Money Changes Everything
「軽量級は日本(の財力や縁故で)好き勝手できる」マイナーであるのに対して、「欧米の大プロモーターや強力なプラットフォームをもってしてもコントロールできない」のがウエルター級からヘビー級を核としたスター階級、メジャーです。
そこにはラスベガスの有力なカジノ&リゾーツがsite feeという「莫大なカネを支払ってメガファイトを招致する」日本的な感覚では理解しにくい〝遠回りの経済力学〟も働いています。
いずれにしても、ファンが「絶対に見たい」と希求するスター階級のメガファイトはいくつもの障害物を越えなければ実現できません。
ーーーそのはずでした。

しかし「我々が対抗する次元をはるかに超えている」(MGMグループ)というサウジアラビアの札束攻勢は、あらゆる障害物を簡単に払い除けました。
あれほど憎しみあっていたフランク・ウォーレンとエディー・ハーンがサウジアラビアの首都リヤドで笑いながらハグするのですから。
もし、サウジがスポーツ・ウオッシュに投資するのが15年早ければ「フロイド・メイウェザーvsマニー・パッキャオ」は再戦まで簡単に実現していたでしょう。
メイウェザーとボブ・アラム、SHOWTIMEとHBOの深い確執、メイウェザーとパッキャオの駆け引き…複雑怪奇に見えた数えきれない障害物は、オイルマネーという魔法のホウキであっさり履き清められていたはずです。
そんなサウジにとって「カネロ・アルバレスが1試合で1団体に支払う認定料以下」という廉価な資産価値しかないリング誌を手に入れるのは、息を吐くよりも簡単な作業でした。
サウジが進めるスター選手囲い込み、その最大のターゲットであったカネロは「カネで何でも買えると思ってるようだが、私を動かすことはできない」と公言してきましたが、今週、ついに籠絡されてしまいました。
Money Changes Everything.ーーーカネで買えないものは、少なくともボクシング界には何一つとしてありません。
Vows made in storms are forgotten in calms.

リング誌は1922年2月に創刊、米国の興行屋のテックス・リガードと、近代ボクシングの発展に大きく関わったロンズデール伯爵の2人が表紙に並びました。
背広を着た山師と、英国貴族。真逆の人間に思えますが、トドのつまりは同じ穴のムジナ。
その意味では、不条理な社会を見事に映し出した一幅の絵画にも思えてきますが、いずれにしても運営側の人間です。
本来なら…。
当時、多くの人を熱狂させ、ボクシングの枠を超えてスポーツ界の顔であったジャック・デンプシーこそ表紙にふさわしかったはずです。
そのことを悔恨した100年後のリング誌編集部は、最終号にデンプシーを起用しました。

⬆︎2022年11月・12月合併号。長期にわたる極度の販売不振からついに廃刊したリング誌、その最終号です。
サウジアラビアに完全買収されたリング誌は「WE’RE BACK! PRINT IS NOT DEAD〜リング誌の復刊!死んでたまるか、紙媒体」と宣言、なんとプリントバージョンを復活させます。
新生・リング誌はここまで2024年12月号(表紙:タイソン・フューリーvsオレクサンデル・ウシク)、2025年1月号(2024年のFighter Of The Year候補=中谷潤人、ウシク、バム・ロドリゲス、ダニエル・デュボア、アルツール・ベテルビエフ)、2月号(ウシク)の3冊をプリント。

さらに、先日はデジタル版で「COMIC BOOK〜UNDISPUTED」をアップ。ウシクとフューリーの激闘を漫画化しています(…出来栄えについては一切何も触れません、それで察してくださいませ)。
いずれの表紙もリヤドシーズンの主役ウシクが絡む、スター階級を手玉に取ったサウジならでは。
アンソニー・ジョシュアとフューリー、英国の人気者を競り落としたウクライナ人の商業的価値は決して高いものではありませんが、サウジは算盤をはじいてボクシング市場に参入したわけではありません。
濃厚にサウジ色を放つ企業が並ぶ広告はさておき、誌面もリヤド・シーズン寄りですが、個人的には許容範囲です。
しかし、潤沢な資金が投入されて、リング誌は苦境の断末魔に刻んだはずの100年前の悔恨をすっかり忘れてしまったようです。
先日、ロンドンで行われた、豪奢なリング誌の年間表彰式(昨年はBWAAの表彰式にオマケ的に行われた)を見ると、まあそれも無理はありません。
Vows made in storms are forgotten in calms. ーーー激しい嵐に襲われたときの誓いは、平穏によって簡単に忘れ去られる…なんて無理やり訳さなくても「喉元過ぎれば熱さを忘れる」です。
⬇︎これは、その絢爛豪華な表彰式後の写真撮影。

