軽量級では、井上尚弥でもまともな商業ベースに乗れないボクシングの米国市場。

それでも…。ヘビー級やウェルター級といった人気階級のスター選手とは比べるべくもありませんが、この10年を振り返るとレオ・サンタクルスやアブネル・マレスといった〝軽量級にもかかわらず人気のあるスター〟が バンタム級起点で出現しました。

そして、今また22歳のジェシー〝バム〟ロドリゲスという果実が成熟しつつあります。

アマチュア時代は17歳以下の世界トーナメントで101ポンド級で活躍。女子の最軽量、アトム級が102ポンド(46.26㎏)ですから、それよりも1ポンド軽いクラスです。

プロデビューは2017年3月10日、17歳のとき。ストロー級(105ポンド=47.62㎏)4回戦で判定勝ち。

特筆すべきは、4戦目で126¾(57.5㎏)で131¼(59.5㎏)の相手と戦っていること。バムはフェザー級オーバー、相手はジュニアライト級オーバーのウェイトです。

5戦目以降はジュニアフライ級(108ポンド)で世界王者を目指していましたが、今年2月にシーサケット・ソールンビサイの代打で急遽リングに上がったWBCジュニアバンタム級王者決定戦で古豪カルロス・クアドラスを圧倒、115ポンドで世界タイトル奪取に成功しました。

そして、初防衛戦ではタイの重戦車シーサケットを8ラウンドでストップ。層の薄い軽量級の中では、一際タレントひしめくジュニアバンタムのトップランナーに躍り出ました。



わずか11ヶ月前の昨年10月16日には全く無名のホセ・アレハンドロ・ブルゴスと「エルウィン・ソトvsジョナサン・ゴンサレス」の前座、場末の野球場・グリズリーズ・スタジアム(3Aフレズノ・グリズリーズのホーム)で戦っていたバム・ロドリゲスが、今年のFighter Of The Year候補の一角にまで食い込ん来たのです。

ボクシング界でも滅多に見れないシンデレラ・ストーリーです。

劣化した元強豪を倒したくらいでFighter Of The Yearとは片腹痛い(井上尚弥のことじゃありません)ところですが、カネロ・アルバレスvsゲンナジー・ゴロフキンのメガファイトのアンダーカードに登場するロドリゲスがサンタクルスのような「軽量級としては大スター」になる可能性は十分です。

恒常的に不毛の軽量級で、こんな美味しい果実がみのることなんて、まずありえません。

ここは、日本人ボクサーが絡まなければなりません。

井岡一翔や中谷潤人には、劣化した元強豪グループのファン・フランシスコ・エストラーダやローマン・ゴンサレスではなく、バム・ロドリゲスの名前をコールして欲しいのですが…。

井岡と中谷相手ではエディ・ハーンが逃げるかもしれません。もし、戦うとなっても日本に引っ張り込むのは難しいでしょう。

逆に考えると、日本にホイホイ来るような軽量級でも米国で居場所のない不人気選手にいくら勝っても、米国に対して狼煙を上げることは出来ません。

明日の試合は「どこまで差をつけて勝つかがテーマ」と豪語するロドリゲスは「12月もリングに上がる」と、今年4試合をこなす予定です。そこで、日本人が絡めたら最高ですが…。

今のエストラーダやチョコラティトを倒すよりも、バムに初めて挫折を味あわせることの方が遥かに大きな価値があるのは間違いありません。