今季からMLBは、ストライク・ボールの判定に異議を唱えて〝ロボット審判〟に判定を委ねるABSチャレンジを導入しました。

すでにマイナーリーグでテストは行われ続けてきたABSですが、それ以前から二つの仮説が立てられ、その通りの数字が表出しています。



ABSチャレンジの権利を持つ3人(投手・捕手・打者)について「ホームベース上を最も近い場所で、最も意識している捕手と打者がABS(正解)に最も近い感覚を持っている」「投手はホームベースから遠いだけでなく投球動作によって目が動き正確な球筋を見極めているとは言い難く、微妙な投球は全てストライクだと思いがち」という仮説でした。

日本で完全中継されるドジャース戦を見ても「ウィル・スミスのチャレンジは成功率が高い」というコメントを何度も聞きます。

さらに、捕手の仮説のなかで「ボール球をストライクに見せかける巧妙なフレーミングを操る捕手がABSチャレンジで優れた成功率をマークする」と予測されたことは、犯罪者プロファイリングにも共通する、ある意味で当然の真理でした。

「ABS導入でフレーミング技術の意味がなくなるというのは間違い」というのは、実はそっちが大間違い。

それは現在のABSチャレンジでの話であって、全てをABSに任せると、ボール球をストライクに見せかけるフレーミングの意味は完全になくなります。

このABSは現行では9イニングで2度の権利がありますが(成功したら回数は減らない)、ビデオ判定と同様に行使されると「試合時間が長くなる」のは当たり前。

試合時間短縮のためにさまざまな方策を実施しているMLBなのに、それに逆行するような取り組みですが、MLBや球団が公認しているスポーツベッティングの売り上げを伸ばすためには公正なジャッジの裏付けは絶対条件。増加傾向にある審判への脅迫なども減ります。

将来的には、試合時間短縮とスポーツベッティングへの裏付けを両立させるため、ハーフスイングなど全てのジャッジを〝ロボット審判〟に任せることになるでしょう。

スポーツベッティング産業が巨大スポンサーになってしまったためとはいえ、なんとも味気ない未来です…。



個人的にはジャッジのレベルがあまりにも酷すぎるボクシングですら、ロボット審判を導入するのも反対です。

まず、厳しい資格試験制度を作る、多くのコミッションで現状の永久安泰職業ではなく厳格な資格更新試験と定年制を実施する、現行の幅が広すぎる「10−9判定」を是正する…などの当たり前の改正があってからのロボット審判です。

しかし、統括団体がローカルなために、世界で一斉に実施なんて出来ません。JBCは世界タイトルマッチの審判やジャッジを海外から招聘するのが通例ですが、見せかけの公正はもうやめて良いと思います。