1968年にWBAからWBCが分離独立、世界王者は世界に1人だけという至極真っ当な常識から逸脱してしまってから半世紀もの歳月が過ぎてしまいました。

この半世紀の間も事態は好転することなく、それどころかIBFやWBOなど新たな癌細胞が増殖、一つの承認団体だけでも暫定や休養、名誉にダイヤモンド…いくつものタイトルを擁立し、世界王者の粗製乱造に歯止めがかかる気配すらありません。

さらに階級の細分化は王者を増殖させる下劣な係数となるだけでなく、安易な複数階級制覇の呼び水となっています。

80年代半ばまで、三つの階級にまたがり王者を倒すことを意味していた三階級制覇は特別な意味を持っていました。

あのアレクシス・アルゲリョでさえこじ開けることが出来なかった4階級制覇の扉の向こう側には、ボクシングファンが胸躍らせるロマンが詰まっているはずでした。

しかし今や、日本人ボクサーだけでも毎年のように3階級制覇を達成、アルゲリョを拒んだ4階級制覇も井岡一翔や八重樫東、井上尚弥、田中恒成がウェイティングサークルに並び、その達成は時間の問題となっています。

「世界王者がいっぱいいて誰が一番強いのかわからない」(井上尚弥)「3階級制覇しても注目されてると感じない」(田中恒成)という現状は、日本のトップランナーも危機感を覚えています。FullSizeRender
メジャースポーツと比較しても虚しいだけなのはさて置き、今朝の一般紙朝刊には日本航空やSEIKOなどの企業がカラー全面広告で大谷翔平の復帰を「おかえりなさい」と祝福しました。

未来の〝井上尚弥〟が決戦に旅立つとき、あるいは大勝利を収めて帰国したとき「行ってらっしゃい!」「おかえなさい!」と一般紙が沸き立つ日が来るにはどうしたらいいのでしょうか?

そんな日など来るわけもなく、ボクシングはさらにマイナーとニッチ化の谷底を転がり続けて、五輪種目からも外れてキックボクシングのような扱いになる日が近づいているのだから、考えるだけ無駄なのでしょうか?



「世界一ではない世界チャンピオン」の座に安寧とせず、腐りきったボクシング界のシステムに立ち向かったサムライ達の軌跡を追いかけます。