WOWOWで放送してくれている「中量級黄金時代」。

PFP1位の座をタライ回しにした4人が次々に激突したのですから、試合前の高揚感は半端なものではありませんでした。

そして、何よりも試合内容が最高に面白かったのです。あれを見せられて米国のボクシングに惹きつけられないなんて、土台無理な話でした。

12月9日が「シュガー・レイ・レナードvsウィルフレド・ベニテス」、16日が「シュガー・レイ・レナードvsロベルト・デュラン」、23日が「レナードvsトーマス・ハーンズ」「マーベラス・マービン・ハグラーvsデュラン」、30日が「ハーンズvsデュラン」「ハグラーvsハーンズ」「ハグラーvsジョン・ムガビ」「レナードvsハグラー」。
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昨日放送の「レナード・ハグラー」で壮大なラウンドロビン(総当たり)は〝大団円〟を迎えます。このあとの〝二巡目〟は、ボクシングファンにとって大きな意味を持つものでなくなってしまいました。

その理由は〝一巡目〟で決着が付いたと考えているからではありません。

現代のフロイド・メイウェザーやマニー・パッキャオ、カネロ・アルバレスにつながる傍若無人のスーパースター像を作り上げたレナードを中核とした〝二巡目〟だったからです。

「レナードvsデュラン3」は、決着のラバーマッチのという興味が失せる「2」の焼き直しでした。そして「レナードvsハーンズ2」の後味の悪い判定。

もし〝二巡目〟がマーベラス・マービンを中心に回っていれば、さらなるスペクタクルを目撃できたかもしれませんが、そんなタラレバは虚しいだけです。

兎にも角にも私たちは、ボクシングの魅力が全て詰め込まれた〝一巡目〟を堪能することができたのです。

スポーツの名勝負は「見ればわかる」ドラマです。あの〝一巡目〟について、あれこれ語るなんて野暮にもほどがあります。

そこで、今回紹介するのはリング誌からFOUR KINGSの「Best I faced(キャリア最高の敵)」。すでに、紹介済みな気がしますが、あらためて4人を並べてみます。


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★ロベルト〝石の拳〟デュラン★

◉BEST SKILLS◉ケン・ブキャナン。技術と戦略なら史上最強のライト級の一人だろう。的確な戦略と高度な技術を持つ難攻不落の相手だった。レナードは速くて強かったが、技術という点に絞ればブキャナンの方が上。

◉BEST JAB◉ブキャナン。長身から繰り出すジャブは、横の動きも交えながら繰り出してくるから厄介だった。

◉BEST DEFENSE◉ブキャナン。クリーンヒットするのがとにかく難しい。彼が経験豊かな世界王者で、私がまだ若かったせいもあるが、それでもブキャナンは捕らえにくい相手だった。多くの人は私の口からレナードやベニテスの名前が挙るのを期待していただろうが、ブキャナンだ。

◉BEST CHIN◉ハグラーだ。多くのパンチをヒットしたはずなのに、平然と前進してきた。技術的には優れたものを感じなかったが、とにかく打たれ強かった。

◉BEST PUNCHER◉エステバン・デ・ヘスス。初めてダウンを奪われた相手で、再戦でも倒された。ハーンズ戦は減量が苦しくて脱水状態、万全とは程遠い状態だった。

◉FASTEST HANDS◉キャリア最速はレナード。ただ、初戦では彼のパンチは完全に見切っていた。

◉FASTEST FEET◉ブキャナン。ライト級のトップ選手は速くて運動量も多い。当時は15ラウンドの長丁場で、ブキャナン戦の経験は私にとって大きな財産となった。

◉SMARTEST◉レナード。彼は試合の中で戦い方を修正する能力が抜群だった。

◉STRONGEST◉ハグラー。あの試合は私が大健闘したと言われたが、ハグラーのタフさにこっちが先に消耗してしまった。ハグラー戦はビッグマネーを手にすることができたのも思い出深い。

