今週は月曜日に開催されたIOC総会で、ロス五輪のボクシング採用がサスペンデッド。五輪種目から外れると、世界中のアマチュアボクシングの熱も競技人口も一気に冷え込むでしょう。

そして、今日水曜日には、ショータイムが今年いっぱいでボクシングから完全撤退するというバッニュースが飛び込んできました。

どちらも降って湧いた話ではなく、かねてから噂されていたものです。驚くことではないとはいえ、やはり失望感は小さくありません。

2018年のHBOに続き、ショータイムも…。ボクシング放送のリーディングカンパニーだったHBOが匙を投げたのに、ショータイムはそのあと5年間もよく踏ん張ったといえます。

これで、米国では定期番組を待つ2大プラットフォームがボクシングから完全に手を引いたことになりました。



Monday 10, March 1986
Caesars Palace, Outdoor Arena, Las Vegas, Nevada, USA
commission:Nevada Athletic Commission
promoter:Bob Arum/inspector:Harold Buck
 media:USA Showtime

1986年3月10日。ラスベガス、シーザースパレス屋外特設リング。ショータイムはこの日から37年間、世界のボクシングを提供し続けてくれました。

私が初めてショータイムを知ったのは、まさにこのプレミアムケーブルが鳴物入りでボクシング産業に参入してきた1986年のことでした。

まだ、世界のボクシングに興味を持ち始めて5年やそこらでしたが、アメリカのボクシングの世界がとにかく面白くて、学校図書館でスポーツイラストレイテッド誌やリング誌を貪り読んでいた時期でした。

HBOがボクシング番組をスタートした1973年(ジョージ・フォアマンvsジョー・フレイジャー)は知る由もない私にとって、〝誕生〟を知っているショータイムへの思い入れは特別でしたが…。

…あれから37年ですか。

…そして、この5年間で、日米ボクシング界に何が起きたかを振り返ると…。

米国でHBOとショータイム、そして日本でも地上波テレビが事実上のボクシング番組からの撤退。リング誌とボクシング・マガジンの廃刊。

メディアがテレビや紙媒体からネットに取って代わられるのは時代の流れ、ボクシングに限ったことではないのですが、ボクシングのケースは五輪競技から外れる可能性もあり、競技そのものが崖っぷちに立たされています。

そんなの今に限ったことじゃない、と言われるかもしれません。

確かに、ショータイムがボクシングに参戦した1986年当時も「ボクシングは衰退産業」と言われ、リング誌も経営不振に喘いでいました。

それでも、ウエルター級とミドル級を舞台に4KINGSたちが繰り広げたラウンドロビンは、日本の一般紙でも大きく取り上げられ、華やかで荘厳ですらありました。

しかし、1989年にリング誌は経営が行き詰まり、休刊。このとき、当時のレートで2億円でも買い手がつかなかったという、ボクマガの記事に「ボクシングもリング誌もこんなに面白いのに、米国ではダメなのか」と落胆したのを思い出します。

スポイラ誌でもボクシングに割くページはどんどん少なくなり、米国での窮状が生々しく伝わってきました。

私が夢中になった4KINGSの戦いは、米国ではクローズドサーキットでしか観ることができず、トップシーンの華やかさとは裏腹に、どんどんマニア化、ファン人口の先細りが進行していたのでした。

HBOとショータイムも、ボクシング番組を持っていたとはいえ、年間予算で賄えないメガファイトはクローズドサーキット、PPVでカバーしてきました。

トップスターの試合は気軽に観れないという、まともなスポーツでは本末転倒なことがボクシング界では、もう長い間、当たり前にまかり通り続けているのです。

日本ではネット配信がトップ選手のファイトマネーを支えるようになっていますが、その収支は間違いなく赤字。プロボクシングの興行は宣伝広告の一つの手段になっていますが、こんなことがいつまでも続くわけがありません。

「PPVの時代は終わった。手頃なサブスクでボクシングのメガファイトが見れる」とブチ上げたDAZNはその舌の根も乾かないうちにPPVに着手、定期視聴料も大幅に値上げしました。

日本でもアマプラやレミノなどが同じような道を辿るのは目に見えています。

その日が来たとき、再びテレビに戻ることが出来るでしょうか?

そして、もし。ボクシングがLA28で五輪種目から外されてしまうと、もう2度と五輪の舞台に戻れないかもしれません。