遠近法を無視したヂャン・ヂレイの巨大な顔面が気になりますが、そこは今回のお話とは関係がないので無視するように。
センターは、サウジの総合娯楽庁長官のトゥルキ・アラルシク。
そして長官をウシクとカネロが挟んで、ロベルト・デュランも。この4人が最前列。
日本で組閣や内閣改造時に撮られる集合写真⬇︎を連想しますが、並べてしまうと組閣の集合写真があまりにもショボすぎる…。アスリートと死にぞこないの政治家ではそもそもの映りが違うとはいえ…。

どちらも「誰が主役」なのかが明らかな集合写真です。
組閣の写真でおぼっちゃまくんがセンターなのは当然ですが、年間表彰式の主役はウシクでしかありえないはずなのに…。
あの写真は年間表彰式ではなく、ウシクとカネロを従えたサウジの「ボクシング界 征服完了」の記念撮影に見えてしまいます。
まあ、そういうことです。100年前の創刊号の表紙と同じことを繰り返しているのです。
Vows made in storms are forgotten in calms. Money Changes Everything.
おぼっちゃまくんも先は短いでしょうから、次の組閣写真のときはサウジのMoney Changes Everything.パワーで、アラルシク長官をセンターに配したりすると面白いのですが…。
「軽量級は日本(の財力や縁故で)好き勝手できる」マイナーであるのに対して、「欧米の大プロモーターや強力なプラットフォームをもってしてもコントロールできない」のがウエルター級からヘビー級を核としたスター階級、メジャーです。
そこにはラスベガスの有力なカジノ&リゾーツがsite feeという「莫大なカネを支払ってメガファイトを招致する」日本的な感覚では理解しにくい〝遠回りの経済力学〟も働いています。
いずれにしても、ファンが「絶対に見たい」と希求するスター階級のメガファイトはいくつもの障害物を越えなければ実現できません。
ーーーそのはずでした。

しかし「我々が対抗する次元をはるかに超えている」(MGMグループ)というサウジアラビアの札束攻勢は、あらゆる障害物を簡単に払い除けました。
あれほど憎しみあっていたフランク・ウォーレンとエディー・ハーンがサウジアラビアの首都リヤドで笑いながらハグするのですから。
もし、サウジがスポーツ・ウオッシュに投資するのが15年早ければ「フロイド・メイウェザーvsマニー・パッキャオ」は再戦まで簡単に実現していたでしょう。
メイウェザーとボブ・アラム、SHOWTIMEとHBOの深い確執、メイウェザーとパッキャオの駆け引き…複雑怪奇に見えた数えきれない障害物は、オイルマネーという魔法のホウキであっさり履き清められていたはずです。
そんなサウジにとって「カネロ・アルバレスが1試合で1団体に支払う認定料以下」という廉価な資産価値しかないリング誌を手に入れるのは、息を吐くよりも簡単な作業でした。
サウジが進めるスター選手囲い込み、その最大のターゲットであったカネロは「カネで何でも買えると思ってるようだが、私を動かすことはできない」と公言してきましたが、今週、ついに籠絡されてしまいました。
Money Changes Everything.ーーーカネで買えないものは、少なくともボクシング界には何一つとしてありません。
Vows made in storms are forgotten in calms.

