WBSSバンタム級トーナメント決勝。
井上尚弥vsノニト・ドネア。
まさかのマッチアップです。キックオフイベントでAブロック「第1シード」のライアン・バーネットがドネアを選んだ時点で、井上がアジアの伝説と戦うことはなくなった…そう誰もが考えたはずです。
「リングの上では何でも起こる」。そんなこと、ボクシングファンなら誰でも知ってますが、それでもこれには驚かされてしまいます。
球遊びでは、岡崎慎司の英国プレミアリーグ・レスターが2015-16シーズンに優勝した史上最大の大番狂わせがありました。そのときのウィリアムヒルのオッズは5000倍、「ネッシー発見=2000倍」や「2017年以前に宇宙人が確認される=1500倍」などの掛け率を遥かに凌駕する超常現象でした。
しかし、先週の英国最大のスポーツスター、アンソニー・ジョシュアのまさかの敗北は9/1、わずか10倍。タイソンが沈んだ「東京ショッカー」でも42倍。
ボクシング史上最も衝撃的な番狂わせとも言われたマニー・パッキャオvsオスカー・デラホーヤはなんと3倍です。たったの3倍です。
Anything Could Happen.
リングの上では何だって起きる。ボクシングファンにとっては「何を今更」でしょう。
しかし、ドネアがこのトーナメントの決勝進出を果たすオッズは50倍でした。何でも起こるリングの上での50倍は超常現象を超えています。ネッシーが富士五湖でも見つかるようなもんです。
「バーネットが不慮の故障で棄権しただけ」「テテがWBSSの待遇に辟易したのか本当に怪我したのかわかんないけど離脱しただけ」で実力で勝ち上がってきたわけじゃない…そう言うかもしれませんが、実力じゃなくても勝ちあがれるのでしたら、それすなわち実力じゃなくても優勝できるということです。
この幸運な超常現象の波に乗ったのが、怪しい忖度が見え隠れしていたミハエル・アロイヤンではなく軽量級の伝説であることも井上を応援する立場としては底抜けに不気味です。
そのドネアもキャリアを通じて、生ける伝説マニー・パッキャオの亡霊には苦しんできました。
ドネアのプライムタイムはおそらくジュニアバンタム時代。しかし、ボクシングメディアとマニアが熱望した全盛期のビック・ダルチニアンとの再戦は実現せず、二人ともとっくにピークが過ぎたフェザー級で相見えてしまいます。
そして、一般のファン目線でのドネア最高傑作は2011年、バンタム級でWBC/WBO王者フェルナンド・モンティエルを予告通りに2ラウンドで破壊した〝空席目立つマンダレイベイの惨劇〟でしょう。
あの試合でドネアはようやくHBOデビュー 、キャリアハイの35万ドルを獲得しました。モンティエルはキャリア2番目の25万ドルを手にしましたが「長谷川穂積戦の半分以下だった」とのちに明かしています。
やっとこさのHBOデビュー。
同じHBOでもパッキャオは、すでに貧弱な予算から捻出されるファイトマネーとは無関係のPPVスターになっていました。報酬もやっと30万ドルの壁を突破したドネアに対して、パッキャオは100倍以上と、もはや羨む対象でもありません。
ドネアもパックマンに負けない快進撃を続けていましたが、軽量級と中量級では同じことをしても報酬は100倍違うのです。
「私とマニーは違う」。そう言い続けてきたドネアにとって、報酬が100分の1だろうが1万分の1だろうがそんなことはどうでも良かったでしょう。
しかし、HBOとボブ・アラムは執拗にパッキャオと同じ興行に出ることを提案します。
「メジャーになれる」「報酬は35万ドルとかじゃない」。
それでもドネアは拒否します。
ドネアにとってショックだったのは最高のパフォーマンスを見せたモンティエル戦ですら「パッキャオを彷彿とさせる2ラウンドKO劇」(リング誌)という報道に終始したステレオタイプな取り上げ方に対してでした。
「パッキャオの2ラウンドKO」。タフなリッキー・ハットンを凍りつかせたパックマンKO劇場のクライマックスは、2年も前の出来事だったというのに。
メディアに苛立ち、トップランクに不信感を募らせるフィリピーノフラッシュに大物プロモーターが移籍を誘うのは当然でした。
その中には、トップランクとは犬猿のGBP、オスカー・デラホーヤも蠢いていました。
この後、ドネアもパッキャオ同様にGBPと二重契約にサインしてしまい、裁判の末にトップランクに不本意ながら出戻りになるのですが、それはまた別の話で紹介したいと思います。
同じ二重契約をしながらアラムとデラホーヤを手玉に取ったパッキャオのしたたかさは、ドネアにはありませんでした。
そして、当時は誰が相手でもAサイド、つまりはスターダムの頂点に立っていたパッキャオもまたドネアが持ち続けた純情などとっくの昔に捨て去っていました。
それでも。そのドネアの純情が、パッキャオへの劣情を打ち砕く日がついにやって来るのです。
井上尚弥を倒した瞬間に「統一王者」「PFPランキング返り咲き」というパッキャオが成し遂げていない偉業を達成するのです。
その未来の話をする前に…ドネアがフィリピンを発った過去、1994年に時計の針を逆戻りさせます。
井上尚弥vsノニト・ドネア。
まさかのマッチアップです。キックオフイベントでAブロック「第1シード」のライアン・バーネットがドネアを選んだ時点で、井上がアジアの伝説と戦うことはなくなった…そう誰もが考えたはずです。
「リングの上では何でも起こる」。そんなこと、ボクシングファンなら誰でも知ってますが、それでもこれには驚かされてしまいます。
球遊びでは、岡崎慎司の英国プレミアリーグ・レスターが2015-16シーズンに優勝した史上最大の大番狂わせがありました。そのときのウィリアムヒルのオッズは5000倍、「ネッシー発見=2000倍」や「2017年以前に宇宙人が確認される=1500倍」などの掛け率を遥かに凌駕する超常現象でした。
しかし、先週の英国最大のスポーツスター、アンソニー・ジョシュアのまさかの敗北は9/1、わずか10倍。タイソンが沈んだ「東京ショッカー」でも42倍。
ボクシング史上最も衝撃的な番狂わせとも言われたマニー・パッキャオvsオスカー・デラホーヤはなんと3倍です。たったの3倍です。
Anything Could Happen.
