CompuBoxの数字が、現実の試合内容を映し出すとは限りません。
それどころか、現実の試合とは乖離した数字を提起してくることもあります。
とはいえ、複数のCompuBoxの数字を参考指標の一つとして考えることは有効です。
この手法では、メキシコのレジェンドたちの血統を受け継ぎ攻撃的に見えるカネロ・アルバレスが、実際には防御能力で突出していることが明らかになっています。カネロのボクシングは、打撃戦上等のメキシカンスタイルではないのです。
さて「2019年11月7日の初戦」と、井上尚弥の3試合、ノニト・ドネアの2試合、合計7試合からパワーボクシングという共通点がある両者のスタイルの違いを探してみましょう。

まずは、初戦の激闘から。
12ラウンド36分間で井上は628発のパンチを放って227発を着弾(36.1%)。ジャブ111/336(33%)、パワーパンチは116/292(39.7%)。ドネアの141/605(23.3%)、42/329(12.8%)、99/276(35.9%)をいずれも上回りました。
特に、ジャブの精度で大きく差をつけているのが目を引きます。スタッツから読み取れる「リードパンチで差をつけた井上の勝利」は、実際の試合を反映しています。
続いて、両者とも圧倒的なKOパフォーマンスを見せた「その後の試合」。やはりここでも「ジャブ」の精度に目線が奪われてしまいます。
2020年10月31日のジェイソン・マロニー戦での井上はトータル107/338(31.7%)、ジャブ44/164(26.8%)、パワーパンチ63/174(36.2%)。マロニーは62/334(18.6%)、30/209(14.4%)、32/125(25.6%)。
マイケル・ダスマリナス戦はトータル38/112(33.9%)、ジャブ7/64(10.9%)、パワーパンチ31/48(64.6%)。ダスマリナスは12/80(15%)、2/40(5%)、10/40(25%)。
アラン・ディパエン戦ではトータル201/557(36.1%)、ジャブ89/310(28.7%)、パワーパンチ112/247(45.3%)。ディパエンは64/291(22%)、21/160(13.1%)、43/131(32.8%)。
ダスマリナス戦のジャブの精度が目立って低いのは、第1ラウンド開始早々に絶妙のタイミングで放った左フック(CompuBoxではジャブとしてカウント)のカウンターがヒットはしなかったものの、これでフィリピン人が完全に萎縮、井上の左を過剰に警戒したためです。
井上のボクシングで特徴的なのは、この多彩な左です。
触覚・偵察として、ダメージを与えるボディ、試合を終わらせるストレート、フック…。リング誌は井上を「現代最高の右パンチャー」の一人に数えましたが、モンスターのボクシングをデザインしているのは、極彩色の右ではなく、精密に下書きされた左です。
そして、対するドネアの「その後の2試合」。
ノルディーヌ・ウバーリ戦はトータル74/183(40.4%)、ジャブ6/49(12.2%)、パワーパンチ68/134(50.7%)。ウバーリが33/144(22.9%)、15/55(27.3%)、18/89(20.2%)
レイマート・ギャバロ戦はトータル38/136(27.9%)、ジャブ12/63(19%)、パワーパンチ26/73(35.6%)。ギャバロは35/170(20.6%)、18/86(20.9%)、17/84(20.2%)
井上と比較するとジャブ(左)の精度の低さが際立ちます。ドネアのパワーボクシングは井上とは逆に、右から組み立てられています。
そして、ドネアの左、です。CompuBoxではジャブとカウントされても、ドネアの左、です。
その左が、一般的に考えられるジャブなどではなく、途轍もない破壊力を込めたパワーパンチです。
そして、この的中率の低さが「ドネアの左は精度が低い」からでないことは、ボクシングファンなら誰でも知っているでしょう。
「ドネアは左で餌を撒いて、左で仕留める」(テディ・アトラス)。
井上をはじめ、ドネアと対峙するボクサーは10人が10人「左だけは注意する」と、警戒をマックスに引き上げてリングに上がります。
しかし「右だけではなく左で餌を撒く(フェイントを仕掛ける)から厄介きわまる」(アトラス)のです。
ドネアの左を食らった対戦相手は、全く同じセリフを吐きます。井上も語ったように「油断した」と。
もちろん、油断なんかじゃありません。
本気で油断と感じていたなら、完全にドネアの思う壺です。また、同じパンチをもらうでしょう。警戒マックスで挑んで、たった2ラウンドで被弾するわけがありません。
ドネアの撒く餌に食いついてしまって「油断した」と思い込まされていただけです。
周到な罠に、まんまと引っかかっただけなのです。
それどころか、現実の試合とは乖離した数字を提起してくることもあります。
とはいえ、複数のCompuBoxの数字を参考指標の一つとして考えることは有効です。
この手法では、メキシコのレジェンドたちの血統を受け継ぎ攻撃的に見えるカネロ・アルバレスが、実際には防御能力で突出していることが明らかになっています。カネロのボクシングは、打撃戦上等のメキシカンスタイルではないのです。
さて「2019年11月7日の初戦」と、井上尚弥の3試合、ノニト・ドネアの2試合、合計7試合からパワーボクシングという共通点がある両者のスタイルの違いを探してみましょう。