リング誌は1922年2月に創刊、米国の興行屋のテックス・リガードと、近代ボクシングの発展に大きく関わったロンズデール伯爵の2人が表紙に並びました。
背広を着た山師と、英国貴族。真逆の人間に思えますが、トドのつまりは同じ穴のムジナ。
その意味では、不条理な社会を見事に映し出した一幅の絵画にも思えてきますが、いずれにしても運営側の人間です。
本来なら…。
当時、多くの人を熱狂させ、ボクシングの枠を超えてスポーツ界の顔であったジャック・デンプシーこそ表紙にふさわしかったはずです。
そのことを悔恨した100年後のリング誌編集部は、最終号にデンプシーを起用しました。

⬆︎2022年11月・12月合併号。長期にわたる極度の販売不振からついに廃刊したリング誌、その最終号です。
サウジアラビアに完全買収されたリング誌は「WE’RE BACK! PRINT IS NOT DEAD〜リング誌の復刊!死んでたまるか、紙媒体」と宣言、なんとプリントバージョンを復活させます。
新生・リング誌はここまで2024年12月号(表紙:タイソン・フューリーvsオレクサンデル・ウシク)、2025年1月号(2024年のFighter Of The Year候補=中谷潤人、ウシク、バム・ロドリゲス、ダニエル・デュボア、アルツール・ベテルビエフ)、2月号(ウシク)の3冊をプリント。

さらに、先日はデジタル版で「COMIC BOOK〜UNDISPUTED」をアップ。ウシクとフューリーの激闘を漫画化しています(…出来栄えについては一切何も触れません、それで察してくださいませ)。
いずれの表紙もリヤドシーズンの主役ウシクが絡む、スター階級を手玉に取ったサウジならでは。
アンソニー・ジョシュアとフューリー、英国の人気者を競り落としたウクライナ人の商業的価値は決して高いものではありませんが、サウジは算盤をはじいてボクシング市場に参入したわけではありません。
濃厚にサウジ色を放つ企業が並ぶ広告はさておき、誌面もリヤド・シーズン寄りですが、個人的には許容範囲です。
しかし、潤沢な資金が投入されて、リング誌は苦境の断末魔に刻んだはずの100年前の悔恨をすっかり忘れてしまったようです。
先日、ロンドンで行われた、豪奢なリング誌の年間表彰式(昨年はBWAAの表彰式にオマケ的に行われた)を見ると、まあそれも無理はありません。
Vows made in storms are forgotten in calms. ーーー激しい嵐に襲われたときの誓いは、平穏によって簡単に忘れ去られる…なんて無理やり訳さなくても「喉元過ぎれば熱さを忘れる」です。
⬇︎これは、その絢爛豪華な表彰式後の写真撮影。

遠近法を無視したヂャン・ヂレイの巨大な顔面が気になりますが、そこは今回のお話とは関係がないので無視するように。
センターは、サウジの総合娯楽庁長官のトゥルキ・アラルシク。
そして長官をウシクとカネロが挟んで、ロベルト・デュランも。この4人が最前列。
日本で組閣や内閣改造時に撮られる集合写真⬇︎を連想しますが、並べてしまうと組閣の集合写真があまりにもショボすぎる…。アスリートと死にぞこないの政治家ではそもそもの映りが違うとはいえ…。

どちらも「誰が主役」なのかが明らかな集合写真です。
組閣の写真でおぼっちゃまくんがセンターなのは当然ですが、年間表彰式の主役はウシクでしかありえないはずなのに…。
あの写真は年間表彰式ではなく、ウシクとカネロを従えたサウジの「ボクシング界 征服完了」の記念撮影に見えてしまいます。
まあ、そういうことです。100年前の創刊号の表紙と同じことを繰り返しているのです。
Vows made in storms are forgotten in calms. Money Changes Everything.
おぼっちゃまくんも先は短いでしょうから、次の組閣写真のときはサウジのMoney Changes Everything.パワーで、アラルシク長官をセンターに配したりすると面白いのですが…。
コメント
コメント一覧 (1)
一見格好良いセリフのようですが超金満ボクサーのカネロが言うと
「私はどんな大金を積まれても圧倒的不利予想が出る相手とは試合はしない」
に聞こえてしまう……
スーパーウェルター級ではラスト2ラウンドで何とか相手を振り切る程度の内容だったクロフォードは
今のカネロにとってさほど怖い相手ではないし。
フシ穴の眼
が
しました