ニューヨークで活動する、この25歳のミドル級ボクサーのことを知っている人は数少ないだろう。

昨年プロデビューして、今週末(10月10日)にキャリア3試合目のリングに上がる4回戦ボクサーを知っている方がおかしな話だ。

ところが、彼は〝有名〟なのである。

彼の名前はFamous Willson。あだ名でもなんでもなく、Famousは父親が付けた彼のれっきとした戸籍上のファーストネーム。

「小さい頃はよくからかわれたから、この名前が嫌だった。でも、中学生になったらお気に入りになった。名前のように有名になってやると思えるようになたんだ」。

週末の試合はニューヨークのソニーホールで行われる。

なかなか試合が組めずにいたウィルソンにとって1年ぶりのリング。

「このままずっと試合ができないんじゃないか、そう思うこともあったけど、どんな時でも強くなければならない。逆境に立ち向かうのがスポーツだ」。


2019年ニューヨーク・ゴールデングローブ賞チャンピオンになったウィルソンは、アマチュアで約55試合を戦った後、パンデミックの最中にプロ転向を決断した。

12 歳でボクシングを始めた彼は、バスケットボールやフットボールなどの他のスポーツを優先して、最初の最初の公式戦は16 歳になったとき。 

ニューヨーク州バビロンにあるバビロン・ボクシングのケニヤッタ・ハリスの指導を受けているウィルソンは、ジム仲間のホープ、ドンテ・レインとはバチバチのスパーリングを繰り広げている。

レインの他にも有望な若手がジムには溢れている。ニューヨークでは、ミドル級の練習相手に困ることはない。

しかし、ウィルソンには絶対に忘れられない練習相手が1人いる。正確には「いる」ではなく「いた」だ。


2019年にリング禍で亡くなったジュニアミドル級のパトリック・デイだ。

2人は白熱したスパーリングを繰り返し、技術を磨いてきた。ウィルソンにとって、デイは練習相手というだけでなくリングの中でも外でも頼りになる相談相手だった。

「激しいスパーリングで友情が揺らぎそうになることもあったけど(笑い)、彼は本当にいい男で、だから私はパトリック・デイを心から愛しているんだ」。

〝有名な〟ウィルソンはニューヨークのボクシング界で名声を少しずつ積み上げるはずだ。

「世界チャンピオンになって大金を稼ぎたい。私の実力を疑っている人全員に私がここにいるぞと、見せたいんだ」とウィルソンは将来の夢を語っています。



村田諒太のスパーリングパートナーでもあったデイ。村田も「ナイスガイ」と何度も語っていましたが、きっと誰からも愛されていたのでしょう…いや、過去形で語るのは間違っていますね。