歴史上、最初に「ボクシングの世界チャンピオン(初代ヘビー級チャンピオン)」と認められたのは英国のジェームズ・フィグと言われています。
1713年に「円形競技場(リング)」と呼ばれる室内競技場を建設、オックスフォード・ロード(現在のオックスフォード・ストリート)の「アダムとイブ宮殿」のすぐ近くにボクシング・アカデミーを開校、スイート・サイエンスの礎を築きました。
そこでは、拳だけでなく投げ技は蹴りも使うだけでなく、こん棒や片刃の剣の扱いまで教える、現代ボクシングとは全く違う格闘技でした。

また、フィグを「咬みつき熊」と呼ぶ文献も残っています。彼がアカデミーを開設したのは、ボクシングを咬みつきや目潰しの技も認められていた殺し合いから〝スポーツ〟に高める目的があったのかもしれません。
19世紀に入ると〝スポーツ化〟に向けたルールが続々と整備され、1867年のMarquess of Queensberry rulesが導入で一つの節目を迎えます。
①24フィート(約7.32メートル)四方のリングで、正しく立った姿勢で行う。
②レスリング(組み合い・掴み合い)は禁止。
③3分1ラウンド、インタバルは1分間とする。
④どちらかの選手がダウンした場合は、10秒以内に自力で立ち上がらなくてはならない。10秒以内に立ち上がれなければ主審はKO負けを宣言する。
⑤ロープにぶら下がって、つま先がカンバスを離れるとダウンとみなされる。
⑥3分間のラウンド中は、2人の選手と主審を除く3人以外は誰もリング内に立ち入ってはいけない。
⑦不可抗力によって試合が止められた場合は、そこまでの内容で主審が勝敗を決める。
⑧グローブは定められたサイズの新品でなければならない。
⑨グローブが破れたり、棄損した場合は取り替えなければならない。
⑩片膝を突いてもダウン。ダウンした選手に攻撃を加えると罰金が科せられる。
⑪釘やバネを仕込んだ靴やブーツの使用は禁止。
⑫その他のルールは改訂版のロンドン・プライズ・リング・ルール(ブロートン・ルール)に準拠する。

「近代」の幕明けとなったクイーンズベリー・ルールが明文化したものの中で最も有名なのはグローブ着用ルールですが、クイーンズベリーが規律した12項目の中で〝何かを足した〟のはグローブを付けることくらいで、他は全て削ぎ落とす内容でした。
目潰し、咬みつきなどultimate(何でもあり)のルールから、どんどん〝引き算〟を重ねる中で研ぎ澄まされ、近代ボクシングが完成するのです。
MMAのスタイルが形づくられるまで、最強の格闘技は柔術だと思われていますが、近代前のボクシングの存在を考えると、そうではなかったのかもしれません。
引き算を重ねていくボクシングは世界中の格闘技の中で、攻撃する部位の面積、打撃が許される面積が最も狭い格闘技になりました。
攻撃出来るのは二つの拳、しかもナックルパートだけ。面積にしたら2㎝×10㎝=10㎠、左右合わせてもわずか20㎠もない、大袈裟ではなく〝猫の額〟です。
手刀や甲、掌での打撃は全て反則。打撃が許されるのは対戦相手の上半身・正面だけ。背面への打撃は禁止。
誤解を恐れず、他の格闘技への忖度を外して語ると、〝無駄〟を排除し、究極必要最小限までシンプルな形にしたからこそ、ボクシングの美しさ、芸術性は際立っているのです。
まるで、最高の酒米を極限まで削って、磨いて、研いて、醸し出された純米大吟醸のように。
現代でも、アントニオ・マルガリートのように基本技術から逸脱し、ナックルパートをしっかり当てることの出来ない原始的なファイターも生き残っています。
また、やはり基本を習得できずに左右の拳を振り回すだけでなく、マルコス・マイダナのような手刀まで打ち下ろすファイターまでいます。
彼らは彼らで魅力的ですが、そこに洗練の香りを感じることはできません。彼らは日本酒で例えるとどぶろくか、日本酒以前の猿酒なのです。
それはそれで魅力的ですが、そこには科学も技の伝統も感じられません。
アカデミーを設立したフィグはもちろん、近代ボクシングの完成形を実演してみせたシュガー・レイ・ロビンソンの技術体型が後世に引き継がれていくのは当然です。
それでも、ボクシングが非常に危険なサイエンスであることは変わりません。攻撃に使えるのはナックルパートだけ、攻撃が許されるのは上半身正面だけ。そんな制限だらけにも関わらず、あらゆる格闘技の中で最も危険なのがボクシングです。
そして、科学を熟知したボクサーは、リングの中でファンを感動させてくれるだけでなく、きっと必ず優秀な指導者になるのも間違いありません。
1713年に「円形競技場(リング)」と呼ばれる室内競技場を建設、オックスフォード・ロード(現在のオックスフォード・ストリート)の「アダムとイブ宮殿」のすぐ近くにボクシング・アカデミーを開校、スイート・サイエンスの礎を築きました。
そこでは、拳だけでなく投げ技は蹴りも使うだけでなく、こん棒や片刃の剣の扱いまで教える、現代ボクシングとは全く違う格闘技でした。

