ライバルがたくさんいるメジャーで野茂のようなド派手なインパクトを残せば、バンタム級以下でももりあがる可能性はあるかもしれませんが、問題はバンタム級以下にアメリカ人の強豪ボクサーやメキシカンボクサーが皆無に等しいでもりあがりにかけます。 
 
2020-05-13 17:30:03 返信編集 ななし 61.126.96.20

▶︎ななしさん=書きかけの記事をアップしてしまいごめんなさい。

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長谷川への誘いはモンティエル戦の前でした? モンティエルには誘いがなかった? 長谷川モンティエル戦とバンタム4の関係を掘り下げて欲しいです❗ 
 
2020-05-15 23:22:18 返信編集 山田 126.209.37.152



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ヘミングウェイは熱狂的なボクシグファンでした。もちろん、ボクシングをテーマにした物語も少なくありません。

「Fifty Grand(5万ドル)」も名作です。prize fighter(プロボクサー)という職業の一面をリアルに描いています。

この作品が収められた「Men Without Women(男だけの世界)」に、ロートルの闘牛士を主人公にした「The Undefeated(敗れざる者)」がありますが、どんなボクサーも一人残らず「敗れざる者」です。

ランス・アームストロングやタイガー・ウッズはもちろん、ロジャー・フェデラーやクリスティアーノ・ロナウドらでも何かしらの闇を抱えながら戦っているでしょう。

しかし、少なくとも彼らが生計を立てる職場は、公正なトーナメントと実力が支配する世界です。それに反する行為は厳しく罰せられます。

そこは、誰の目からも公正を欠くキャッチウェイトなど思いつきもしない純粋な世界です。

自らを弱体化させる減量にのたうち回る矛盾もなければ、腐敗した承認団体がいくつも跋扈する魔宮でもありません。

そして…二つの拳をいかに効果的に使って相手の急所を撃ち抜くか、それだけを訓練をされた「公園でやったら逮捕される」特異な職業がボクシングです。

相手の急所を狙って脳震盪を起こすことを目的としながらも、いざ対戦相手を死なせてしまうと「どうしてこんなことに」と泣き崩れるしかないのが、ボクシングです。

36分間で3億ドルを手に入れたフロイド・メイウェザーとマニー・パッキャオですら、挫折の深い谷底から這い上がって来たのです。

その谷の名前は「自分を正当に評価しない世界への苛立ち」や「極貧に喘ぐ母国の未来への不安」でしょうか。

そう考えると、彼らがその谷底から本当に脱け出せたのかどうかもわかりません。もしかすると、彼らが格闘しているのは這い上がることが出来る谷ではなく、底無し沼かもしれません。
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世界中を見渡しても相当に恵まれている日本の prize fighter も「何か」から抜け出そうと七転八倒してきました。

長谷川穂積もまた「敗れざる者たち」の一人です。

2006年のシーズンオフにポスティングシステムを使ってボストン・レッドソックスが5111万1111ドル11セントで独占交渉権を獲得した松坂大輔は6年5200万ドル(当時の為替で約60億円)の契約を結びました。

この年の長谷川はまだ千里馬神戸所属。ウィラポン・ナコンルンアンプロモーションから奪取したWBCバンタム級のストラップの防衛テープを3に伸ばしたところでしたが、すでに「日本のエース」と誰もが認める存在でした。

「ラスベガスでメガファイト」を公言していた長谷川の目に、松坂が眩しく映ったののは想像に難くありません。松坂は「一足お先に」と笑い、長谷川にサインボールを渡しました。

「条件さえ整えばいつでも」と〝世界進出〟を目指した長谷川でしたが、そもそもそんな「条件」など整う道理がありません。

真正ジムの山下正人会長が「恩義がある」とテレビカメラの前で発言したWBCから送り込まれる〝最強の刺客〟を次々にクリア。1試合3000万円以上のファイトマネーを手にするようになった長谷川は、ジュニアフェザー級以下の世界で最も報酬の高いボクサーでした。

