でもこの二人はいつも完璧に仕上げてきます。

【両者ともExcellent Shape!特にいつでもきっちり体を作ってくるクリチコは流石です】

リング誌が専門家30人に聞いた予想では、なんと29人がジョシュアを支持、クリチコ勝利を予想したのはメインイベンツ社でマッチメイカーをつとめるジョリーン・ミゾーネ、ただ一人です。彼は「クリチコの後半KO勝ち」を予想。

それにしても、2−1のオッズ以上にジョシュアに大きく傾いていますね。

そのミゾーネも「今やジョシュアがまだ試されていないと言うのは私だけかもしれないが、もしクリチコに勝つようなら彼を認めざるをえない」と、自分の考えが少数派であることを認めています。

ところが、もう一人、クリチコ勝利を予想する少数派がいました。ESPNのダン・ラファエルです。ダンラファは、ミゾーネよりも早い中盤でクリチコがKOすると予想しています。

クリチコにアドバンテージがあるとしたら、やはり大きな経験差です。ジョシュアがプロで戦ってきた18人の中でクリチコレベルのボクサーは一人もいないばかりが、その18人とは次元が違うと言っても差し支えないでしょう。ジョシュアは今まで体験したことのない巨大なパワーと狡猾で卓越したテクニックを自由自在に操るリングマスターと相対することになるのです。

さらに、ジョシュアは7ラウンドまでしか戦ったことがありません。8ラウンド以降は未知のラウンドです。12ラウンドに渡って絶えることのない怒涛の攻撃を持続できるファイターは稀有です。クリチコが大きなダメージを負うことなく前半戦を凌げば、ジョシュアの手の内を把握した中盤から後半にチャンスが訪れるでしょう。しかも、そこでAJが失速するようなら、一気に試合が決着しても不思議はありません。

もう一つは、おそらくジョシュアは打たれ弱いということ。世界前哨戦となった2015年のディリアン・ホワイトとの一戦で、一瞬棒立ちに追い込まれました。ウクライナ人の破壊力は、左右共にホワイトの比ではありません。

もちろん、4つの敗北の内、3つまでがKO負けのクリチコの顎のモロさはすでに証明書付きです。顎を叩かれれば終わるのは、クリチコもまた同じなのです。


【幼少時代から飛び抜けた運動能力で周囲を驚かせてきたAJが人生最大の大勝負を迎えます。】

確かにクリチコが勝てば、無責任なメディアは「やっぱりジョシュアには早過ぎた」「全戦全勝全KOだったのは弱い相手ばかりと戦ってきたから」「21世紀のフランク・ブルーノ」と手の平を返すでしょう。

クリチコが勝てばアリやフォアマン、他の階級ではデュランのように偉大な返り咲きで歴史に大きな足跡を残すことになります。それもまた非常にドラマティックではありますが、やはり今のヘビー級、ボクシング全体の状況を見ると、若い才能が未来の扉を開ける時なのです。

ジョシュアはレオン・スピンクスやマイケル・モーラー、アイラン・バークレーではありません。そうであってはいけないのです。

クリチコとやるにはジョシュアは早過ぎたのか。それとも、ジョシュアとやるにはクリチコには遅すぎたのか。

その解答は16時間後には明らかにされます。