もし、モハメド・アリが大言壮語を控え、井上尚弥のようにボクシングに集中していたなら?

全盛期の3年間が、兵役拒否で奪われなければ?

世界中の専門家が認めているように、シュガー・レイ・ロビンソンの強化版、史上最高のボクサーになっていたかもしれません。

口は災いの元。

しかし、本当にそうでしょうか?

もちろん、世界を動かしたあの言動こそが、アリをアリたらしめたのです。

史上最高のボクサーなどという小さい枠組みではない、米国史上に刻まれる偉人となったのです。

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あの3年間は、失われた3年などではありません。

もし、あの3年間がなければ…。

長いブランクから復帰、ジョー・フレイジャーとの「世紀の対決」に敗れ、そのフレイジャーを一方的に破壊したジョージ・フォアマンとの絶望的な戦い…全く別の、つまらないメロディを奏でる普通の世界ヘビー級タイトルマッチにしかならなかったでしょう。

ただ、それは「カシアス・クレイ」と「モハメド・アリ」という、あまりにも特殊で例外な才能だったからであり、タイガー・ウッズやマイケル・ジョーダンがプライムタイムを失うようなことがあれば、彼らは私たちが知る彼らではなく、私たちに極彩色の記憶を塗りたくることもなかったかもしれません。

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確かなことは、一つだけです。

後世にアリを偉人たらしめたリング外での言動がなければ、カシアス・クレイは史上最高のボクサーになっていた可能性が極めて高かった、ということです。

そして…。これは「損失」だったのでしょうか?

ありきたりな言い方で片付けるなら「熱狂的なボクシングファンにとっては『損失』だったが、人類にとっては『恩恵』だった」ということですが…。