優勝候補筆頭の米国代表がラウンド16でまさかの敗退。

90分間と延長30分、押し気味に試合を進めながらもPK戦に持ち込まれ競り落とされた〝史上最強チーム〟は、オッズ上は番狂せを喰らったことになります。

しかし、グループステージからの戦いぶり、そしてスウェーデン戦を見れば、監督・コーチも含めたこのスター軍団は連携と決定力が欠如、チームとしての体をなしていなかったことは明らかです。

ペナルティエリアまで侵入しながら得点できなかったとき、自分を叱るように叫んでいるだけの選手の姿に衝撃を受けました。

同じようなシーンで、なでしこたちは、すぐにバス交換した味方と、ベンチに視線をやって、プレーを再確認、反省しながら微笑み合うのとは全く対照的でした。

野球ならまだしも、サッカーで連携と規律を失えば、個々の力がどんなに強烈でもどうしようもありません。

そして、今週金曜日になでしこと激突するスウェーデンもまた、連携と規律に優れたチームです。

なでしこが七色の攻撃パターンを持つのに対して、スウェーデンはクロスとロングボールから高さというストロングを打ち出す頑なの一撃を持っています。

「ノルウェーの上位互換」というのはナメた表現に聞こえますが、その通りです。

そうです「上位」互換です。

この大会でなでしこが刀傷を負ったのは、ノルウェーの高さに斬りつけられた一つだけですが、あのパターンに持ち込まれると体格で劣るなでしこにはどうしようもありません。

そして、そのノルウェーはオウンゴールで日本に先制され主導権を奪われましたが、ファイブバックの鋼鉄のカーテンを敷いて日本の波状攻撃に備えていました。

「大会前なら強豪のノルウェーがあんな守備陣形を取るわけがない。なでしこはここまで恐れられてるのかと感心する一方で、よく研究されていた」(安藤梢)。

ノルウェー戦は日本にとって、vsスウェーデンに向けての格好のテストマッチでしたが、それはスウェーデンにとっても全く同じことでした。

いいえ、なでしこにとって成功体験となってしまったノルウェー戦は、スウェーデンにとって同じスタイルの隣国の敗北から多くのものを学習できるこれ以上ない教材になっているはずです。

「今日の勝利は明日の悪手」と言い切ったのは羽生善治。

「スウェーデンの高さに頼る攻撃はワンパターン」という意見もありますが、ノルウェーもそうでした。なでしこは、あれほど警戒していたそれに、すでに切りつけられているのです。

「1万通りの蹴りを1回ずつ練習した相手は怖くないが、たった一つの蹴りを1万回練習してきた相手ほど恐ろしいものはない」。そう語ったのはブルース・リー。


真冬の南半球の金曜日。なでしこの前に立ち塞がるのは、残念ながら空中分解したアメリカではありません。

ノルウェーの敗北を目の当たりにし、同じ蹴りを1万回練習してきた規律と信念が貫徹された北欧のチームです。