「(ノニト・ドネアは)debts(不良債権)だ」。
ボブ・アラムがそう言い放ったのは、2011年2月19日。
ラスベガスはマンダレイ・ベイのイベンツセンターでドネアがWBO /WBCバンタム級王者フェルナンド・モンティエルを予告通りに第2ラウンドで葬り去った〝ビッグファイト〟のあと。
タダ券をばら撒いて、上階席を封鎖しても1万2000人キャパのアリーナは半分も埋まらず…最近の井上尚弥のラスベガスと近似する〝興行事故〟でした。

母国が富裕な日本とは違い、ドネアは帰る場所のないフィリピン人。軽量級が認知されない米国でも、母国で興行をうつよりもはるかに大きな報酬が得られる〝逆・井上尚弥〟です。
「(米国で需要のない)井上と私が戦うのに日本開催以外の選択肢はなかった」と諦観していたドネアは、先日のT−モバイル・アリーナにメインに登場した井上を「彼は特別だから」と表現しましたが、そこには小さくない皮肉も込められていたでしょう。
ドネアとの再戦時に試合で使用する未開封グローブを勝手に開けた井上、憧れと見栄だけでラスベガスの大会場で試合ができる井上…お金持ちはルールも会場もお金で買えるのです。
ドネアがトップランクとの契約期間を残してゴールデンボーイ・プロモーションズと契約したことに激怒したアラムは訴訟を起こして引き戻し、プロテクトを〝解除〟されたドネアはギレルモ・リゴンドーに眼窩底を粉砕され、フェザー級王者ニコラス・ウォータースには心身とも破壊される惨敗を喫してしまいます。
さらにスパーリングでボコボコにされていたオスカル・バルデスとの試合を提示された時点で泣きつかれたアラムは「契約前だが、私は情け深いから違約金なしでリリースする」と、ようやく解放されますが、その商品価値は暴落。
オスカー・デラホーヤもドネアを再び迎え入れようとはしませんでした。
米国を主戦場にするPFPファイターでも軽量級の異邦人がラスベガスの大会場でメインを張るのは、不可能。
「ドネアvsモンティエル」も戦前からチケットの販売が大不振と報道されていましたが、井上のケースは現地では「販売不振」、日本陣営からは「売れ行き好調」と相反する情報が交錯。
しかし、T-モバイル・アリーナが発表するチケット販売の現実を見ればどちらが嘘をついているかは最初から明らかでした。
たとえ人気階級で米国を主戦場とするワシル・ロマチェンコやゲンナジー・ゴロフキンのようなPFP1位ファイターですら、マディソン・スクエア・ガーデンのスポーツアリーナは上階席封鎖や空席が目立つ状況でした。ましてや軽量級なんて…。
ヘビー級で満場一致のPFP1位に近いオレクサンデル・ウシクですら「米国で街を歩いても誰も気づかない」のが、ボクシングの現実なのです。
井上よりもはるかに長期間PFP1位に君臨、しかも人気階級で米国を主戦場としても大会場を飲むような集客は期待できないのです。
軽量級のアジア人、PFPは一瞬1位、米国での試合は憧れでときどき開催の井上では、現地の運営サイドは大量のネギを背負ったカモが喜び勇んで来てくれるのですから大歓迎ですが、一般のボクシングファンには見向きもされませんでした。
もちろん、不人気階級に満足せずパッキャオがやったように人気階級のスター選手を撃ち落とす、いまならガーボンタ・デービスやテオフィモ・ロペス、さらにその向こうのジャロン・エニスを破れば、話は全く変わってきますが…生まれながらのBサイドと、一生Aサイドの井上では立場が違いすぎます。
これは、王子と乞食の話。王子の井上がどう、乞食のパッキャオがどうという話ではありません。
仕方がないことです。
井上がメキシカンなら、米国でも認知されレオ・サンタクルスやアブネル・マレスらを上回る人気も集めることができたでしょうが…。
アジアの軽量級がどうしても、ラスベガスで嘘を重ねずに本当の人気者になって大会場をフルハウスにしたいなら〝パッキャオ〟になるしかないのです。
