2021年12月31日:WBO世界ジュニアバンタム級12回戦
©井岡一翔vs福永亮次
始まるまでが長い。「エリートボクサーに立ち向かう大工ファイター」の絵面は地上波TVとしては当然でしょうが、あれだけ時間があるなら、世界軽量級最高のホットゾーンである115ポンドシーンに触れても良かったのでは?
それにしても、井岡に塗られた〝タトゥー隠し〟は不自然に目立ちすぎです。「悪法も法なり」で、それがルールなら「守るべき」ですが、現在の社会状況にそぐわないものなら「変えるべき」です。
清原和博のように、明らかに暴力団関係者との関わりの中で、暴力団と関係の深い彫師に施された刺青は、社会復帰するなら消さなければなりません。
しかし、反社会的勢力のマークではないタトゥーまでがんじがらめに厳格に規制するのは時代遅れです。
気を取り直して、AK−69の「Champion」は秀逸の入場曲でした。
Cause tonight I'm a champion, I′m a champion,And we're gonna take over the world.
試合内容は、井岡を特徴づける「相手に合わせるボクシング」が 存分に発揮された36分間でした。「相手に合わせるボクシング」は、大試合を控えた選手としては良い形で表現されましたが、ファン目線では欲求不満の残る展開でした。
ジャッジは118−110/116−112/115−113のユナニマス。どのスコアも「あり」の内容でした。
番組中でも10ポイントマストシステムを「イーブンのラウンドを作らず必ず10−9に振り分ける」と誤解されかねない説明がありましたが、もしかしたらアナウンサーや解説者もきっちり理解していないんじゃないか?というありえないはずの不安にも囚われてしまいました。
この10ポイントマストを「10−9マスト」と誤解してしまうと、おかしな判定が生まれてしまいます。
ジャッジはさすがに「10−10はあり」とわかっていますが、もちろん一度イーブンを付けてしまうとそれ以降に同じくらいかより拮抗したラウンドがあると全てイーブンとしなければいけない、という〝恐怖症〟に縛られてしまいます。
リング誌や英国ボクシングニューズ誌、ESPNなどの大手メディアも「論議を呼ぶ判定の最も大きな原因は、闇の巨大権力がカネロを贔屓している陰謀論などではなく、10−10を付けることを極端に恐れているから」と指摘していますが、素人考えでもなかなか10−10は付けにくいのはわかります。
ただ、ジャッジは素人ではありません。そして、10−10恐怖症は日本人ジャッジに特に顕著です。
今回のスコアをラウンドごとに見ると〝ユナニマス(三者一致)〟は福永は第3ラウンドの一つ、井岡の第4、第5、第7、第8ラウンドの四つで合わせて五つ。残りの七つのラウンドは判定が割れました。
この七つ全てが10−10であるべき、とは考えませんが、いくつかはイーブンであるべきでした。
昨夜のスコアをラウンド振り分けすると10−2(118−110)、8−4(116−112)、7−5(115−113)となります。
115−113は一つのラウンドが引っくり返るとドローという、最も僅差のスコアです。昨夜の試合がクロスゲームであったはずがありません。
「10−9マスト」の流れを加速したのは「最も付けにくいスコア」であるだけでなく、世界的には「シュガー・レイ・レナードvsロベルト・デュラン初戦」、それに加えて日本ではホセ・スライマンWBC前会長がJBCに「イーブンは二つのラウンド以下に収めるべき」と〝指導〟したことが原因と考えられています。
ボクシングの採点が議論を呼んでしまうのは「10−10恐怖症」だけが原因ではありませんが、そこにも大きな原因があるのは間違いありません。
さて、せっかくボクシングを地上波生中継してくれたTBSの悪口を言うのは本意ではないのですが、あまりにも目につくことが多すぎます。
そんな中から一つだけ「絶対ダメ」を挙げるなら、8ラウンド終了時にテロップまで出してアナウンスした「このままボクシング中継を延長してお送りします」。
これ、絶対おかしいでしょう。
もう一回気を取り直して、井岡には大一番への道が拓いています。
フィリピンのデイリーインクワイア紙が今週報じたところによると「ジェルウィン・アンカハスvs井岡の大勝負は、来年2月にアンカハスがフェルナンド・マルチネスとの防衛戦をクリアすることを条件に、3月にセットされる」。
マルチネスは26歳と遅いプロデビューから13戦全勝8KOのアルゼンティーナ。
ジョンリール・カシメロを苦しめ、アンカハスとも対戦経験のあるジョナス・サルタンを封じ込めたアゼンコシ・ドメズウェニをストップしたのが目立つくらいで、アンカハスにトラブルを与えるファイターではありません。
ただ、アンカハスの試合間隔が短いのは気がかりです。30歳のアルゼンティーナとの〝調整試合〟を無傷で圧勝してくれることを願っています。
そして、福永亮次 。大きな見せ場は作れなかったものの、健闘しました。
福永は「人生を変えるつもりで挑戦したが、変えられなかった」と語りましたが、そんなことはありません。
昨夜、初めてあなたを知った人も沢山いたでしょう。
「負けて良かった」なんてことは絶対にありませんが、大晦日に井岡一翔と大きな舞台で拳を交えたことは、きっと福永の人生の何かを変えたはずです。
井岡vsアンカハス、その先のファン・フランシスコ・エストラーダvsローマン・ゴンザレスの勝者との一戦では、証人の一人として解説者席に座るのも悪くないかもしれません。
何より、引退するしないに関わらずボクサーとしても、生涯続けるであろう枠型大工としても、大きなプラスになったはずです 。
福永は自分の人生を、確かに変えてみせました。
それにしても、井岡に塗られた〝タトゥー隠し〟は不自然に目立ちすぎです。「悪法も法なり」で、それがルールなら「守るべき」ですが、現在の社会状況にそぐわないものなら「変えるべき」です。
清原和博のように、明らかに暴力団関係者との関わりの中で、暴力団と関係の深い彫師に施された刺青は、社会復帰するなら消さなければなりません。
しかし、反社会的勢力のマークではないタトゥーまでがんじがらめに厳格に規制するのは時代遅れです。
気を取り直して、AK−69の「Champion」は秀逸の入場曲でした。
Cause tonight I'm a champion, I′m a champion,And we're gonna take over the world.