◉BEST OVERALL◉レナード。私に負けてからの彼の試合を見ればわかる。学習能力が異常に高い。敗北から何を学ぶかで、ボクサーの価値が決まる。


▶︎▶︎▶︎10項目中4つでブキャナンを挙げているのが印象的。最強打者にデ・ヘススを選ぶなど、石の拳の原型がライト級時代に作られたことが改めてよくわかります。

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★トーマス〝ヒットマン〟ハーンズ★

◉BEST JAB◉レナード。とにかく滑らかで速い。相手を波打ち際でせき止める。しかし、ジャブの差し合いなら私は負けたことがない。ベストは私の左ジャブだ。

◉BEST DEFENSE◉ベニテス。とにかく頭を動かしてミスショットを誘い、頭脳的にジャブを突いてフックを引っ掛けてくる。素晴らしい技術を持ったファイターだった。

◉FASTEST HANDS◉レナードのパンチは速かった。私も同じくらい速かったから、どちらが先にジャブを出すか、そして次の一撃につなげるか、紙一重の勝負だった。

◉FASTEST FEET◉ベニテスだ。相手の攻撃をいなす全ての技術を体得していた。フットワークと、頭と体の動きが見事に連動していた。ヒットするはずのパンチが簡単に外されてしまった。

◉BEST CHIN◉ハグラーしかいない。何度も強打を叩き込んだのに、前進してきた。あのアゴは最強だ。

◉SMARTEST◉やはりレナードになる。ヤツは相手のミスを絶対に見逃さない。

◉STRONGEST◉ハグラー。とにかくあらゆる強打をお見舞いしたのに、ビクともしないで向かってきた。

◉BEST PUNCHER◉ レナード。私はアイラン・バークレーの名前も挙げるべきだろうが、レナードとハグラーのパンチが最も強烈だった。ピピノ・クエバスとデュランはパンチをもらわなかったからわからない。

◉BEST BOXING SKILLS◉レナードの一択。ボクシングを知り尽くしていた。どう動くか、どこで仕掛けるかを正確にわかっていた。攻防兼備の最高のボクサーだ。

◉BEST OVERALL◉ベニテス。とにかくハイレベルな技術の持ち主だった。リングを大きく使ってその技術を駆使した。

▶︎▶︎▶︎10項目でレナードとベニテス、ハグラーの3人しか挙げませんでした。しかもジャブについては「自分が最高」と。 

意外だったのはBEST OVERALL(総合的に最強)でレナードでなくベニテスを選んだことです。 


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★マーベラス・マービン・ハグラー★

◉BEST JAB◉ハーンズ。陽動しながら突いてくるジャブは多彩で、強かった。ものすごいジャブだった。

◉BEST DEFENSE◉レナードだ。戦おうとせずに、距離をとって逃げるだけ。サバイバルモードの相手を捕まえるのは難しい。あれをディフェンスと呼ぶなら、レナードだ。

◉FASTEST HANDS◉デュラン。右が見えないほど速かった。何が起きたかわからず、コーナーに戻って確認すると「タイミング合わせが抜群にうまい。お前のジャブに合わせて右をかぶせてくる。ジャブを打つときに注意しろ」と助言された。それから、フェイントを交えてジャブを打つようにしたが、ジャブを打つのにあれほど慎重になったことは一度もない。

◉FASTEST FEET◉「逃げ足」というならレナードで決まり。私は戦おうとしたが、彼は逃げるばかりだった。仕組まれた試合で、私は王座を盗まれた。

◉BEST CHIN◉アラン・ミンター。信じられないかもしれないが、ミンターが一番打たれ強かった。彼は王者のプライドで絶対に倒れなかった。

◉SMARTEST◉全員(笑)。私と戦った相手は、厳しい展開になることを覚悟して周到な作戦を練ってきた。スイッチヒッターの強打者である私との戦いは、誰にとっても難しい問題だったが、それは私も同じ。最も研究される立場の私は、同じ戦い方をしないように気をつけていたんだ。