リングの上では何だって起きる。ボクシングファンにとっては「何を今更」でしょう。
しかし、ドネアがこのトーナメントの決勝進出を果たすオッズは50倍でした。何でも起こるリングの上での50倍は超常現象を超えています。ネッシーが富士五湖でも見つかるようなもんです。
「バーネットが不慮の故障で棄権しただけ」「テテがWBSSの待遇に辟易したのか本当に怪我したのかわかんないけど離脱しただけ」で実力で勝ち上がってきたわけじゃない…そう言うかもしれませんが、実力じゃなくても勝ちあがれるのでしたら、それすなわち実力じゃなくても優勝できるということです。
この幸運な超常現象の波に乗ったのが、怪しい忖度が見え隠れしていたミハエル・アロイヤンではなく軽量級の伝説であることも井上を応援する立場としては底抜けに不気味です。
そのドネアもキャリアを通じて、生ける伝説マニー・パッキャオの亡霊には苦しんできました。
ドネアのプライムタイムはおそらくジュニアバンタム時代。しかし、ボクシングメディアとマニアが熱望した全盛期のビック・ダルチニアンとの再戦は実現せず、二人ともとっくにピークが過ぎたフェザー級で相見えてしまいます。
そして、一般のファン目線でのドネア最高傑作は2011年、バンタム級でWBC/WBO王者フェルナンド・モンティエルを予告通りに2ラウンドで破壊した〝空席目立つマンダレイベイの惨劇〟でしょう。
あの試合でドネアはようやくHBOデビュー 、キャリアハイの35万ドルを獲得しました。モンティエルはキャリア2番目の25万ドルを手にしましたが「長谷川穂積戦の半分以下だった」とのちに明かしています。
やっとこさのHBOデビュー。
同じHBOでもパッキャオは、すでに貧弱な予算から捻出されるファイトマネーとは無関係のPPVスターになっていました。報酬もやっと30万ドルの壁を突破したドネアに対して、パッキャオは100倍以上と、もはや羨む対象でもありません。
ドネアもパックマンに負けない快進撃を続けていましたが、軽量級と中量級では同じことをしても報酬は100倍違うのです。
「私とマニーは違う」。そう言い続けてきたドネアにとって、報酬が100分の1だろうが1万分の1だろうがそんなことはどうでも良かったでしょう。
しかし、HBOとボブ・アラムは執拗にパッキャオと同じ興行に出ることを提案します。
「メジャーになれる」「報酬は35万ドルとかじゃない」。
それでもドネアは拒否します。

「パッキャオの2ラウンドKO」。タフなリッキー・ハットンを凍りつかせたパックマンKO劇場のクライマックスは、2年も前の出来事だったというのに。
メディアに苛立ち、トップランクに不信感を募らせるフィリピーノフラッシュに大物プロモーターが移籍を誘うのは当然でした。
その中には、トップランクとは犬猿のGBP、オスカー・デラホーヤも蠢いていました。
この後、ドネアもパッキャオ同様にGBPと二重契約にサインしてしまい、裁判の末にトップランクに不本意ながら出戻りになるのですが、それはまた別の話で紹介したいと思います。
同じ二重契約をしながらアラムとデラホーヤを手玉に取ったパッキャオのしたたかさは、ドネアにはありませんでした。
そして、当時は誰が相手でもAサイド、つまりはスターダムの頂点に立っていたパッキャオもまたドネアが持ち続けた純情などとっくの昔に捨て去っていました。
それでも。そのドネアの純情が、パッキャオへの劣情を打ち砕く日がついにやって来るのです。
井上尚弥を倒した瞬間に「統一王者」「PFPランキング返り咲き」というパッキャオが成し遂げていない偉業を達成するのです。
その未来の話をする前に…ドネアがフィリピンを発った過去、1994年に時計の針を逆戻りさせます。
コメント
コメント一覧 (3)
しかし何か特別な力に引きつけられるように決勝まで来ました。
単純な現在の戦力分析、比較では井上が負ける事は先ずないと思いますが…
ここまで来るとドネアの勝ちも十分あるんじゃないか?とさえ思えて来ます。
ドネアは持っているんじゃないかと。
何れにせよ色んな意味で井上×ドネアの決勝は興味深い、何か物語のようでもあります。
心情は当然、井上ですがドネアのファンでもある自分としては複雑です。
フシ穴の眼
が
しました
フシ穴の眼
が
しました