田中空と佐々木尽の1試合を除き予想できた結果だったとはいえ、7試合の全てで最終回のゴングが鳴らされた、ジャッジにとっては時給の低い〝割の合わない〟仕事になったTHE DAY。

注目のメインイベントもチェスゲームの立ち上がりは予想の範囲内でしたが、どちらかがどこかでアクセルを踏み込むと思っていました。

井上尚弥と中谷潤人のTHE DAYのプリズムに交錯した12ラウンドの光陰を振り返ります。





【①壮観の東京ドーム】

平日開催も珍しくなくなってしまったビッグファイト興行ですが、THE DAYは休日。東京ドームは沸騰していました。

2年前のやはりゴールデンウィークでも、この大舞台にルイス・ネリを迎えましたが、あの日とは全く違う景色が広がっていました。

イベントという側面からも、この日が日本ボクシング史の一つの到達点として記憶されます。

一方で、トミーズ雅らが嘆いていたように「一般の人の関心が低すぎる」。「LeminoのPPV」という高いハードルが置かれたことは一旦忘れても、プロモーションは不十分でした。

ボクシングはメジャー競技ではありませんが、過去はメジャーで、いまでも誰でも知っているという点は大きなアドバンテージです。「どんな競技なのか」「階級とは」「世界タイトルとは」…基本的な説明が不要、プロモーションの取り組みが容易なスポーツです。

なんでも米国に倣え、とは言いませんが、PPVとライブビューイング(クローズドサーキット)の〝先輩〟である米国のやり方は取り入れるべきだと思います。

野球NPBの始球式やサッカー日本代表などメジャースポーツとからむ、主要都市でのプロモーショナルツアーを展開する、などの仕掛けがあると、スポーツファンや一般の生活者にもっとアプローチできたはず。




【②中谷潤人の無敗がストップ】

勝敗は4-1のオッズを反映した結果になりましたが、展開はKO決着が期待された予想を裏切るものでした。

どちらかのゼロ(無敗)が消えるというボクシングならではの残酷な興味は、中谷の敗北で帰結。

左眼窩底骨折の疑いがあるという中で、試合後の記者会見に応じた中谷の誠実な態度は好感が持てました。

敗北の内容はキャリアに不安を残すものではありませんでしたが、大きな怪我は少なくとも今後のスケジュールに大きな影響を与えることになりました。




【③PFPはシャッフルされるか?】

キャリア初めての現役PFPファイターという評価の高い相手を下した井上が、主要メディアの多くでPFP1位に返り咲けるか?

現在でも、最も公正と考えられているTransnational Boxing Rankings Boardと完全ポイント制のBoxRecでは1位ですが、ESPNやリング誌では2位。

今回の内容が「伝説になれたかどうかわからない」と井上自身が笑ったように、衝撃的な勝利ではありませんでした。

それでも、今月23日にエジプト・ギザのピラミッド前広場で行われるキックボクサーとの茶番劇にオレクサンデル・ウシクがブサイクな試合をしようものなら、1位は間違いありません。

一方で、試合内容によっては期待されたFighter Of The Year はどうか?となると決定打にはなりませんでした。

そして、敗れた中谷にはオッズや戦前予想から考えると「評価は下がっていない」という声も否定しませんが、PFPランキングが上がることはないはずです。




【④注目の2人の次戦】

二人の次の試合の注目度が膨らみました。

115ポンドと118ポンドで壮絶な攻撃力を見せつけた井上尚弥でしたが、122ポンドでその火力が弱火になっていることはもはや明らか。

126ポンド、フェザー級の井上はより難しい戦いを強いられることになりそうです。

試合後のインタビューで次戦について聞かれ「ちょっと休めせてください」とはぐらかした井上。心身とも疲れているでしょう。

33歳という年齢を考慮すると急ぎたい気持ちもあるでしょうが、調整試合を挟んでフェザー級でも良いかもしれません。

中谷の次戦は、怪我の状況にもよりますが長期離脱は避けられません。早ければ来年初めにも井上が返上すると見られるタイトルの決定戦で再分配される舞台に間に合うかどうか微妙です。

「またチャンピオンになれる」(井上)というように実力は折り紙つきですが…。







WOWOWのラミレスvsべナビデスが始まった!続きはまた。