また、フィグを「咬みつき熊」と呼ぶ文献も残っています。彼がアカデミーを開設したのは、ボクシングを咬みつきや目潰しの技も認められていた殺し合いから〝スポーツ〟に高める目的があったのかもしれません。
19世紀に入ると〝スポーツ化〟に向けたルールが続々と整備され、1867年のMarquess of Queensberry rulesが導入で一つの節目を迎えます。
①24フィート(約7.32メートル)四方のリングで、正しく立った姿勢で行う。
②レスリング(組み合い・掴み合い)は禁止。
③3分1ラウンド、インタバルは1分間とする。
④どちらかの選手がダウンした場合は、10秒以内に自力で立ち上がらなくてはならない。10秒以内に立ち上がれなければ主審はKO負けを宣言する。
⑤ロープにぶら下がって、つま先がカンバスを離れるとダウンとみなされる。
⑥3分間のラウンド中は、2人の選手と主審を除く3人以外は誰もリング内に立ち入ってはいけない。
⑦不可抗力によって試合が止められた場合は、そこまでの内容で主審が勝敗を決める。
⑧グローブは定められたサイズの新品でなければならない。
⑨グローブが破れたり、棄損した場合は取り替えなければならない。
⑩片膝を突いてもダウン。ダウンした選手に攻撃を加えると罰金が科せられる。
⑪釘やバネを仕込んだ靴やブーツの使用は禁止。
⑫その他のルールは改訂版のロンドン・プライズ・リング・ルール(ブロートン・ルール)に準拠する。

「近代」の幕明けとなったクイーンズベリー・ルールが明文化したものの中で最も有名なのはグローブ着用ルールですが、クイーンズベリーが規律した12項目の中で〝何かを足した〟のはグローブを付けることくらいで、他は全て削ぎ落とす内容でした。
目潰し、咬みつきなどultimate(何でもあり)のルールから、どんどん〝引き算〟を重ねる中で研ぎ澄まされ、近代ボクシングが完成するのです。
MMAのスタイルが形づくられるまで、最強の格闘技は柔術だと思われていますが、近代前のボクシングの存在を考えると、そうではなかったのかもしれません。
引き算を重ねていくボクシングは世界中の格闘技の中で、攻撃する部位の面積、打撃が許される面積が最も狭い格闘技になりました。
攻撃出来るのは二つの拳、しかもナックルパートだけ。面積にしたら2㎝×10㎝=10㎠、左右合わせてもわずか20㎠もない、大袈裟ではなく〝猫の額〟です。
手刀や甲、掌での打撃は全て反則。打撃が許されるのは対戦相手の上半身・正面だけ。背面への打撃は禁止。
誤解を恐れず、他の格闘技への忖度を外して語ると、〝無駄〟を排除し、究極必要最小限までシンプルな形にしたからこそ、ボクシングの美しさ、芸術性は際立っているのです。
ボクシングが「スイート・サイエンス」と呼ばれる所以です。「美しい科学」を体現したボクサーが強いのは当たり前です。
まるで、最高の酒米を極限まで削って、磨いて、研いて、醸し出された純米大吟醸のように。
現代でも、アントニオ・マルガリートのように基本技術から逸脱し、ナックルパートをしっかり当てることの出来ない原始的なファイターも生き残っています。
また、やはり基本を習得できずに左右の拳を振り回すだけでなく、マルコス・マイダナのような手刀まで打ち下ろすファイターまでいます。
彼らは彼らで魅力的ですが、そこに洗練の香りを感じることはできません。彼らは日本酒で例えるとどぶろくか、日本酒以前の猿酒なのです。
それはそれで魅力的ですが、そこには科学も技の伝統も感じられません。
アカデミーを設立したフィグはもちろん、近代ボクシングの完成形を実演してみせたシュガー・レイ・ロビンソンの技術体型が後世に引き継がれていくのは当然です。
それでも、ボクシングが非常に危険なサイエンスであることは変わりません。攻撃に使えるのはナックルパートだけ、攻撃が許されるのは上半身正面だけ。そんな制限だらけにも関わらず、あらゆる格闘技の中で最も危険なのがボクシングです。
そして、科学を熟知したボクサーは、リングの中でファンを感動させてくれるだけでなく、きっと必ず優秀な指導者になるのも間違いありません。
コメント