陸上競技や競泳のようなタイムスポーツはもちろん、最近では野球やサッカーでも個々の選手のパフォーマンスが数値で表され、見える化が劇的にに進んでいます。
しかし、ボクシングでは40年前に立ち上がったCompuBoxのかなりアバウトなスタッツくらいしか指標はありません。
例えば、野球なら打球角度と打球速度でホームランが確信できますが、ボクシングではスタッツだけで勝敗がわかることはまずありません。
ボクシングではパワーもスピードも、客観的な指標は全くないのです。
これは「マイナースポーツだから解析技術の研究が十分でない」というだけの理由ではありません。
もしもパンチのスピードが測定できたとしても、リーチ216㎝のタイソン・フューリーと、それより18㎝も短いオレクサンデル・ウシクとでは、戦う距離の方が大きな問題となります。
パンチのスピードが同じだとすると、小さなウシクが自分の距離を確立した時点で着弾までの所要時間はもちろん、回転数でも明白に有利となります。
また、ノニト・ドネア初戦の第2ラウンド、井上尚弥は眼窩底が骨折するほどの強打を浴びましたが、ダウンを免れました。あのときの衝撃、パワーが数値化されていたなら、ダウン確実の数値が出ていたかもしれませんが、問題は当たりどころ。
抜群の反射で当て勘抜群だった全盛期のドネアなら、あのパンチを井上のアゴかテンプルにクリーンヒットして、ゲームオーバーだったかもしれません。
どんなにスピードに乗せたパワーパンチをヒットしても、それだけではKO確定ではありません。
どこにヒットさせたのかが問題なのです。
そして、ボクシングのマトリクスではスピードやパワー、テクニックはあっても、数値には現しにくい反射や当て勘はありません。
そもそも、そんなデータまで拾い上げたとしても、結局は誰を相手にして蓄積された数字なのかに行き着きます。
雑魚相手に算出されたパーフェクトの数字には、何の意味もありません。
また、重度のKO中毒患者、井上をスタッツだけ見て「被弾が多い」と批判するのも間違いです。
ーーーそれでは、欧米風にHEAD TO HEAD(対決!)です。各カテゴリーは歴代PFPレベルで10点満点。平均が6.0。
例えば、全盛期のフロイド・メイウェザーはHAND SPEED で9.5。ザブ・ジュダーが10.0。かなり厳しい評価基準になります。現代ではシャクール・スティーブンソンが8.5。
また、ここで注意すべきはジュニアフェザー級バージョンの井上とMJがPFPレベルでどうなのか?です。
強引に攻め込んでもなかなか倒しきれない、122ポンドの井上はパンチャーと呼べるかどうかは甚だ疑問です。
HAND SPEED
〝総合的な〟ハンドスピードは井上が6.0.。コンビネーションを評価してMJは5.0。
リード、前の拳のパワー。井上なら左、サウスポーのMJなら右。
井上は6.0、MJは5.5。バンタム級の井上なら7.0以上の評価だったでしょうが…。
利き手の拳です。
これは井上陣営も認めるように、五分かもしれませんが、個人的には井上が6.0、MJが5.5。
2人とも一撃で仕留める拳は持ち合わせていません。
これは簡単。
井上が6.5。MJが4.0。
今回、井上が明白な勝利を収めるパターンとしては、ボディをどう使うかがキーになりそうです。
逆にいうと、距離が近く顔面のガードがおろそかになるボディは危険なパンチ。井上が得意のボディを出しにくい展開になると、難しい試合になりそうです。
フィジカルも含めた身体能力。
パワーと並んで、井上陣営が最も警戒するMJの特長です。
井上5.0、MJ6.0。
ENDURANCE
打たれ強さ。
大橋秀行の「見た目、頑健なボクサーは打たれ弱いことがある」が、果たしてMJにあてはまるか?
