カテゴリ: ドーピング

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プロボクシングも統轄するネバダ州体育協会( NSAC)は3月24日、薬物検査で連続して禁止薬物が検出されたカネロ・アルバレスのライセンスを暫定的に停止すると発表しました。

この暫定処置が、5月5日時点で取り下げられなければゲンナディ・ゴロフキンとの世紀の再戦は中止となります。

VADAが行った2月17日と20日のランダムテストで、メキシコ人の体内から検出されたのは、クレンブテロール。筋肉増強剤の一種で、脂肪を燃やしやすくする働きがあるといいます。
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この肉体も汚らわしい筋肉増強剤によって造られたとしたら、悲しすぎます。テカテは日本ではあまり見かけませんが、米国でビッグファイトの多くをスポンサード、パッキャオ戦などメガファイトになると、対戦相手もプリントしたパッケージがPPV購入世帯に贈られます。「村田諒太vsゲンナディ・ゴロフキン」の特別パッケージが、日本中のコンビニで並べられたりしたら素晴らしいですね。最終的には日本が「本場」の軽量級の注目マッチもそうなって、一般の生活者の目に普通に届けば、最高です。

4月10日にラスベガスで聴問会が開かれる予定で、NSACのボブ・バーネット担当役員は「故意かどうかは関係なく、禁止薬物が2度も検出された。なぜそういう結果が起きたのか、カネロ・アルバレスは聴問会で説明しなければならない」と出頭を命じています。

There’s a storm cloud hanging over the rematch between Canelo Alvarez and Gennady Golovkin.
カネロ対ゴロフキンの再戦の雲行きがにわかに怪しくなってきた。〜リング誌

ゴロフキン陣営は「4月10日の聴問会がどういう結果になろうが、5月5日の試合に向けて練習を続けている」(トム・ロフラー:ゴロフキンのトレーナー)。

“Nothing is going to change on his side. Golovkin is still training.”
(NSACの決定には)ゴロフキンに出来ることは何もない。彼に出来ることは、カネロ戦に向けてトレーニングを続けることだけだ。

この再戦は、年齢的な伸びしろの大きい「カネロ有利」という見方もありましたが、卑劣なドーピング事件(この表現は過度ではないでしょう)を経て、ゴロフキンへの思い入れが世界中のボクシングファンに加速したように感じます。

スポーツ最大の魅力の一つは「舞台に立てば平等」だということです。

政治的な力学が横行するボクシングですら、それはリングの外だけの話です。リングインした瞬間から、人気や報酬やオッズや実績や、そんな瑣末なことはすべて霧散してしまい、1対1で戦うだけです。

そのスポーツの根源を冒涜、愚弄する行為がドーピングをはじめとするCheat、平等を揺るがす不当な力を手に入れる悪魔の行為です。

そんなスポーツマンにあるまじき、悪魔に魂を売った9人の汚辱のストーリーを紹介します。
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ショッキングなニュースが飛び込んできました。

山中慎介をTKOして、新王者に就いたルイス・ネリが、VADA(ボランティア・アンチ・ドーピング協会)が行ったドーピング検査で陽性反応を示したというのです。

検出された違反薬物は、家畜の肉質を良くするジルバテコルで、脂肪を落とし筋肉を付ける効果がある薬物、筋肉増強剤の一つです。ネリ陣営は「故意ではない。食事で摂った牛肉の中に成分が含まれていたようだ」と主張していますが、ドーピングは故意かどうかの問題ではありません。

「故意じゃなかった」「違反物質だとは知らなかった」なんて言い訳は、ドーピング問題に関しては一切通じません。タイトル剥奪はもちろん、1年以上のライセンス停止など厳格なペナルティを速やかに課さなければなりません。


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【「YOU USE YOU LOSE」(ドーピングをした時点で、あなたは敗者でしかない)。ドーピング検査をVADAに委託してWBCは「クリーン・ボクシング・プログラム」を展開しています。今回の事件は、このプログラムが正常に作動するのかどうかのリトマス紙です。】

今月、ロンドンで開催された世界陸上100mで優勝したジャスティン・ガトリンは、かつてドーピング検査で陽性反応を示したことで4年間(当初は8年間!)の出場停止処分を受け、当時持っていた9秒77の世界タイ記録も抹消されました。ドーピングは、ファンとライバルを欺く、スポーツの世界で最も侮蔑すべき犯罪行為ですから当然の処分です。