試合内容は、井岡を特徴づける「相手に合わせるボクシング」が 存分に発揮された36分間でした。「相手に合わせるボクシング」は、大試合を控えた選手としては良い形で表現されましたが、ファン目線では欲求不満の残る展開でした。
ジャッジは118−110/116−112/115−113のユナニマス。どのスコアも「あり」の内容でした。
番組中でも10ポイントマストシステムを「イーブンのラウンドを作らず必ず10−9に振り分ける」と誤解されかねない説明がありましたが、もしかしたらアナウンサーや解説者もきっちり理解していないんじゃないか?というありえないはずの不安にも囚われてしまいました。
この10ポイントマストを「10−9マスト」と誤解してしまうと、おかしな判定が生まれてしまいます。
ジャッジはさすがに「10−10はあり」とわかっていますが、もちろん一度イーブンを付けてしまうとそれ以降に同じくらいかより拮抗したラウンドがあると全てイーブンとしなければいけない、という〝恐怖症〟に縛られてしまいます。
リング誌や英国ボクシングニューズ誌、ESPNなどの大手メディアも「論議を呼ぶ判定の最も大きな原因は、闇の巨大権力がカネロを贔屓している陰謀論などではなく、10−10を付けることを極端に恐れているから」と指摘していますが、素人考えでもなかなか10−10は付けにくいのはわかります。
ただ、ジャッジは素人ではありません。そして、10−10恐怖症は日本人ジャッジに特に顕著です。
今回のスコアをラウンドごとに見ると〝ユナニマス(三者一致)〟は福永は第3ラウンドの一つ、井岡の第4、第5、第7、第8ラウンドの四つで合わせて五つ。残りの七つのラウンドは判定が割れました。
この七つ全てが10−10であるべき、とは考えませんが、いくつかはイーブンであるべきでした。
昨夜のスコアをラウンド振り分けすると10−2(118−110)、8−4(116−112)、7−5(115−113)となります。
115−113は一つのラウンドが引っくり返るとドローという、最も僅差のスコアです。昨夜の試合がクロスゲームであったはずがありません。
「10−9マスト」の流れを加速したのは「最も付けにくいスコア」であるだけでなく、世界的には「シュガー・レイ・レナードvsロベルト・デュラン初戦」、それに加えて日本ではホセ・スライマンWBC前会長がJBCに「イーブンは二つのラウンド以下に収めるべき」と〝指導〟したことが原因と考えられています。
ボクシングの採点が議論を呼んでしまうのは「10−10恐怖症」だけが原因ではありませんが、そこにも大きな原因があるのは間違いありません。
さて、せっかくボクシングを地上波生中継してくれたTBSの悪口を言うのは本意ではないのですが、あまりにも目につくことが多すぎます。
そんな中から一つだけ「絶対ダメ」を挙げるなら、8ラウンド終了時にテロップまで出してアナウンスした「このままボクシング中継を延長してお送りします」。
これ、絶対おかしいでしょう。
もう一回気を取り直して、井岡には大一番への道が拓いています。
フィリピンのデイリーインクワイア紙が今週報じたところによると「ジェルウィン・アンカハスvs井岡の大勝負は、来年2月にアンカハスがフェルナンド・マルチネスとの防衛戦をクリアすることを条件に、3月にセットされる」。
マルチネスは26歳と遅いプロデビューから13戦全勝8KOのアルゼンティーナ。
ジョンリール・カシメロを苦しめ、アンカハスとも対戦経験のあるジョナス・サルタンを封じ込めたアゼンコシ・ドメズウェニをストップしたのが目立つくらいで、アンカハスにトラブルを与えるファイターではありません。
ただ、アンカハスの試合間隔が短いのは気がかりです。30歳のアルゼンティーナとの〝調整試合〟を無傷で圧勝してくれることを願っています。
そして、福永亮次 。大きな見せ場は作れなかったものの、健闘しました。
福永は「人生を変えるつもりで挑戦したが、変えられなかった」と語りましたが、そんなことはありません。
昨夜、初めてあなたを知った人も沢山いたでしょう。
「負けて良かった」なんてことは絶対にありませんが、大晦日に井岡一翔と大きな舞台で拳を交えたことは、きっと福永の人生の何かを変えたはずです。
井岡vsアンカハス、その先のファン・フランシスコ・エストラーダvsローマン・ゴンザレスの勝者との一戦では、証人の一人として解説者席に座るのも悪くないかもしれません。
何より、引退するしないに関わらずボクサーとしても、生涯続けるであろう枠型大工としても、大きなプラスになったはずです 。
福永は自分の人生を、確かに変えてみせました。

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