忖度なしにモノを言う人は、どこにでもいます。 WOWOWエキサイトマッチ、年末の特番で村田諒太は「ガーボンタ・デービスはあんなに小さいのにどうしてライト級で戦えるのか?」と言う質問に答える形で「そこまでリスクを冒しても、ライト級ならお金になると言うことですよ」「レベルの低い下の階級で圧倒的に勝ってもお金も注目も集まらないからですよ」と、本来ならもっと下の階級で戦えるのに「金と注目」のために重いクラスを選んだと話しました。

井上のジュニアフェザー級挑戦についても「4ポンドや2ポンドで階級が変わるって言うのがよくわからないんです」と、本音を漏らしてしまいました。

村田のリバウンドは分母が大きいにも関わらず井上よりも小さく、より弱い相手と戦うための過酷な減量と激しいリバウンドが当たり前の軽量級に対する疑問は以前から膨らんでいたのでしょう。

いろんなしがらみがある人、例えば大橋ジムの大橋秀行会長では口にできないことです。

大橋会長が「(ラスベガスで)このまま防衛戦を重ねるとファイトマネーは天文学的数字になる」と、無知蒙昧な井上信者をますますミスリードする大嘘を吐き出したのも、そんな背景があります。

一方で、村田はタレント活動や解説など軽量級から離れた場所で安定した生計が立てられる稀有な〝関係者〟です。

昨日、箱根駅伝二連覇を逃した青山学院大学・長距離ブロック監督の原晋も、そんな忖度なしに真実を語る人です。 原もタレント活動や解説で、箱根駅伝だけに依存しなくても差し支えのない人です。さらに、当の箱根駅伝で最も人気のある青学を率いる、最も人気のある監督であり、忖度するのは関東学連をはじめ箱根駅伝の運営側です。 昨日、原は箱根の敗北の話から離れて長距離種目そのものの未来について、熱弁しました。 「少年たちはW杯を見てしまった。身体能力の高い子がサッカーに流れてしまう。極端な話、箱根駅伝がなくなったら、誰がこんなきつい長距離をやるのかと。五輪で戦える選手は出てこない」。 来年、第100回大会の記念として全国に門戸を開いて開催される箱根駅伝ですが、原は「100回大会だけじゃなく、毎年全国化すべき」と、明言。 その意見に、私も大筋で大賛成です。 箱根駅伝という関東学連主催のローカルの大会が、日本学生連盟主催の全日本学生駅伝が比較対象にもならないほどの注目度を集め続けているのです。 この逆転現象は「箱根駅伝」というブランドだけにとどまらず、レベル面にもはっきり表れるようになりました。 関東学連が主催する最大規模のイベントは箱根駅伝ですが、最重要は関東インカレです。 30年前、関東インカレ2部で走っていた私の時代は長距離種目でも関西インカレ一部よりもレベルはやや低かったのですが、今では関東1部も上回る不条理にも程がある錯乱の事態に陥っているのです。 関東の大学が認知度・イメージ向上のために〝箱根駅伝専門クラブ〟を立ち上げて、〝留学生〟という名の助っ人外国人をはじめ強力な長距離ランナーを続々と生み出しているからです。 そんな大学には陸上競技=トラック&フィールドはありません。トラックはロードを走る手段に過ぎず、フィールド種目は存在すらしません。 もちろん、アマチュアスポーツも人気のない種目は絶滅しても仕方がないのかもしれません。 室伏広治のような完璧に近いアスリートは絶滅危惧種、少なくとも関東では絶滅したと思われます。 原監督の意見で置き去りにされているのは、陸上競技全体への視線です。 また「箱根駅伝がなくなったら五輪で戦える選手は出てこない」というのも、間違っていると思います。 実際に箱根駅伝がここまでメジャーになる前と、現在を比べて「今の方が世界と戦えている」とは到底思えません。 ボクシングの場合も複雑です。 日本は「軽量級が人気がある」というのも、欧米の人気階級で勝負できないからという見方もできます。 もし、井上がウェルター級でUndisputed Championになっていれば、ホンモノのラスベガスでビッグネームを何人も打ち破って日本のボクシング界を別次元で熱狂させていたでしょう。 現在の報道は、そんな真実を意図的に避けているように思えます。 プロボクサーを目指す子供たちは、デービスのように人気階級を意識すべきです。 欧米で関心が払われない軽量級でPFP1位を目指す、という生き方も、身長153㎝の重岡銀次朗のようなファイターならもちろんありでしょう。 ただ、毎度毎度頬をコケさせ、ときには試合中に足が攣るほどの減量をしながら、より弱い相手を求めて自分も弱くなるのはどうなんでしょうか? 比嘉大吾のように過酷な減量から階級を上げて、かつてのパワーが減退してしまうケースも普通に見られます。 無理をしてでも、より弱い相手を求めて自分も弱体化する、過酷な減量に身を投じる方が良いようにも映ります。 しかし、私はそうは思えません。危険な橋を渡るから、見ている方は面白いし興味を募らせるのです。 世界的に注目されているのか?勝ったのは誰なのか? 「バンタム級で経済的に自立しているボクサーは、少なくとも英国にはいない」(ポール・バトラー)なんて聞いてしまうと、井上は職業として成立していない階級で、貧困なパートタイムボクサーを叩きのめしているという絵面が浮かび上がってしまいます。 「米国(などの中立国)でやるのが公平だけど、井上との試合は報酬を考えると日本でやる以外の選択肢はない。井上も米国ではリングサイドでも150ドル」(ノニト・ドネア)。 軽量級の日本人の世界戦のほとんどが、日本で行われる現状は経済原理を考えると仕方がありません。 大相撲や将棋のように、日本完結でも素晴らしい世界なんだと、正直に誠実に訴求していかなければなりません。 それには、大橋会長のような嘘八百は真実・事実を歪める行為で、馬鹿の誤解を助長させるだけ、言語道断です。 村田諒太や原晋のような忖度なしにモノを語ることが出来る人の言葉は、貴重です。