井上4.5、MJはまだ試されていないことをプラス評価してあげて5.0。
ABILITY TO SLIP AND BLOCK PUNCHES
デフェンス能力。
これは井上に高い点数を付けることは出来ません。井上は4.0。
MJは平均点、6.0。
PHYSICAL CONDITION
これも難しい。
MJはマーロン・タパレス戦を「おかしな判定」と嘆きましたが、一方で「拳の怪我が完治していなかった」と万全ではなかったと言い訳しています。
かつて減量苦の影響を試合でも露呈していた井上ですが、ジュニアフェザー級ではどの試合もしっかり仕上げています。
井上が7.5。MJは4.5。
POSE AND ABILITY TO COPE WITH EXTERNAL PRESSURES
大舞台での重圧をもろともしない性根と強心臓。
大舞台の場数は、軽量級でも注目される日本で戦ってきた井上が一枚上。しかし、MJもアマチュアの大一番で結果を残しています。
歴戦のウズベキスタン人が、完全アウエーの空気に飲まれることはないはずです。
両者とも5.0。
KILLER INSTINKT
殺傷本能。チャンスと見るや一気に襲いかかる猛獣の本能です。
これはKO中毒患者の井上に軍配。
井上が7.5。MJは5.0。
INTELLIGENCE AND STRATEGIC DEXTERITY
別掲。
CHIN AND RESILIENCE
顎の強さと回復力。
MJはまだ試されていません。井上はドネア初戦の第9ラウンドに完全に効かされ、必死のクリンチで逃げました。
井上の顎が、PFPレベルでは標準以下なのは明らか。グラスジョーではありませんが、全盛期のフリオ・セサール・チャベスやエリック・モラレス、現代のゲンナジー・ゴロフキンのような鋼鉄製ではありません。
当て勘が悪いルイス・ネリやラモン・カルデナスのパンチには、すぐに逆襲した井上でしたが、あの二つの左拳が顎をしっかりとらえていたら、もっと深刻なダメージを負ったはずです。
井上は5.0。MJも未知の部分はありますが、5.0。
EXPERIENCE
今回はプロの試合。
プロでの経験は井上が圧倒的。MJがプロ15戦、世界戦5試合しか戦っていませんが、アマチュア時代の経験とも還元されて、単純なプロでの試合数だけでは測ることができません。
それでも、井上が7.0、MJは6.0。
QUALITY OF OPPONENTS
CORNER
トレーナーやカットマン、コーナーはMJに分があります。
真吾トレーナーにはメイウェザー父・叔父やアナトリー・ロマチェンコのような汎用性は欠け、凡庸であることはもはや明らかですが、強固な信頼関係が上乗せされます。
贔屓目に見て、ともに4.5の五分。
wear and tear
さて…wear and tear、劣化の程度です。
これは目に見えないカテゴリーですが…デビューから12年間、一度もダウンしたことがなかった井上がこの1年で2度も倒された事実をどう見るか?
ネリとカルデナスという水準の低い相手にダウンを喫したことは、東京ドームとT–モバイルアリーナという大舞台、勝って当たり前の相手だから力んだという理由では片付けられません。
不安も織り交ぜて井上が3.0、MJが6.0。
しかし、ボクシングでは40年前に立ち上がったCompuBoxのかなりアバウトなスタッツくらいしか指標はありません。
例えば、野球なら打球角度と打球速度でホームランが確信できますが、ボクシングではスタッツだけで勝敗がわかることはまずありません。
ボクシングではパワーもスピードも、客観的な指標は全くないのです。
これは「マイナースポーツだから解析技術の研究が十分でない」というだけの理由ではありません。
もしもパンチのスピードが測定できたとしても、リーチ216㎝のタイソン・フューリーと、それより18㎝も短いオレクサンデル・ウシクとでは、戦う距離の方が大きな問題となります。
パンチのスピードが同じだとすると、小さなウシクが自分の距離を確立した時点で着弾までの所要時間はもちろん、回転数でも明白に有利となります。
また、ノニト・ドネア初戦の第2ラウンド、井上尚弥は眼窩底が骨折するほどの強打を浴びましたが、ダウンを免れました。あのときの衝撃、パワーが数値化されていたなら、ダウン確実の数値が出ていたかもしれませんが、問題は当たりどころ。
抜群の反射で当て勘抜群だった全盛期のドネアなら、あのパンチを井上のアゴかテンプルにクリーンヒットして、ゲームオーバーだったかもしれません。
どんなにスピードに乗せたパワーパンチをヒットしても、それだけではKO確定ではありません。
