日本のスポーツシーンにおいて、究極の目標は「打倒アメリカ」です。

栗山英樹が掲げた「アメリカをぶっ倒して優勝する」という言葉に秘められた思いは、野球に限ったことではありません。

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沢木耕太郎が「あれ以上の物語はないかもしれない」と語った〝大谷翔平のWBC。

しかし、その物語は日本人限定色が極めて濃いものでした。


もちろん、国境を超えて、ナショナリズムも超えても大きな乖離のない同質の共感など滅多やたらにありません。

モハメド・アリにインスパイアされた沢木は、70年代のヘビー級を最上級とするボクシングファンです。

彼の代表作「深夜特急」はデリーからロンドンまで乗合バスで旅をする物語ですが、その途上でアリとフォアマンの酷い画像の衛星放送を目にします。


キンシャサの奇跡(The Rumble in The Jungle)の物語は、アフリカ人やアメリカ黒人だけでなく、国境を超えたスポーツファンを魅了した物語でした。

しかも、1974年にキンシャサで敗れたジョージ・フォアマンがそのときのトランクスを履いて、1994年に世界王者に返り咲くという、20年に渡る「あれ以上はない」という物語でした。

多くの人がアリの反骨が見事に帰結したと感動したキンシャサの奇跡。しかし、フォアマンの中だけでは何も終わっちゃいなかったのです。



黒人でもなければアメリカ人でもない、ヘビー級の国内ランキングすら事実上存在しない日本でも、The Rumble in The Jungle はキンシャサの奇跡と意訳され、今でもその言葉を知っているという人が多いかもしれません。

しかし、国境が大洋である隔離された世界の日本で〝The Rumble in The Jungle〟など再現できるのでしょうか?

もちろん、サムライブルーがW杯決勝でブラジルを撃破して優勝したなら、その熱狂は大谷のWBCをはるかに超えるでしょうが、そこにどれほどの物語があるのか、大洋を越えた物語にどこまでなりうるのかはわかりません。




「あれ以上の物語があるとしたら、ボクシング」…。

「The Yellow Monkey Orchestra〜The Long&Winding ,Yellow Road〜長く険しい道のりを超えて行け!」のお話に合流しそうです。