世の中にスポーツは数あれども、美しいスクリーンに光で描かれる映画の世界で、ボクシングほどその題材に選ばれたスポーツは、古今東西たったの一つもありません。


他のスポーツを題材にした映画なんて100%、全て駄作です。ボクシング以外のスポーツを題材にした名作など、この世に存在しないのです!

何を根拠にそんなことを決めつけるのか?

根拠なんて、つまらない言葉遊びに過ぎません。根拠なんて一つも無いけれど、これは揺るがし難い真実なのです。

「フィールド・オブ・ドリームスも駄作か?」なんて質問は、一切受け付けません。このブログ上では、そんな映画は存在しないからです。ケビン・コスナーなんて名優もこの世に存在しないのです。私もそんな映画も俳優も、見たことも聞いたこともありません。

というわけで、今夜はスクリーンの世界に、ノールックのストレートを打ち込みます!!!

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第10位:「ROCKY(ロッキー)」(1976年)


ジョン・G・アヴィルドセン監督。シルベスター・スタローン脚本、主演。第49回アカデミー作品賞。

映画のオーディションに落選し続け、ポルノ男優や酒場の用心棒をしながら糊口をしのいでいたスタローンがモハメド・アリvsチャック・ウェップナーの世界ヘビー級タイトルマッチを見てインスパイアされ、三日で脚本を書き上げた乾坤一擲、人生逆転の一作です。

「俺たちに明日はない」(1967年)が切り拓き、「ワイルドバンチ」(1968年)、「イージーライダー」「明日に向かって撃て!」(1969年)、「いちご白書」(1970年)、「スケアクロウ」(1973年)などなどなどなど数々の名作が生まれたアメリカン・ニューシネマに傾倒していたスタローンは当初「人種差別主義発言をしたトレーナーに幻滅したロッキーが試合を棄権して会場をあとにする」という思索に富んだラストを考えていました。

ニューシネマを溺愛する私からしたら、短絡的な成功物語ではない、そのラストシーンが是非とも見たかったのに…だから、10位じゃ!最下位じゃ!


第9位:「あしたのジョー」(2011年)
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監督の曽利文彦さんは、この作品でしか知りません。勉強不足で申し訳ありません。

原作は言わずと知れた高森朝雄こと梶原一騎、そして、ちばてつや!

この二人はよく知ってます!自分の父親以上に!

矢吹丈を演じたのは山下智久、山P。力石徹の伊勢谷友介も適役で十分過ぎる演技を見せてくれました。

香川照之の丹下段平に至ると、メイクも含めて、実写でこれ以上望んではいけないという完璧な配役、演技でした。

正直、映画館に入る前は1800円をドブに捨てる思いでした。20分で面白くなければ席を立ってもいい作品だと思ってました。

しかし、オープニングから原作を忠実に再現しようとする誠実な意思がはっきりと伝わる、好感持てる作品でした。

これは、21世紀の英知を結集して20世紀の名作マンガを、見事に〝再現〟した名作です。勇敢なプロフェッショナル達の挑戦は、これ以上ない完成品を見せてくれたのです。

しかし…それでも、やはり原作のマンガと、アニメとはその放射するエネルギーの熱量、発信されるメッセージの濃厚さは、残念ながら比べるべくもありません。

当たり前です。

矢吹丈も力石徹も、丹下段平も白木葉子もカーロス・リベラも彼らはみな、一人残らず二次元の住人なのですから。彼らは、二次元の空気しか吸えない人間だったのですから。

そうです。薄汚い我々、三次元の人間とは文字どおり次元の違うステージで永遠に輝く、美しく荘厳なキャラクターだったのです。

もう、彼らを三次元に連れ出そうとするのはやめましょう。


第8位:「THE FIGHTER(ザ・ファイター)」(2010年)

この作品を皮切りに「世界に一つのプレイブック」「アメリカン・ハッスル」と立て続けにヒット作を飛ばしたデヴィッド・O・ラッセルが監督。

アカデミー助演男優賞(クリスチャン・ベール)、助演女優賞(メリッサ・レオ)に輝いた傑作です。

主役のミッキー・ウォードを演じたのはマーク・ウォルバーグ。

演技指導だけでなく、本人役でシュガー・レイ・レナードまで登場するボクシングファン垂涎の作品です。マイケル・バッファーも本人?役ですね。いや、豪華なキャストでした。

