「パンチの軌道が把握できていなかった」。

Lineal/リング誌/アルファベット4団体統一王者の言葉は少し意外に聞こえました。

対戦相手がサム・グッドマンからキム・イェジュンに変更されたのは13日前。そこから追加スパーリング行い対策したそうですが、PFPファイターをもってしても難しい試合だったようです。

もちろん、実力差は目も当てられないほど。

最近のスター選手のチェリーピック(雑魚狩り)では、カネロ・アルバレスvsアブニ・イルディリム(2021年5月14日)のようなケースもありましたが、それよりも酷いものでした。

もちろん、井上には責任はありません。また、試合内容は完勝。

いつものように被弾する場面もありましたが、32歳の韓国人の左右の拳には怖さが全く感じられませんでした。

真っ直ぐパンチが打てない、ショートでも遅くて遠回りというキムの技術レベルは、井上にとってこのレベルを想定して練習していないでしょうから、そこにも戸惑いがあったかもしれません。

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 ⬇︎ジャブのスタッツ
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⬇︎パワーパンチ
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⬇︎トータル
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スタッツを見ると井上は相変わらず被弾が多いように見えますが、あの超攻撃的スタイルで被弾が少ないなんてあり得ません。あのスタイルを考えると、被弾率は低いと言っても良いでしょう(相手が気圧されて手が出ないという面もありますが)。

それでも「少しもらいすぎた」(井上)と語ったのは、やはり「パンチの軌道が把握できなかった」という印象からかもしれません。

スタッツを見て、キムにあらためて失望したのはオープニングラウンドに出したパンチがわずか7発(着弾ゼロ)という、笑うしかない消極性。

序盤は様子を見ながら立ち上がり、相手の実力・特徴をつかんでから攻勢に出る…そんな当たり前が通用する相手、実力差ではありません。

これまでも書いてきましたが、キムに一縷の望みがあるとしたら、初回から猛攻を仕掛けて、ダメージを与えることはできなくても、井上のリズムを崩す、警戒心をマックスに引き上げて微妙なラウンドを積み重ねることしかありませんでした。


「7−0」というスタッツは、井上の攻勢に後方へジャンプするように避ける反応ととも、完全に萎縮しきっていたことも表しています。

フィニッシュは非常に美しいワンツーでしたが、そこに至るまでは井上のタイミング、当て勘がズレているようにも感じました。

当て勘は反射と強く結びつきます。パワーやスピードは劣化を抑えることができても、反射は加齢とともに一番早く失ってしまう要素です。



一方でキムの当日体重は147ポンド(66.68kg)!前日計量から20.5%増、25ポンド(11.34kg)もリバウンドして、リングに上がりました。

TJドヘニーら、リミットの20%を超えてリバウンドするファイターも珍しくありませんが、1日で10kg以上の重りを付けるなんて常識的には考えられません。

これまで「12%前後」とされてきたリバウンドの理想の数字が、変わるかもしれません。