どこにヒットさせたのかが問題なのです。
そして、ボクシングのマトリクスではスピードやパワー、テクニックはあっても、数値には現しにくい反射や当て勘はありません。
そもそも、そんなデータまで拾い上げたとしても、結局は誰を相手にして蓄積された数字なのかに行き着きます。
雑魚相手に算出されたパーフェクトの数字には、何の意味もありません。
また、重度のKO中毒患者、井上をスタッツだけ見て「被弾が多い」と批判するのも間違いです。
ーーーそれでは、欧米風にHEAD TO HEAD(対決!)です。各カテゴリーは歴代PFPレベルで10点満点。平均が6.0。
例えば、全盛期のフロイド・メイウェザーはHAND SPEED で9.5。ザブ・ジュダーが10.0。かなり厳しい評価基準になります。現代ではシャクール・スティーブンソンが8.5。
また、ここで注意すべきはジュニアフェザー級バージョンの井上とMJがPFPレベルでどうなのか?です。
強引に攻め込んでもなかなか倒しきれない、122ポンドの井上はパンチャーと呼べるかどうかは甚だ疑問です。
HAND SPEED
〝総合的な〟ハンドスピードは井上が6.0.。コンビネーションを評価してMJは5.0。
FOOTWORK
井上のフットワークは直線的で強引なラインを描きます。ワシル・ロマチェンコやオレクサンデル・ウシクと比較すると、全く凡庸。6.0。
MJの足の運びもスピードと滑らかさ、アングルの多彩さに欠けます。4.5。
POWER(lead hand)
井上のフットワークは直線的で強引なラインを描きます。ワシル・ロマチェンコやオレクサンデル・ウシクと比較すると、全く凡庸。6.0。
MJの足の運びもスピードと滑らかさ、アングルの多彩さに欠けます。4.5。
POWER(lead hand)
リード、前の拳のパワー。井上なら左、サウスポーのMJなら右。
井上は6.0、MJは5.5。バンタム級の井上なら7.0以上の評価だったでしょうが…。
POWER(trail hand)
利き手の拳です。
これは井上陣営も認めるように、五分かもしれませんが、個人的には井上が6.0、MJが5.5。
2人とも一撃で仕留める拳は持ち合わせていません。
JAB
ジャブも5分とみますが、井上が5.0、MJは5.5。
MJが優るカテゴリーを見つけるのが難しいですが、スピードやパワーだけでなく、タイミングも加味してMJ。
これは、井上のワンツー(このカテがあれば9.0付けてもいいかもしれません)は考慮しません。あくまで「ジャブの刺し合いをしたら」という仮定で。
これは、井上のワンツー(このカテがあれば9.0付けてもいいかもしれません)は考慮しません。あくまで「ジャブの刺し合いをしたら」という仮定で。
HOOK
これも難しい。井上、MJとも5.0。イーブン。
これも難しい。井上、MJとも5.0。イーブン。
CROSS/UPPERCUT
ここも難しい…。
ここも難しい…。
今回のカテゴリーは「メイウェザーvsカネロ」の戦前予想から借用しましたが、単純に井上が苦手とするクロスレンジのパンチとなるとMJに分がありますが、アッパーカットとなるとどちらもけして上手くありません。
ともに4.0。
ともに4.0。
BODYPUNCHING
これは簡単。
井上が6.5。MJが4.0。
今回、井上が明白な勝利を収めるパターンとしては、ボディをどう使うかがキーになりそうです。
逆にいうと、距離が近く顔面のガードがおろそかになるボディは危険なパンチ。井上が得意のボディを出しにくい展開になると、難しい試合になりそうです。
INFIGHTING SKILLS
接近戦。
アマチュア時代から井上の課題とされ、プロでもクロスレンジでガードが緩くなる瞬間を突かれてダウンを喫してしまいました。
MJもけして得意とする距離ではなく、誰にとっても危険なギャンブルゾーン。
接近戦。
アマチュア時代から井上の課題とされ、プロでもクロスレンジでガードが緩くなる瞬間を突かれてダウンを喫してしまいました。
MJもけして得意とする距離ではなく、誰にとっても危険なギャンブルゾーン。
この距離が大好物なのはロベルト・デュランとマニー・パッキャオ、極めて稀な変態的才能だけです。
井上3.5、MJ4.0。
井上3.5、MJ4.0。
ATHLETICISM
フィジカルも含めた身体能力。
パワーと並んで、井上陣営が最も警戒するMJの特長です。
井上5.0、MJ6.0。
ENDURANCE
打たれ強さ。
大橋秀行の「見た目、頑健なボクサーは打たれ弱いことがある」が、果たしてMJにあてはまるか?
