8年前、2018年。

没落一方のボクシング界を救うかもしれないと期待された「フロイド・メイウェザーvsマニー・パッキャオ」が世紀の凡戦に終わったあの2015年から、まだ3年しか経っていない2018年。

極度の販売不振に苦しむリング誌は月刊体制が崩壊、ページ数は激減していたあの頃。ボクシングの凋落は引き続きなのに、興行規模なら「メイウェザーvsパッキャオ」を軽く超えるメガファイトに大きな期待が膨らんでいました。

スクリーンショット 2026-04-05 15.44.42


ロンドン五輪金メダリストからプロ転向、WBA /IBF /WBO /IBOのヘビー級タイトルを束ねたアンソニー・ジョシュアは、英国でボクシングの枠を超えたスーパースターになっていました。

そして、ボクシングが完全マイナースポーツに転落して何十年もの歳月が積み重なった米国ではデオンティ・ワイルダーがWBCのストラップを強打で守り続け、マニアを熱狂させていました。

このとき、ジョシュアは22戦全勝21KO無敗。ワイルダーは40戦全勝39KO無敗。

しかし、当時はテレビ局とプロモーターの連合がスター選手を囲い込み、ファンが熱望するメガファイトの実現にはいくつもの障害を乗り越えなければなりませんでした。

しかも、ジョシュアはエディー・ハーン、ワイルダーはアル・ヘイモンという最悪の組み合わせのマネジメント。

ワイルダーは2018年12月1日のタイソン・フューリーとの初戦こそ分の良いドローを演じましたが、レコードに傷が付いてしまいます。

ジョシュアも2019年6月1日、米国への顔見せイベントで代役のアンディ・ルイスにまさかの7ラウンドKO負け。

ワイルダーはフューリーとの再戦、そしてラバーマッチで無惨なKO負けを喫してしまいます。ジョシュアもオレクサンデル・ウシクの技巧に2連敗。両者の対決は「ヘビー級最強決戦」という〝最低ライン〟からも逸脱、メディアやファンの関心は一気に冷え込んでしまいました。

それでも、ジョシュアはフューリーが大恥を晒したフランシス・ガヌーを何もさせずに粉砕、ボクシング界に茶番劇を持ち込んだ〝A級戦犯〟ジェイク・ポールにも容赦ない懲罰を与えました。

この2試合の合間にダニエル・デュボアにしっかりKOされる〝ジョシュアらしさ〟も見せながらも、最強の看板無しでも輝く魅力を取り戻しています。

そして、日本時間きょうの早朝、ワイルダーがジョシュアの母国で悪漢デレク・チゾラと激闘を繰り広げて番狂せを起こします。

両者の激突は完全に旬を失い、最低ラインも割り込んでしまいました。


ーーーそれでも、かつてあれほど渇望されながら、完全に輝きを失ったと思われた2人のキャリアに、最強とは違う色彩が加わろうとしています。