サッカー女子、日本代表が北朝鮮を下して、パリ五輪出場を決めました。

キャプテンの熊谷紗希の「ほっとした」という言葉が全て、です。

五輪出場を逃すと女子サッカーはますます盛り上がりに欠けてしまう、大きな危機感を胸に抱いて挑んだ大一番でした。

内田篤人は北朝鮮について「もっと荒れるかと思ったが、フェアプレーに徹してくれた」と、予想外だったと語りました。

初戦を0-0の引き分け、アウエーに乗り込んで来る北朝鮮。私も全く同じ予想をしていました。

長谷川唯があからさまなファールを仕掛けられて何度も倒され、スタンドにブーイングが吹き荒れる、後味の悪い試合…。

全く失礼な予想でした。

戦前、リ・ユイル監督は警戒する選手と聞かれて「長谷川」と即答、嫌な予感がしました。

しかし、彼らは正々堂々と日本の司令塔を封じ込めてみせました。

リ監督は「こんなに応援してもらったのに、良い結果をもたらすことができず、大変申し訳ない気持ちでいっぱい」と泣きました。

あの戦いぶりに、謝る必要なんてどこにもありません。

北朝鮮チームはホームで戦えず、サウジアラビアと日本という過酷な2連戦を、堂々と戦い抜いたのです。

その姿からは、不屈の精神がビンビン伝わって来ました。

惜しいシュート、不運な判定もありました。

昨夜の山下杏也加が「1ミリ」だったかどうかは別にして、三笘はVARで事実が確認され、山下は人間の審判に救われました。

五輪切符を賭けた大勝負。VARを導入しない理由が、コスト面や急転直下で決まった試合日程なのだとしたら、悲し過ぎます。

それにしても、彼らの威風堂々の戦いぶりを強烈に後押ししたのは、アウエーのスタンドに駆けつけた在日北朝鮮人を中心とした大観衆だったように感じました。

はっきり言って、在日の人(朝鮮でも韓国でも)、彼らにとって日本は住みにくい〝母国〟です。

彼らにはなんの責任もないのに、偏見や差別を受けたことは何度もあるでしょう。

昨夜、国立競技場に響いた北朝鮮応援団の轟きは、私たちがなでしこやサムライブルーを応援するときには配合されない複雑な悲哀が帯びているようにも聞こえました。

残念なことに、北朝鮮ではあの誇り高い敗北をしっかり報じていないようです。

彼女たちが、世界4位の経済大国を向こうに回して堂々と戦ったことを、きちんと報道して欲しかった。

打倒・日本へ向けてサッカーファンも一体となって、もっと強くなった彼女たちと再び激突したいと思える、闘争心溢れる良いチームでした。

彼女たちが強くなることは、きっと必ず、なでしこをさらに研ぎ澄ませてくれるはずです。

ここまで書いて、少し不安になりました。あの国にサッカーファンはいるのでしょうか?

北朝鮮の選手たちは母国で「日本なんかに負けるな」と、試合や練習で応援を受けていたのでしょうか?



私たちがなでしこやサムライブルー、大谷翔平らを応援するような純度100%のスポーツを、彼らも、いつの日かなんてじゃなく、一日も早く楽しめる日が訪れますように。