まずは、初戦の激闘から。
12ラウンド36分間で井上は628発のパンチを放って227発を着弾(36.1%)。ジャブ111/336(33%)、パワーパンチは116/292(39.7%)。ドネアの141/605(23.3%)、42/329(12.8%)、99/276(35.9%)をいずれも上回りました。
特に、ジャブの精度で大きく差をつけているのが目を引きます。スタッツから読み取れる「リードパンチで差をつけた井上の勝利」は、実際の試合を反映しています。
続いて、両者とも圧倒的なKOパフォーマンスを見せた「その後の試合」。やはりここでも「ジャブ」の精度に目線が奪われてしまいます。
2020年10月31日のジェイソン・マロニー戦での井上はトータル107/338(31.7%)、ジャブ44/164(26.8%)、パワーパンチ63/174(36.2%)。マロニーは62/334(18.6%)、30/209(14.4%)、32/125(25.6%)。
アラン・ディパエン戦ではトータル201/557(36.1%)、ジャブ89/310(28.7%)、パワーパンチ112/247(45.3%)。ディパエンは64/291(22%)、21/160(13.1%)、43/131(32.8%)。
ダスマリナス戦のジャブの精度が目立って低いのは、第1ラウンド開始早々に絶妙のタイミングで放った左フック(CompuBoxではジャブとしてカウント)のカウンターがヒットはしなかったものの、これでフィリピン人が完全に萎縮、井上の左を過剰に警戒したためです。
井上のボクシングで特徴的なのは、この多彩な左です。
触覚・偵察として、ダメージを与えるボディ、試合を終わらせるストレート、フック…。リング誌は井上を「現代最高の右パンチャー」の一人に数えましたが、モンスターのボクシングをデザインしているのは、極彩色の右ではなく、精密に下書きされた左です。
そして、対するドネアの「その後の2試合」。
ノルディーヌ・ウバーリ戦はトータル74/183(40.4%)、ジャブ6/49(12.2%)、パワーパンチ68/134(50.7%)。ウバーリが33/144(22.9%)、15/55(27.3%)、18/89(20.2%)
レイマート・ギャバロ戦はトータル38/136(27.9%)、ジャブ12/63(19%)、パワーパンチ26/73(35.6%)。ギャバロは35/170(20.6%)、18/86(20.9%)、17/84(20.2%)
井上と比較するとジャブ(左)の精度の低さが際立ちます。ドネアのパワーボクシングは井上とは逆に、右から組み立てられています。
そして、ドネアの左、です。CompuBoxではジャブとカウントされても、ドネアの左、です。
その左が、一般的に考えられるジャブなどではなく、途轍もない破壊力を込めたパワーパンチです。
そして、この的中率の低さが「ドネアの左は精度が低い」からでないことは、ボクシングファンなら誰でも知っているでしょう。
「ドネアは左で餌を撒いて、左で仕留める」(テディ・アトラス)。
井上をはじめ、ドネアと対峙するボクサーは10人が10人「左だけは注意する」と、警戒をマックスに引き上げてリングに上がります。
しかし「右だけではなく左で餌を撒く(フェイントを仕掛ける)から厄介きわまる」(アトラス)のです。
ドネアの左を食らった対戦相手は、全く同じセリフを吐きます。井上も語ったように「油断した」と。
もちろん、油断なんかじゃありません。
本気で油断と感じていたなら、完全にドネアの思う壺です。また、同じパンチをもらうでしょう。警戒マックスで挑んで、たった2ラウンドで被弾するわけがありません。
ドネアの撒く餌に食いついてしまって「油断した」と思い込まされていただけです。
周到な罠に、まんまと引っかかっただけなのです。

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