ファイティング原田と井上尚弥。

フレディ・ローチは「まだ早い」と却下しましたが、個人的には、井上が現時点でも比較材料を精査する段階までは迫っている、と考えています。


フレディ、そいつはちょっと違うぜ!…


しかし、約60年の歳月を隔てた2人の比較は「ベーブ・ルースと大谷翔平」のミニチュア版で、そもそも比較出来ないという意見もあるでしょう。

日米の市場でまだボクシングがメジャーだった60年代、1団体10階級時代のわかりやすさと、世界王者になっても国民的ヒーローとは言い難い21世紀、4団体17階級時代。

「世界王者は強い」「世界ランカーに弱い奴はいない」そんな原田時代と、「世界王者も世界ランキングも認定団体の匙加減一つ」になってしまった井上時代。

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アジア史上初の4団体統一王者、という井上の肩書きは、1団体時代の原田と比べるときには全く意味のない〝偉業〟です。

原田の時代には存在しなかったジュニアフライ級やジュニアバンタム級をカウントして、井上を「3階級制覇」、原田を「2階級制覇」と見ることには何らかの補正が必要でしょう。

そもそも、原田は4団体を統一する必要も、水増し階級に手を出す必要もなかったのですから。

原田と井上。1-Belt /10divisionと、4-Belt/17division。その差は確かに無視できないように見えます。

しかし…。

他のスポーツではあり得ないボクシングの「4団体」は、弁解の余地なく腐りきっていますが〝エクスパンション〟はプロボクシングに限ったことではありません。

昨年、日本列島を沸かせたサッカーW杯、原田の1960年代は、現在の半分16ヵ国しか参加枠がありませんでしたが、現在は32カ国、2026年大会は48カ国に拡大されます。

また、MLBも60年代に18球団から20、24と球団数を増やし、現在は30球団と、ベーブ・ルースの時代から2倍近くも膨張しています。

それなのに、どうしてサッカーやMLBのエクスパンションには、ボクシングほど厳しい非難・批判は巻き起こらないのでしょうか?

出場国枠や球団数を増やしてもチャンピオンの座は一つだけ、ということはあるでしょう。ボクシングの場合は、団体と階級が増えてしまい、そこが崩壊しているのです。

また、野球やサッカーはメジャースポーツとしての成長・発展に伴う、健康的なエクスパンションだという側面もあるでしょう。

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いずれにしても…考えれば考えるほど、原田に有利で井上に不利な材料しか掘り起こせない気がしてきました…。

「60年前の原田よりも、現代の井上の方が技術的に優れている」という理屈は証明はできないものの、説得力はあります。

しかし、このロジックは井上もまた60年後、あるいはもっと近未来のボクサーに駆逐されてしまうことが確実なブーメランです。

しかも、その近未来では、やはり原田が史上最高ということになりかねません。

何を成し遂げれば、原田を越えられるのでしょうか?

原田を「アジア最高」から引き摺り下ろしたマニー・パッキャオと同じことをやってのければ文句なしですが、流石に井上には荷が重過ぎます。井上ではガーボンタ・デービスあたりにも粉砕されてしまいそうです。

原田も出来なかったレベルも注目度も高い人気階級に進出することは、井上にも不可能として、どうしたら原田を越えられるのでしょうか?

何か、井上が有利に映る比較材料はないのでしょうか?