そして、それが保証されるのは軽量級への尊敬と需要がある日本だから、の一点に尽きました。

松坂が夢(本人は「夢という言葉は嫌い」と語っていましたが)見たメジャーは、栄光と報酬が日本とは桁違いの世界です。そこで成功を収めたら、栄光とカネが両方手に出来るのです。

超高額報酬を手にしていながら、オリンピック出場に憧れ、金メダルを夢見るテニスプレーヤーは、そこにあるのが栄光だけでも、その大きさを知っています。

ところが…日本の軽量級ボクサーにとってラスベガスには栄光もカネもないのです。

この10年間で米国で行われた最も評価すべきジュニアフェザー級以下の超軽量級試合はノニト・ドネアvsフェルナンド・モンティエルの決戦でしょう。

その舞台は、井上のラスベガスデビューとなるはずだったMGM系列マンダレイベイ・イベンツセンター。
キャパ1万2000の大会場ですが上階席はすべて封鎖、ばら撒いた無料券も含めて4805人が入りましたがチケットは格安、ゲート収入は15万ドルに届きませんでした(日本経済新聞はこの試合をもとに「井上vsカシメロ戦」のゲート収入を日本人ツアーが高額チケットを買う効果で20〜30万ドルと試算していました)。

3階級制覇のメキシカンといっても評価・人気ともに低劣だったモンティエルと、外国人ドネアのバンタム級試合ですから、仕方がありません。

二人は初のHBOメインのリングに上がり、ドネアはキャリアハイを2倍以上更新、モンティエルも生涯2番目の報酬を得ました。

しかし…その金額は、ドネアで35万ドル。モンティエルは5000〜6000万円とも言われた長谷川戦の半分以下の25万ドルでした。

そして、視聴者数も予想通り伸びず、ボブ・アラムはのちに「(ゴールデンボーイ・プロモーションズとの綱引きで条件を引き上げてしまった)ドネアはモンティエル戦から不良債権のお荷物だった」と告白しています。

実質、トップランクをクビ(表向きは契約満了前に自由契約)にされた人気のないドネアは、Bサイドとしてアウエー転戦と低報酬を余儀なくされます。
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フィリピーノ・フラッシュが報われたのは、もちろん井上尚弥との激戦です。

報酬はもちろんのこと、初体験の1万人以上の大観衆を前にしてのメイン、米国ではありえない軽量級に注がれるリスペクトを満喫したはずです。

ジョンリール・カシメロをはじめ世界中の軽量級が「埼玉で戦いたい」と希求したのは、カネの匂いだけでなく「井上とドネアが入場したとき、ウェルター級のスーパースターを迎えるように観客が沸いた」という栄光の輝きに魅せられたからです。
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誰も靴を履いていない国に降り立ったセールスマンは「靴なんて売れるわけがない」ではなく「靴の巨大な潜在需要がある」と前向きに捉えるべき。 ーーー という有名でちょっと陳腐な〝営業マン研修〟話があります。

しかし、米国の軽量級は全く事情が違います。彼らは靴(軽量級)を知らないわけではなく、自分に合った靴を既に何世代にも渡って履き続けているのです。

しかも、マーケットはもう半世紀もの間、シュリンクしっぱなしの下り坂。 

日本人の軽量級は下駄です。物好きで履いてくれる人はいるかもしれません。それでも、そんな物好きですら、普段履きのスニーカーやオフィシャルの皮靴以上のカネは払いません。

品揃え(タレント)も貧弱で層も薄く、馴染みのない軽量級という「下駄」が米国で脚光を浴びるとしたら、①メキシカンの人気選手②そのライバルが複数存在、この2点が絶対条件です。

そして、メキシカンでない日本人なら、②に食い込むしかありません。

しかも、それが揃っても「マイケル・カルバハルvsウンベルト・ゴンザレス」「レオ・サンタクルスvsアブネル・マレス」という稀有なマッチアップでのみビッグファイトになります。

彼らは「単体の100万ドルファイター」ですらないのです。しかも、そのほぼ全てが事実上のメキシカン対決という絶望的な軽量級。

パッキャオやカール・フランプトンのようにメキシカンを倒すことで米国に人気と需要の種のようなものは芽生えますが、それでもフランプトンのような微妙な実力ではニーズは頭打ちです。

