別府大分毎日マラソンで、青学大4年の横田俊吾が学生新記録となる2時間7分47秒でゴール、日本人2番手の4位に入りました。

横田は、10月に開催される2024年パリ五輪のマラソン日本代表選考会(MGC)の出場権も手に入れました。

従来の記録は、2003年3月のびわ湖毎日マラソンで藤原正和がマークした2時間8分12秒。

箱根駅伝、関東学生の競技レベルが爆発的に上がっている中で、20年間も記録が凍りついている原因については「箱根への特化」「箱根での燃え尽き」など、すでに散々指摘されてきました。

それでも、20年も止まっていた時計の針を動かした横田の走りは素直に素晴らしかったです。 

箱根駅伝が大きな注目を浴びることは、学生時代に本選出場は叶わなかったものの、4年間予選会を走った私にとっても嬉しいことです。

ただ、物事には順番があります。箱根駅伝は関東ローカルの大会で、本選には毎年200人が出場します。決してエリート中のエリート大会ではありません。

200人の中から選ばれたランナーが、実業団など次のステージに進むわけです。その、より高いレベルのステージでの注目度が箱根を明らかに下回るというのでは、これはやはり大きな問題だと言わざるを得ません。

もちろん、野球でも実業団や大学よりも甲子園が注目されるという矛盾はありますが、MLBを頂点とするピラミッドの小さな凹凸です。

日本マラソンが没落した最大の原因はアフリカ勢が競技に本腰を入れたから、箱根駅伝がもてはやされすぎたから、というのはある側面で事実かもしれません。

日本マラソンが世界と互角以上に戦っていた80年代までの歴代記録には、日本人はもちろん白人選手も上位に名前を刻んでいましたが、現在ではケニアとエチオピアの独壇場です。

アフリカ勢を核にした世界のレベルアップに日本が追いつけない…。しかし、よくよく考えると不思議な気もします。

箱根駅伝は恐るべきレベルアップを続けているのです。日本の長距離、その「裾野」は間違いなく広がっています。

かつて、学生では珍しかった1万メートル28分台で、今では数えきれないほどのランナーが走っています。

箱根駅伝のレベルは爆発的に上がったというのに、マラソンの記録は匍匐前進のようにもどかしい…その最大の原因は、おそらく「日本人1位」という絶対に大手を振って歩かせてはいけない言葉に凝縮されています。

大迫傑はあれほど速くて強いのに、どうして一度もマラソンで勝てないのか?「日本人◯位」という言葉に絡み取られながら走っているから、というのは決めつけし過ぎでしょうか。

「裾野」で一番になれば良い、という勝負事ではあり得ないロジック、それが「日本人1位」の正体です。

「裾野」の頂点を目指しているということは、山頂を極めるのはもちろん、アタックすることも放棄しているということです。

もちろん「日本人◯位」を確保しなければ、世界選手権にも五輪にも出場できません。ただ、そこに拘泥した考え方、メディアの報じ方は、敗者を大量生産するだけです。