フロイド・メイウェザーが大晦日のRIZINに参戦、キックボクサーの那須川天心と〝何か〟をするそうです。

〝なにか〟がプロレス的なショーではない、という前提でお話しします。

まず、その〝何か〟が、那須川の土俵であるとは考えられません。
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であるなら、昨年のコナー・マクレガー戦のように、ボクシング・ルールなのか?

ただ、那須川が今からJBCのプロ試験を受けてライセンスを取得するのは時間的に不可能ですから、一応公式戦だったマクレガー戦とは違うエキシビジョンとなります。

今日の記者会見を受けて、世界のメディアがこのニュースを発信しましたが「メイウェザーがまた茶番劇を繰り返すのか」という呆れた声以上に「那須川天心って誰だ?」という驚きの反応が圧倒的です。

そして、那須川の世界的な知名度がほぼゼロであることから、PPVも放映権料も多くは期待できません。

「俺はナイン・フィギュア(9桁=100億円)出さないと動かない」言い放つマネー・メイウェザーが満足する報酬はどう考えても無理です。

メイウェザーは「マクレガー戦」で目論んだのは「カネ」と「名誉」です。

「〝9フィギュア〟は稼いだが『茶番劇』『素人相手の勝利で50連勝無敗なんて認められない』と非難轟々だったから『名誉』は獲得できていない、むしろ逆だ!」という見方は間違っています。

メイウェザーは、常人の神経など持ち合わせていません。

「人気」と「嫌悪」、この二つでより集客力があるのが後者であることを見抜き、〝プリティボーイ〟をかなぐり捨てて〝マネー〟になったセルフプロデュースの天才です。

亀田一家の成功例も全く同じロジックでしたが、亀田は嫌悪されることを狙ったのではなく、嫌悪されることに苦しみ悩んでしまっていたという点では、メイウェザーとは真逆の本来なら、愛すべき人間的なキャラクターです。

マクレガー戦を「ゲンナディ・ゴロフキンvsカネロ・アルバレス」の二週間前に挙行したのは、単なる嫌がらせだけではありません。「俺の方が稼げる、目立ってる」という〝名誉〟を世界に示すためです。

メイウェザーほど倒錯した人間を他に知りません。

彼にとって「人気」とは「嫌悪」されることであり、「名誉」とは「軽蔑」されてでも目立つことなのです。

しかし、今回の那須川戦では、メイウェザーが中毒的に渇望する「カネ」も「人気」も全く得ることができないはずです。

RIZINの代表は「UFCにPRIDEを売ったカネ」をメイウェザーの報酬の原資とする、と説明していましたが、失礼ですがPRIDEの売却金額は10億もないでしょう。

もっとも、自然なストーリーは完全なエキビジョン、つまり、マネーが大晦日の日本でやる〝何か〟は、やはりプロレス的なショーとしか考えられないのです。

ただ、会見の動画を見ると、那須川の純情は痛いくらいに伝わってきます。彼の目の中には、ショーを了解した不純物はカケラも見えませんでした。

だとしたら…大晦日には一体何が用意されているのでしょうか。

メイウェザーはそこまでカネに困っているのか?

メイウェザーがリングに戻る時、その理由はいつもたった一つです。

米国国税庁から「滞納した税金を払わないと財産を差し押さえる」というラブレターが届くと、そのたびに彼はカムバックしてきました。

今回もラブレターが届いていると言われていますが、マクレガーをタップさせたハリブ・ヌマゴメドフと戦えば莫大な報酬が得られるはずなのに、どうして日本で那須川なのでしょうか?

ボクシングと、その他格闘技・プロレス は長く、奇妙な関係を続けてきました。

那須川と彼のファンには非常に失礼な物言いになってしまうかもしれませんが、「ボクシングルールの試合」なんてやらないで、もっともっと自分たちが大好きな競技に誇りを持って欲しい、と強烈に思います。

もちろん、この気持ちは昨年のマクレガーに対しても同じでした。

ボクシングのスーパースターと戦うことは「自分たちが大好きなマイナー競技をメジャーにする絶好のチャンス」と考えているとしたら大間違いです。

そんなもの、一夜限りの花火、カンフル剤でしかありません。

長らく、プロ格闘技の世界はボクシングだけがスポーツと認められ、名誉も報酬も他の格闘技とは一線を画していました。



西城正三に魔娑斗、ジェームズ・トニーとマクレガー、そして大嶋匠。

〝メジャー〟から墜ちたスターと〝マイナー〟からの脱出を試みたその競技の第一人者たち。

立場もベクトルも全く逆に見える彼らですが、彼らはみな、ドンキホーテの小さな蟷螂だけを構えて、破滅しか待っていない〝隣の芝生〟に足を踏み入れてしまったのです。

メジャーとマイナー、二つの競技の谷底でのたうち回った、〝裏〟二刀流を溺愛しながら、そのやるせない哀愁に迫ります。