◉STRONGEST◉ムガビとハーンズ。二人は危険な距離で勝負してきた。ムガビのアッパーは強烈で、戦略の修正を余儀なくされた。ハーンズの右も強烈だったが、プレッシャーをかけながら、それに合わせるパンチを用意して待ち構えていた。

◉BOXING SKILLS◉デュラン。彼との試合は、技術戦という意味で私のベストバウト。私には完全統一王座が、彼には4階級制覇がかかっていた。デュランとの戦いは楽しめた。

◉BEST OVERALL◉デュラン。経験豊かな戦士だった。ぜひ、再戦したかったんだが、実現しなかったね(笑)

▶︎▶︎▶︎レナードへの遺恨が強烈です…。

現在は「ハグラーが引退したから再戦が叶わなかった」とされていますが、事実はレナードが再戦に興味を示さず、その態度にハグラーが愛想を尽かしたのでしたが、引退は早すぎたと思います。

引退を先延ばしして執拗にレナードを追っていたなら、メディアとファンが再戦を煽り、焚きつけたはずです…。

あのTHE SUPER FIGHTが何だったのか?当時、不当判定とも言われたジャッジは、今では十分認められています。

大金と引き換えに大きなリングと緩いロープ、固いキャンバス、そして12ラウンド制を受け入れてしまった時点で、ハグラーは負けていたのかもしれません。
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★シュガー・レイ・レナード★

◉BEST SKILLS◉ハーンズ。ウェルター級のハーンズは速くて強くて、ボクシングもできた。過小評価されてるが、彼のボクシングは超一級品。射程の長い強打は脅威だった。とにかく、距離を潰すしか勝ち目のない相手だ。

◉BEST JAB◉ハーンズを前に出して左ジャブを好きなように使われたら、勝ち目はない。危険を冒してでも、ダメージを与えて下がらせるしかなかった。

◉BEST DEFENSE◉フロイド・メイウェザーSr.。私の攻撃を他の誰よりも無効化した。その奥義は息子に伝授されている。息子は強打も持っているが、父親はそうではなかったのが私には幸運だった。

◉BEST CHIN◉マルコス・ジェラルド。私が153ポンド、彼は160ポンドと体重差のある試合だったが、私の20連発のパンチにも怯まなかった。普通なら、誰でもノックアウトできるパンチだったのに。彼との戦いで網膜剥離になってしまったと思う。

◉BEST PUNCHER◉デュラン。初戦で何度もいいパンチをヒットされてしまった。効きはしなかったが、巧みにボディショットを交えてきたことで、私は注意とバランスを崩された。

◉FASTEST HANDS◉ハーンズ。とにかく長くて速い。コーナーに座ったまま対角線のコーナーポストを叩けるんじゃないかというくらいに、射程距離が長かった。トミーに勝つには離れてはダメ、それでは彼のパンチだけが当たる。

◉BEST FOOTWORK◉私より速いフットワークの使い手を知らなかったが、トミーとの初戦は面食らった。長身で速くて強くて、しかもボクシングが巧い。「なんだ?こいつは!?」と思ったよ。

◉SMARTEST◉デュランだ。捕らえにくくて、速い、そして固いパンチを持っている。それを賢く使ってきた。ライト級の選手がミドル級のタイトルを獲るには、頭が良くなくては不可能だ。

◉STRONGEST◉ハグラー。右でも左でも相手を一撃で粉砕できる強打者だった。トミーのように正面衝突しては勝ち目のない、頑強な相手だった。

◉BEST OVERALL◉ハーンズ。初戦で見せつけられたハーンズの総合力は、キャリア最強だった。


▶︎▶︎▶︎ベストディフェンスに選んだフロイド父。

コーナーでアンジェロ・ダンディといつも以上に話し込んでいたのは、あのショルダーロールについててだったはずです。「私があれを習得できたら無敵だ」なんて語っていたのかもしれません。