ボブ・アラムがそう言い放ったのは、2011年2月19日。
ラスベガスはマンダレイ・ベイのイベンツセンターでドネアがWBO /WBCバンタム級王者フェルナンド・モンティエルを予告通りに第2ラウンドで葬り去った〝ビッグファイト〟のあと。
タダ券をばら撒いて、上階席を封鎖しても1万2000人キャパのアリーナは半分も埋まらず…最近の井上尚弥のラスベガスと近似する〝興行事故〟でした。

母国が富裕な日本とは違い、ドネアは帰る場所のないフィリピン人。軽量級が認知されない米国でも、母国で興行をうつよりもはるかに大きな報酬が得られる〝逆・井上尚弥〟です。
「(米国で需要のない)井上と私が戦うのに日本開催以外の選択肢はなかった」と諦観していたドネアは、先日のT−モバイル・アリーナにメインに登場した井上を「彼は特別だから」と表現しましたが、そこには小さくない皮肉も込められていたでしょう。
ドネアとの再戦時に試合で使用する未開封グローブを勝手に開けた井上、憧れと見栄だけでラスベガスの大会場で試合ができる井上…お金持ちはルールも会場もお金で買えるのです。
ドネアがトップランクとの契約期間を残してゴールデンボーイ・プロモーションズと契約したことに激怒したアラムは訴訟を起こして引き戻し、プロテクトを〝解除〟されたドネアはギレルモ・リゴンドーに眼窩底を粉砕され、フェザー級王者ニコラス・ウォータースには心身とも破壊される惨敗を喫してしまいます。
さらにスパーリングでボコボコにされていたオスカル・バルデスとの試合を提示された時点で泣きつかれたアラムは「契約前だが、私は情け深いから違約金なしでリリースする」と、ようやく解放されますが、その商品価値は暴落。
オスカー・デラホーヤもドネアを再び迎え入れようとはしませんでした。
米国を主戦場にするPFPファイターでも軽量級の異邦人がラスベガスの大会場でメインを張るのは、不可能。
「ドネアvsモンティエル」も戦前からチケットの販売が大不振と報道されていましたが、井上のケースは現地では「販売不振」、日本陣営からは「売れ行き好調」と相反する情報が交錯。
しかし、T-モバイル・アリーナが発表するチケット販売の現実を見ればどちらが嘘をついているかは最初から明らかでした。
たとえ人気階級で米国を主戦場とするワシル・ロマチェンコやゲンナジー・ゴロフキンのようなPFP1位ファイターですら、マディソン・スクエア・ガーデンのスポーツアリーナは上階席封鎖や空席が目立つ状況でした。ましてや軽量級なんて…。
ヘビー級で満場一致のPFP1位に近いオレクサンデル・ウシクですら「米国で街を歩いても誰も気づかない」のが、ボクシングの現実なのです。
井上よりもはるかに長期間PFP1位に君臨、しかも人気階級で米国を主戦場としても大会場を飲むような集客は期待できないのです。
軽量級のアジア人、PFPは一瞬1位、米国での試合は憧れでときどき開催の井上では、現地の運営サイドは大量のネギを背負ったカモが喜び勇んで来てくれるのですから大歓迎ですが、一般のボクシングファンには見向きもされませんでした。
もちろん、不人気階級に満足せずパッキャオがやったように人気階級のスター選手を撃ち落とす、いまならガーボンタ・デービスやテオフィモ・ロペス、さらにその向こうのジャロン・エニスを破れば、話は全く変わってきますが…生まれながらのBサイドと、一生Aサイドの井上では立場が違いすぎます。
これは、王子と乞食の話。王子の井上がどう、乞食のパッキャオがどうという話ではありません。
仕方がないことです。
井上がメキシカンなら、米国でも認知されレオ・サンタクルスやアブネル・マレスらを上回る人気も集めることができたでしょうが…。
アジアの軽量級がどうしても、ラスベガスで嘘を重ねずに本当の人気者になって大会場をフルハウスにしたいなら〝パッキャオ〟になるしかないのです。
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