明治維新を進めた日本が脱亜入欧を目指したのは、国家として生き残るためという大命題があったからでしたが、そこにもう一つ、欧米への単純な憧れがあったことも否定出来ません。

サウジアラビアやアラブ首長国連邦などには「国家としての生き残り」という喫緊のミッションはないものの、欧米に向けての〝国威発揚〟という承認欲求を抱えているように見えます。

文字通り、〝カネ(石油)なら地中からいくらでも湧いてくる〟彼らの承認欲求を最も満たしてくれるのは五輪招致ですが、五輪を開催するにはアラビア半島は暑すぎます。

それでも五輪に次ぐ欧米の視界に真正面に映るメガイベント、サッカーW杯はカタールが2022年に開催、サウジも2034年の招致に成功しました。

かつて、ザイールのモブツ大統領やフィリピンのマルコス大統領らが国威発揚と欧米への承認欲求から、モハメド・アリのメガファイトを自国に招致した構図と同じです。

彼らが承認欲求を満たす究極である五輪、キンシャサ五輪や、マニラ五輪を開催したかったのは間違いありません。


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これは、イエメン王朝などの湾岸諸国がナジーム・ハメドの米国進出を巨額のオイルマネーで後押ししたこととは、少し色合いが異なります。

ハメドは、西岡利晃や井上尚弥をラスベガスの舞台に送り込んだケースの超拡張版で、国威発揚や欧米への承認欲求よりも「俺たちのヒーローをバックアップする」のが目的でした。

一方で、今回のヘビー級ウォーズは、サウジアラビア・リディアを舞台にボクシング界で最も注目度の高いヘビー級のトップ選手、つまりは外国人選手を招聘して世界のボクシングメディアとファンの興味・関心を焚きつけるのが目的。

サウジやザイール、キンシャサと、ハメドとの共通点があるとしたら「採算度外視、ビジネスではない」ということです。

そりゃ、MGMグループが「彼らと招致合戦はしない」と白旗を揚げるのも無理はありません。



ハメド型の援助メガファイトから国威発揚に利用されたメガファイトまで、ビジネスを度外視したメガファイトには「独裁者」の別の意図が込められていました。

サウジの〝国威発揚〟は、かつてのモブツ大統領やマルコス大統領とは少しだけ色合いが違います。

サウジの国民は指導者に大きいな不満を募らせているわけではないのです。

それでは、なぜ?