性懲りもなく変わり映えのしない新たなシリーズの始まり、はじまり。

17階級で最も大きなインパクトを残したファイターを完全な独断と偏見で国内から1人、海外から1人選んでいきます。

選ぶのは80年代以降、つまり団体分裂と階級増殖という二重のガン細胞がこの素晴らしいスポーツを蝕み始めてからの時代しか知らない私です。

団体と階級だけでなく、団体内同一階級でも王者が乱立する4-Belt eraをどんなに嗤ってみせても、その発露は80年代でした。

そういうわけで、私がインパクトを受けたファイターは、いわゆる〝水増し階級〟の選手が多くなるはずです。

june2020-cover-308x432
ーーーさて、もちろん最初は【ストロー級】。

105ポンド、47.627kgのクラスは「ストロー」や「ミニフライ」「ミニマム」とさまざまな呼称を持っています。

そして、欧米では偏見と差別の目で見られがちな軽量級の中でも、特に偏見と差別を受ける〝ゲットー級〟です。

欧米どころか日本ですら「廃止しろ!」という声まで浴びせられる、風当たりの強い階級ですが、リカルド・ロペスやローマン・ゴンサレスを見てしまうと軽はずみなことは言えません。

この〝最低階級〟で最もインパクトを残したのは、井岡弘樹で異論はないでしょう。

WBC最初の王者にして、エディ・タウンゼントが手がけた最後の作品。

「ストロー級はレベルが低い」と見下されることもあった少年王者は、ジュニアフライ級で将来モダーン部門で殿堂入りすることになる当時のPFPファイター柳明佑にキャリア初、そして唯一の黒星をなすりつけたのです。

井上尚弥がオマージュを込めたトリプルアッパーの新井田豊、弘樹の甥・井岡一翔、世界最速の田中恒成、現時点では過大評価の重岡銀次朗…日本が好き勝手できる軽量級の中でも最も好き勝手しているクラスです。

【世界】に目を向けると、長らくPFPを回遊
リカルド・ロペスで、やはり文句無しか。

ロペスの凄みは、連続防衛や無敗記録よりも、簡単にKOした相手が上の階級で活躍するという、誰に勝ったのか?を明示していることに尽きます。

そして、詰め将棋のようにコンビネーションを操るローマン・ゴンサレス。

2年もPFPキングに君臨したチョコラティトは、一部の欧米のファンを「あんなに滑らかで軽快な動きは重量級では絶対無理。PFPなんて意味がない」と嘆かせました。

そして、安易な複数階級制覇が蔓延る時代で、ロペスはたったの1階級上で、チョコラティトも10ポンドの壁で別人のような姿を晒してしまいました。

彼らはレベルの低いストロー級だから卓越したパフォーマンスを見せたのではなく、105ポンドで完成しきっていたがゆえに階級の壁に敏感になってしまったのかもしれません。