オールスターで最後の投手MVPになったのが、藤浪晋太郎(2015年)です。

出場機会がスター選手たちに〝分配〟されるオールスターの場合、短いイニングで鮮烈な結果を出さなければいけない投手がMVPに選ばれる難易度は一気に跳ね上がります。

打者は一打席でも代打逆転打を放てますが、投手は短いイニングしか任されず、何よりもスコアを動かすことはできません。

1960年以降、投手がMVPになったのは計10人延べ13回。複数のMVPを獲得したのは、金田正一(1960年/1964年)、江夏豊(1970年/1971年/1980年)の二人のサウスポーだけ。

江夏の出色ぶりが目を引きますが、3度の受賞の内訳がまた途轍もないパフォーマンスでした。

1971年の9者連続三振は伝説として今も語り継がれていますが、実は前年から数えると15者連続三振。このサウスポーの三振奪取能力がいかに秀悦であったかを改めて思い知らされます。

さらに、江夏のMVPでもっとスポットライトを浴びても良いのが1980年。前年1979年の日本シリーズは、やはり伝説の「江夏の21球」で広島を日本一に導きました。

このブログでも指摘していますが「江夏の21球」はマッチポンプ、〝自作自演〟の快投でした。もちろん、自ら崩れそうになっておきながら、見違えるような投球を見せつけた江夏ほどハートの強いアスリートはいません。

そして、1980年オールスターに出場した江夏はかつての剛球投手ではなく、打者との駆け引きに長けた救援投手。9回表、全セ1点リードながら無視満塁でマウンドに上がったのは江夏。

「江夏の21球」は自作自演でしたが、このときは違います。

そして、江夏は3者連続三振に斬って抑えるのです。

時代を超えてアスリートを比較するのは不可能、楽しい妄想でしかありません。

それでは、「佐々木朗希や大谷翔平よりも江夏の方が三振奪取能力が高い」というという仮説も、妄想に過ぎないのでしょうか?

そして、藤浪です。

現代スポーツ界で、ある意味ユニコーンよりも神秘的な存在は、大方のアンチが決めつけていた「1年契約だから今季でクビ。NPBでも獲得する球団はない」という予想はおそらく裏切られ、来季もMLBで神秘的な投球を繰り返していそうです。

いや、もしかしたら神秘的な投球が見られるのは今季限りで、来季はオールスターでも快投を見せているかもしれません…。