WBOウェルター級王者テレンス・クロフォードはESPNの取材に答える形で「12月10日にデビッド・アバネシアンとの防衛戦を行うことを明らかにしました。

試合はBLK primeがPPVで提供、単価は39.95ドル。米国のPPVとしてはお手頃価格です。

この試合でクロフォードはキャリアハイの1000万ドルを手にするそうですが、20万件を売り上げて約800万ドル、それだけではクロフォードのファイトマネーもショートします。

会場はクロフォードの地元オマハ、CHIヘルス・センター。キャバ1万8000人で、ゲート収入はそこそこ期待できます。

その他スポンサー料、放映権料を加えると20万件売れば、赤字は何とか回避できそうですが…。

BLK primeは全米レベルの人気が喜劇的に無いクロフォードと、ロシア人のアバネシアンの試合で20万件も売り上げる見込みが薄いことは重々承知してるはずで、赤字なら補填する腹づもりでしょう。

このあと、クロフォードが絡む可能性のあるビッグファイトを見据えての先行投資です。

この試合が確定したことによって「11月19日ラスベガス」で大筋合意したと伝えられていたエロール・スペンスJr.とのウェルター級Undisputed championshipは完全に消滅しました。

ボクシングの世界では、agreement in principle is't agreement,

「大筋合意は合意ではない」。

それをあらためて思い知らされる一件でした。


Showtimeは、この大一番を「来年前半には実現できる」と強気ですが、BLK primeという新たな障害物も姿を現しました。

ますます、交渉がもつれそうです。

純粋なボクシングファン(茶番劇があちこちで勃発するご時世、こんな表現も使わなければなりません)が最も渇望しているカードでしたが、今年の実現はなくなりました。

ウェルター級のUndisputed championship、その勝者が今年のFighter of the yearに輝くと見られていましたから、これでその行方も混沌。



クロフォードとスペンス(の勝者)が脱落したFighter of the year、その有力候補は…。

現時点の最右翼は、オレクサンダー・ウシクです。

アンソニー・ジョシュアとのダイレクトリマッチで勝利。

さらに「ヘビー級」だけでなく、「ウクライナ」というキーワードも選考記者を刺激しそうです。


そのウシクを追うのが、ドミトリー・ビボル。

カネロ・アルバレスを大番狂わせで破り、今年最も衝撃的なシーンを演出しました。

来月のUAEアブダビで強敵ヒルベルト・ラミレスにも完勝すると、ウシクの対抗馬に躍り出ます。


続いて、ジャーメル・チャーロ。5月にブライアン・カスターニョをストップしてジュニアミドル級のUndisputed championに就きました。

昨年はこの1試合だけ、最近は毎年誕生するUndisputed championに、選考メディアも食傷気味なのがネックかもしれません。


そして、井上尚弥。12月13日のポール・バトラー戦に勝利、Undisputed championになることが絶対条件です。

Fighter of the yearの投票締め切りは12月中旬、Undisputed championがステイクされるこの試合が有力候補が登場する最後の対象試合になるはずです。

カレンダーイヤーのawardでは、全く同じことをやっても1月にやるのと、選考月の12月にやるのとでは印象のフレッシュさ、インパクトが大きく異なります。

井上が Knockout of the year も取り沙汰される戦慄的な勝利を収めると、Fighter of the yearをグッと引き寄せるかもしれません。

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▶︎全米ボクシング記者協会(BWAA)とリング誌のFighter of the year、井上尚弥が獲得すると、マニー・パッキャオ(アジアの話にこれを持ち出すと色々面倒なので)を除いてアジアではノニト・ドネア(2012年)がBWAAを獲って以来、10年ぶり史上2人目の快挙。

BWAAのFighter of the yearの最軽量はこのときのドネア=ジュニアフェザー級でしたから、バンタムの井上が獲ると1階級更新です。

リング誌のFighter of the yearならアジア史上初。

過去の最軽量は1993年のマイケル・カルバハル。

米国の関心が一気に下がるジュニアフェザー級以下では、カルバハルに加えて、いずれもバンタム級のカルロス・サラテ(1977年)、ポーリー・アヤラ(1999年)以来、史上4人目の快挙です。

なんにせよ、日本人なら史上初!

「4団体時代」「2010年開始のリング誌電子版PFP」などの〝最近〟の〝日本人初〟ではありません。

文句なしの日本人初の快挙です。

BWAAとリング誌のダブル受賞が良いに決まっていますが、どちらか一つしか選べないなら、表彰式やトロフィーが用意されるBWAAのSugar Ray Robinson Awardです。