井上4.5、MJはまだ試されていないことをプラス評価してあげて5.0。
ABILITY TO SLIP AND BLOCK PUNCHES
デフェンス能力。
これは井上に高い点数を付けることは出来ません。井上は4.0。
MJは平均点、6.0。
PHYSICAL CONDITION
これも難しい。
MJはマーロン・タパレス戦を「おかしな判定」と嘆きましたが、一方で「拳の怪我が完治していなかった」と万全ではなかったと言い訳しています。
かつて減量苦の影響を試合でも露呈していた井上ですが、ジュニアフェザー級ではどの試合もしっかり仕上げています。
井上が7.5。MJは4.5。
POSE AND ABILITY TO COPE WITH EXTERNAL PRESSURES
大舞台での重圧をもろともしない性根と強心臓。
大舞台の場数は、軽量級でも注目される日本で戦ってきた井上が一枚上。しかし、MJもアマチュアの大一番で結果を残しています。
歴戦のウズベキスタン人が、完全アウエーの空気に飲まれることはないはずです。
両者とも5.0。
KILLER INSTINKT
殺傷本能。チャンスと見るや一気に襲いかかる猛獣の本能です。
これはKO中毒患者の井上に軍配。
井上が7.5。MJは5.0。
INTELLIGENCE AND STRATEGIC DEXTERITY
別掲。
CHIN AND RESILIENCE
顎の強さと回復力。
MJはまだ試されていません。井上はドネア初戦の第9ラウンドに完全に効かされ、必死のクリンチで逃げました。
井上の顎が、PFPレベルでは標準以下なのは明らか。グラスジョーではありませんが、全盛期のフリオ・セサール・チャベスやエリック・モラレス、現代のゲンナジー・ゴロフキンのような鋼鉄製ではありません。
当て勘が悪いルイス・ネリやラモン・カルデナスのパンチには、すぐに逆襲した井上でしたが、あの二つの左拳が顎をしっかりとらえていたら、もっと深刻なダメージを負ったはずです。
井上は5.0。MJも未知の部分はありますが、5.0。
EXPERIENCE
今回はプロの試合。
プロでの経験は井上が圧倒的。MJがプロ15戦、世界戦5試合しか戦っていませんが、アマチュア時代の経験とも還元されて、単純なプロでの試合数だけでは測ることができません。
それでも、井上が7.0、MJは6.0。
QUALITY OF OPPONENTS
誰に勝ったのか?
プロでは両者ともまともな強豪とは戦っていませんから、勝ってもいません。
それでも世界戦の消化数で大きく上回る井上が優ります。
井上の4.5、MJは4.0。
プロでは両者ともまともな強豪とは戦っていませんから、勝ってもいません。
それでも世界戦の消化数で大きく上回る井上が優ります。
井上の4.5、MJは4.0。
CORNER
トレーナーやカットマン、コーナーはMJに分があります。
真吾トレーナーにはメイウェザー父・叔父やアナトリー・ロマチェンコのような汎用性は欠け、凡庸であることはもはや明らかですが、強固な信頼関係が上乗せされます。
贔屓目に見て、ともに4.5の五分。
wear and tear
さて…wear and tear、劣化の程度です。
これは目に見えないカテゴリーですが…デビューから12年間、一度もダウンしたことがなかった井上がこの1年で2度も倒された事実をどう見るか?
ネリとカルデナスという水準の低い相手にダウンを喫したことは、東京ドームとT–モバイルアリーナという大舞台、勝って当たり前の相手だから力んだという理由では片付けられません。
不安も織り交ぜて井上が3.0、MJが6.0。

コメント
コメント一覧 (2)
フシ穴の眼
が
しました
例えばタイソンの強さって、パンチ力やスピードといった個々の要素というより、それらによって相手が下がらざるを得ない状況を作り、そこで特徴的なコンビネーションを打ち込むことで成立していたような気がします。そして、それはホリフィールドの頭突きで完全に破られました。
ムロジョンも、その強さを支える何かがあり、それを井上が目に見える形でストップし、その上で総合力で完全に上回る、そんな展開を期待しています。
フシ穴の眼
が
しました