米国や日本でボクシングがメジャースポーツから転落した原因は観戦スポーツの多様性や、その競技特性からファミリー化な波に乗れなかったことだけではありません。

むしろ、その二つは瑣末に過ぎる理由です。

ボクシングが怪しいスポーツ、米国ではもはやスポーツとしてのポジションも崩れてしまった原因はタイトルの価値が暴落したという一点に尽きます。

1960年代末にWBAからWBCが分離独立、70年代後半からは世間が呆れ返るまで階級を増殖、80年代に入ると階級だけでなく団体までが癌細胞のように増えました。

かつて地球上に8人しかいなかった世界王者は、今では何人いるのか専門家ですら正確な数が把握できないカオスが現出されています。

野球MLBなどメジャースポーツでもエクスパンションを繰り返し、球団数は増えましたが、ワールドチャンピオンの座は一つだけ。

球団数が増えたことは、ワールドチャンピオンへの道を険しくもしています。

ところが、ボクシングはワールドチャンピオンの座を粗製濫造して来たのです。

認定団体は、スーパーやらダイアモンドやら暫定やらの王座を粗製濫造するばかりか、それぞれの団体が好き勝手にリージョナル・タイトルを創設、あちこちで認定料をせしめることができる環境を整えています。

そして、認定料を支払ってくれた自前のリージョナル・タイトルホルダーや、大きな認定料が見込めるファイターをあからさまに贔屓したデタラメランキングを作成しているのです。

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さらに、アリの時代からすでにクローズドサーキットが浸透、21世紀にはPPVが定着、カジュアルなスポーツファンを切り離し、マニア化・カルト化を進めてしまいました。

ボクシング番組を定期的に提供していたHBOやSHOWTIME、ESPN、FOXといったテレビ局はいまや完全に撤退。

米国のリングは「HBOやSHOWTIMEのPPV地獄からボクシングファンを解放する」と宣言したDAZNが牛耳ってますが、メガファイトではサブスクリプションの他にPPVを課金するのか常です。

あの威勢の良い宣言は何だったのでしょうか?

そして…DAZNと同じことを表明していたサウジアラビア総合娯楽庁のトゥルキ・アルシェイク長官でしたが、ここに来てPPVイベントを立て続けに送り込んでいます。

この期に及んで採算に目を向けることはないでしょうが、何がしたいのか全く見えて来ません。