アーツロ・ガッティではなく、ウォードに焦点を当てるから素晴らしい映画になったと素人目に思わせるメロドラマです。

「ガッティvsウォード」は第1戦と第2戦が、リング誌の年間最高試合賞に2度も輝いた傑作でしたが、日本のファンは「もっと面白かった畑山隆則vs坂本博之も選べ!」と憤りました。


その怒りは「THE FIGHTER」を凌ぐ映画を日本が世界に送り出すまで胸の内にしまっておきます。

まー、でも、この映画、オープニングからグイグイ引き込まれる作品です。


第7位:「REAL STEEL(リアル・スティール)」(2011年)

「えーー?!正気か?」と、この選出を軽蔑する嘲笑が聞こえてきそうですが、この作品が7位なのです!断じて7位、それどころかもっと上にしたろか!、というくらいです。

監督はジョン・レヴィ。主役は「レ・ミゼラブル」(2012年)を控えてプライムタイムに突入するヒュー・ジャクソン。

いやあ、ヒューはいいですねぇ。ヒュー、ヒュー!

遥か大昔、高校時代に図書館で「Steel(四角い墓場)」というリチャード・マシソンのSF小説を見つけて読み始めたことがありました。

しかし、今も変わらぬ貧弱極まる英語力のために、途中で挫折。古いペーパーバックの表紙にはロボットのボクサーのイラストが…面白いオーラを存分に発散してくれてるのに、自分にはそれを受け止める能力がない…。

陸上競技の100m走で負けたような、「あそこでもう少し頑張ってたら」とか中長距離なら口にできる、そんなヌルい言い訳の効かない敗北感でした。

野球の試合でエラーするのは「いますぐ、もう一回やり直したら捕れる」と〝ドンマイ〟がいくらでも出来ますが、英語の小説で挫折するのは弁解できません。

何回読んでもわからないのですから。もっと勉強、武装して挑み直すしかないのですから。

「私が低脳だから」しかないです、もう自分にガッカリするだけです。

ずっと忘れていた、あの日の苦い思い出が、あの忌々しいSF小説が、まさか低脳の私でも理解出来るハリウッド映画になるとは!

そして、この作品も、また、やはり「敗れざる者」の物語でした。

さらに、モーションキャプチャを駆使したロボットの演技には、またもやシュガー・レイ・レナードが指導するという、ボクシングファンにとっては無視できない佳作です。

そして、子役のダコタ・ゴヨもいい味出してました。

いいボクシング映画です!



第6位:「The CHAMP (チャンプ)」(1979年)

フランコ・ゼフィレッヒ監督。ジョン・ヴォイド主演。デイブ・グルーシンの音楽はアカデミー賞にノミネート。

私が初めて劇場で観たボクシング映画です。それだけに思い入れは強いですねぇ。

父親が一人で行くことを許可してくれた小さな映画館。当時小学生の私にとって、映画館はこれ以上ない蠱惑的な秘密の場所でした。

いきなり大人にタイムスリップして、暗い座席から異次元の物語が紡がれる光のスクリーンを堪能できるのですから。

「俺たちに明日はない(Bonnie and Clyde)」でボニー役を演じたフェイ・ダナウェイの存在感はさすがの一言でしたが、この映画はやはり子役のリッキー・シュローダーの作品でした。

ダメな父親を「チャンプ」と慕うTJ役のシュローダーの健気さと、初々しさに、小さな体を沈めた大きな座席で泣いてしまったような記憶もあります。

ゴールデングローブの新人男優賞も受賞したシュローダーは、今48歳。「NYPDブルー」など大ヒットTVドラマに出演するなど「成功した子役は大成しない」というジンクスに抗って戦い続けているようです。

シュローダーもまた、チャンプを目指しているのでしょう。

そして、この秀作が実はリメイクだったと、私が知るのは随分と後のことになります。


 
🎬🎬🎬 ジョー・ルイス、シュガー・レイ・ロビンソン、モハメド・アリ、シュガー・レイ・レナード…ボクシングの歴史にスーパースターは事欠きません。

しかし、ことボクシング映画となると、スーパースターを主役にした作品のなんと少ないことか。映画で主役に抜擢されるのは、現実のリングでは脇役を演じたボクサーばかりです。

「モハメド・アリはスーパースターにして、最も映画や小説、歌謡曲、あらゆる文化でも主題になっているじゃないか!」という反論は、無益で的外れです。

なぜなら、アリはスーパースターではないからです。そんな小さな枠組みに嵌め込める人物ではありません。

神と悪魔の間を往来したモハメド・アリこそ、現実世界で最も異端、つまり脇役だったのですから。