ところが、ボクシングの世界は、この問題でも狂っています。ビッグファイトではシェーン・モズリーが、オスカー・デラホーヤとのリマッチで、ステロイドを使用してリングに上がったことを認めましたが、この試合はモズリー勝利のまま抹消されていません。

粟生隆寛に圧勝したレイムンド・ベルトランは、体重超過だけでなく、血液検査でスタノロゾールが検出。報酬の30%の罰金、試合は無効となりましたが、出場停止は、わずか9ヶ月、ありえない大甘処分でした。

今年になって、2008年北京五輪の陸上男子400mリレーで見事に銅メダルを獲得した日本チームは、ジャマイカチームのドーピングにより銀メダルに繰上げられました。しかし、アンカーを走った朝原宣治は「あのときの感動はそのままの形(3位銅メダル)で残っている。今更、繰上げで評価されても違和感しかない。悲しい」とコメントしています。

タイトルを失ったデラホーヤ、粟生も、そして山中も同じ気持ちでしょう。

今更、どんな処罰がくだされても、リングの上で敗れた事実は変わりません。

どうして、正々堂々戦ってくれなかったのか…。そこを踏み外してしまうなら、もはやそれはスポーツとは呼べません。

一方で、スポーツに限らず、欧米には「セカンドチャンスは与えるべき」という考え方が、根強くあります。多くのメジャースポーツを巻き込んだ、世界最大のドーピング事件「バルコ・スキャンダル」の張本人、ビクター・コンテは司法取引がなされたという背景があったにせよ、あろうことかわずか懲役4ヶ月で放免されました。そして、ノニト・ドネアら有名選手の栄養アドバイザーを務めています。

日本なら事実上の永久追放、有名選手はそんな栄養アドバイザーには近寄りもしないでしょう。

もちろん、日本でもセカンドチャンスは与えなければなりません。例えば、永久追放の感のある清原和博にも、しかるべき禊が済めば、それは当然与えられるべきです。

そして、ボクシングにおけるドーピングは、陸上競技や野球と違い、ファンとライバルを欺く卑怯な犯罪行為というだけでは済まない、ということも忘れてはなりません。

この過酷で危険なスポーツにおけるドーピングは、相手に致命的なダメージを不当に与える、重大で凶悪な犯罪です。それなのに、体重超過に筋肉増強した卑劣なメキシコ人に傷つけられた粟生は泣き寝入りするしかないなんて、正気の沙汰ではありません、そんなのスポーツではありません。

ドーピング同様、アントニオ・マルガリートらグローブに異物を混入させる危険な行為も、重大な犯罪です。あんな危険で卑劣なことをした選手でも、その出場停止処分はわずか1年でした。しかも、その1年の処分明けにはマニー・パッキャオとのメガファイトが用意されるという、セカンドチャンスにしては、あまりにも不当に華美すぎる舞台が与えられるのです。

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【マルガリートは、乾くと固まる石膏のような物質をバンテージに染み込ませていました。「全てはトレーナーが仕込んだこと。私は何も知らなかった」と弁明したマルガリートでしたが、「セカンドチャンスは与えるべき」と擁護したパッキャオでも「バンテージが硬く固まる感触がわからないボクサーは絶対にいない」。ミゲール・コットとの一戦でも、マルガリートはハンドラップしていたと考えるのが普通ですが、この試合も無効試合にはなっていません。】

今回のネリの件も、愚直に誠実にリングで戦った山中を、卑劣な手段で危険に晒し、タイトルを掠め取ったのですから、罰金、試合の無効、長期の出場停止、厳重な処罰が絶対に必要です。

もし、今回も「勝ちは勝ち」という、大甘の処分で試合が無効にならないとしたら、このスポーツはやはり死んでいます。

世界的な統括団体が無くて、階級は17まで膨れ上がり、我田引水しか考えない承認団体が大手だけで4つも乱立して、同じ階級で王者を増殖させて、インチキランキングを堂々と発表する…私が嘆いてきたそんな問題はドーピングに比べたら、もうどうでもいいほど瑣末で、軽微なものです。

本来なら、競技の性質上、ボクシングはドーピングに最も厳しいスポーツであるべきなのに、あろうことか陸上競技や野球よりもはるかに緩いのです。

バリー・ボンズや、マーク・マグワイア、サミー・ソーサは、あれだけの実績を残しても殿堂入りは阻まれています。しかし、先日引退発表したモズリーは、資格発生の5年後に一発殿堂入りを果たすことが確実視されています。

陽性反応を示したボクサーには、陸上選手が驚くほどの厳罰が下されるべきです。ドーピングは絶対に、絶対に、絶対に許してはいけません。

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