Prime Video Presents Live Booxing 9

荒本一成のプロデビュー戦も含めて、4試合とも面白い試合になりました。

蒸し暑い夜の最高の勝者は、両国まで足を運んだボクシングファンです。

さて、7月の熱帯夜に私たちが理解した7つの真実。



①中谷潤人は井上尚弥を倒す最有力候補である。

ビンセント・アストロラビオを初回で仕留めたことが、PFPファイターにとってどの程度の意味があるのか?

中谷が目指すPFPキングへの道のりに大きな影響はありません。

ただ、どこにでも転がっているアルファベット団体のタイトルホルダーでないことはもうわかりました。中谷がどこのレベルにいるか、もう疑問を持つ人はいないでしょう。

この勝利で Transnational Boxing Rankings BoardやESPNのPFPリストにも名前が記されることになりそうです。

Nakatani namechecked Naoya Inoue, stating that he would get stronger and be ready. Fight fans are certainly ready for such a spectacle.

そして、本人が何度も口にしてきた「井上尚弥」。対戦時には井上は3位以内、中谷も5位前後に入っているかもしれません。勝てば、目標のPFPキング達成が確実。

現在のフェザー級以下のボクシングシーンで最も評価が高いのは井上尚弥、次いでバム・ロドリゲス、そして中谷。

バムが井上や中谷の名前を出しても、エディ・ハーンは絶対にやらせないでしょう。

井上にとっても中谷にとっても、このチャンスをフイにするようなら「誰に勝ったのか?」という問いには薄笑いを浮かべるしかないキャリアになってしまいます。

やるしかない。





②その他3団体バンタム級王者は中谷潤人を避ける。


WBA井上拓真、WBC武居由樹、IBF西田凌佑。この三人は自分も王者なのに、あらゆるメディアが中谷を最強に推している現状を悔しい思いで受け止めているでしょう。

ただ、陣営としては絶対にやらせたくありません。

この空気をすでに感じている中谷は「4団体統一ができないなら上にあげる」。

バンタム級の対立王者がダックしてくれることは、中谷の決断を早めることにつながります。そして、それは井上尚弥にとっても悪いことではありません。



③那須川天心は井上拓真を翻弄する。

減量苦で階級最弱と見られている西田、ストーリーラインが見える(先延ばしで団体統一戦にするのが興行的にベスト)武居の2人は、天心の世界初挑戦として「勝っても評価が上がらない」「今じゃない」相手。

昨夜のジョナサン・ロドリゲスや、ルイス・ロブレスはアルファベット団体の世界ランカーですが、それ即ち普通の世界王者がピックアップする雑魚挑戦者。

現時点で、平凡な世界王者なら天心は簡単に攻略してみせるでしょう。

すでに噂されているように、ターゲットは井上拓真か。

毎試合進化している天心と、世界戦でスッキリ勝てたのは完全劣化バージョンの元ジュニアバンタム級王者ジェルウィン・アンカハスだけの拓真。

現在のタイトルもリボリオ・ソリスに勝って手に入れたもので、拓真の対戦相手は井上信者らが罵倒する亀田以下のクオリティであることは誰も否定できません。

天心の次戦が拓真でも、時期尚早ではありません。それどころか勝敗予想やオッズは互角か天心に傾くでしょう。厳しい言い方ですが、モノが違う。

スタミナと根性は世界基準の拓真ですが、スローモーションにしか見えない41歳バージョンのソリスに押される場面もあり、打たれ強くもありません。経験したことのない天心のスピードとタイミングに何もできずにワンサイドゲームになったとしても全く驚きません。

しかし、次戦は「紅葉が楽しめる季節に」(天心)、空位のWBOアジアパシフィックか、東洋太平洋王者・栗原慶太への挑戦になりそう。



④バンタム級統一の機運はバムが上がるタイミング。

「ジュニアバンタム級を統一したら、バンタム級にあげる」というバムが日本人独占のクラスに乗り込んでくるのは、早くて2026年前半。中谷がこのクラスに見切りをつけるタイミングになります。

「バンタム級の日本人で天下一武道会やったらいいんじゃないですか」(天心)というファン待望のトーナメントはすぐには始まりません。

現状の中谷を除く3人は、いつ誰に負けてもおかしくない穴王者(武居由樹だけが成長のポテンシャルを持っています)。2026年のバンタム級シーンはWBAとIBFで日本人が陥落している可能性は低くありませんが、天心がどちらかのストラップ(あるいは中谷が返上したWBC)を獲ってるかもしれません。

武居vs天心の勝者が、日本でバムと…。なかなかのメガファイトになります。




⑤荒本一成の未来は誰にもわからない。

〝アマチュア12冠〟のデビュー戦は、全く無名のモンゴル人(ムングンツォージ・ナンディンエルデン)。

身長179㎝/リーチ178㎝の荒本一成が目指すのは、難攻不落の人気階級ど真ん中。

デビュー戦の相手とその内容を見れば、村田諒太とは全く違うタレントであることが、誰にでもわかります。

世界ではミドル(中量)級でも、日本人にとってのミドル級は最重量、問答無用の重量級。

この階級でベルトを巻いたのは、史上2人だけ。

〝完全に舐め切ったホルヘ・カストロ〟という千載一遇をモノにして、後楽園ホール最大の奇跡を演出した竹原慎二。〝帝拳と電通によって周到に敷かれた線路上で〟4Belt Era17階級時代とはいえタイトル返り咲きと通算2度の防衛を果たした村田諒太。

村田とは全く違う完全ローカル線の線路の上でデビューした荒本ですが、千載一遇が訪れるなら〝人気階級ど真ん中〟を射抜く3人目の日本人になる可能性はゼロではありません。


蛇足ですが、五輪も世界選手権も外したアマ12冠なんて表現は、そろそろやめなければなりません。〝アマ◎冠〟と騒がれても、彼らはほぼ100%、アマチュアの頂点へ挑戦することも出来ずにプロに転向してきたのですから。




⑥オラスクアガは〝再戦〟で勝てるか?

アンソニー・オラスクアガ、悲願のタイトル奪取。

フィニッシュは飛び込みざまの左アッパー。

初回から加納を圧倒、KOは時間の問題と思わせた一方で、ディフェンスの甘さは相変わらず。

鮮やかなタイトル獲得の最大の要因は、相手が加納陸だったこと。それに尽きます。

宿敵・寺地拳四朗は7月15日にWBAとWBCのタイトルを返上。フライ級に上げると発表しました。

「オラスクアガvs拳四朗2」。これはかなり面白い試合になりそうです。

しかし、WBCはすでに先月「フライ級王者決定戦を11月に日本で行う」とアナウンス。寺地とクリストファー・ロサレスの対戦が内定しています。

オラスクアガと拳四朗。両者が無敗のままなら、来年にも再戦がセットされるはず。




⑦田中恒成はVSバムの最短距離にいる。

ジョナタン・ロドリゲスが2.9kgもリミットオーバー、国内開催の世界戦で史上初の体重超過による中止に直面したWBOジュニアバンタム級王者・田中恒成は不運としか言いようがありません。

しかし、この階級は井岡一翔を破ったフェルナンド・マルチネスがWBAとIBFのストラップを束ね、The Ring/Lineal/WBC王者はバム・ロドリゲス。

マルチネスもバムも対戦交渉で障害の少ない相手。

この2人との対戦となると、複数階級制覇の数は恒成が上でもアンダードッグ扱いになります。

昨夜のリング上で「予想は不利なのは分かっています。でも、ここに挑まなければ。統一戦が実現するまで防衛戦を勝ち続けます」と宣言、恒成は恒成です。