しかも、彼らメキシカンのビッグファイトのハードルですら報酬100万ドルと、人気階級と比べるとぐっと低くなります。

実は①②が揃ったとしても、単体で100万ドルファイターすら存在しないというのが米国軽量級の現実なのです。



松坂が実現したように米国には大きな夢がある。そのはずだ…しかし、待てども暮らせども長谷川のもとに「整った条件」のオファーは舞い込みません。

当たり前です。

より生活に溶け込んだ靴を履いている人々に、下駄を3000万円どころか、億で売れると考えていたのですから。

かつて、キックボクサーの魔裟斗も「ラスベガスでメガファイト」と公言していました。

「軽量級でラスベガス」もあれと全く同レベルです。「アメリカでビッグネームになってビッグマネーを掴む」と妄想するソフトボール選手のようなものです。

もちろん、マニー・パッキャオのようにマイナーなソフトボール=軽量級から、メジャーな野球=ウェルター級に乗り込んで大暴れするなら話は別です。

下駄を売るのではなく、より機能性とファッション性に優れたスニーカーや革靴を売る、それなら全く物語は違ってきます。

長谷川は、2009年に米国プレミアムケーブルのショウタイムから〝バンタム級最強決定トーナメント〟「Winner Take All」のオファーが来たとき、完全に事実を知ったでしょう。

決勝戦で用意される報酬が両者合わせて20万ドル…だったら1回戦の報酬はいくらだったのでしょうか?

WBSSは間違いなく「バンタム4」から学習していたはずです。

「正直に報酬を発表したら誰も注目しないし、そもそも選手が集まらない」と。

「ラスベガスにバンタム級のメガファイトなどありない」と思い知った長谷川にとって残された世界進出の道は「世界に行く」のではなく「世界を呼ぶ」ことでした。

当時のバンタム級シーンはIBFを争うヨニー・ペレス(ボクシグマガジンのインタビューで「長谷川?知らない、ごめんなさい」と告白していた正直なコロンビア人)、ジョゼフ・アグベコ(「優勝したら日本で長谷川と戦いたい」と希望)が「バンタム4」への参戦が決定。

IBFは長谷川のターゲットから外れます。

WBAは2008年にウラジミール・シドレンコを翻弄したアンセルモ〝ゴースト〟モレノ。

精力的にリングに上がり、6連続防衛を重ねていたパナマ人は「ショウタイムはオスカー・デラホーヤを気遣ってオファーしなかった」とメディアやファンから非難されます。

当時はアルファベット団体での防衛回数と鮮烈な勝ち方で長谷川が「バンタム最強」と見られていましたが、「モレノ最強」の意見も少なくありませでした。

モレノとゲンナディ・ゴロフキン、タイプは対照的ですが、GBPがアブネル・マレスとカネロ・アルバレスのために激突の引き延しを工作された、全盛期は破格の階級最強王者でした。

長谷川をプロモートしていた帝拳にとっても、当時のモレノは「触らぬ神に祟りなし」です。

しかし、そんな大人の事情を抜きにしても、WBOのモンティエルは最もスムースに試合が組めるアルファベット王者でした。

前の年の2009年12月18日、神戸で長谷川との対戦が決定していたエリック・モレノが過去に重大事件で逮捕歴があることから来日が難しい状況となったため試合がキャンセルになったことがありました。

このときのピンチヒッターで内定したのがモンティエルで、すでに交渉のパイプは開通していたのです。

2階級制覇したときの報酬が1万5000ドルしかなかった超不人気メキシカン、モンティエルに提示した報酬は5万ドルもなかったでしょう。

モンティエルは急なスケジュールの長谷川戦を回避し、WBOバンタム級王者になっても評価と人気は低いままで(試合内容が悪いので当然でしたが)、ショウタイムも「長谷川とドネアの補填を考えたが、バンタムに名前のある選手はいなかった」と眼中にありませんでした。

ちなみに「バンタム4」は長谷川とドネアを加えた6人トーナメントを構想していたとされますが「GBPによるマレスのためのトーナメント」に、10連続防衛ながら未知の強豪・長谷川、危険極まるフィリピーノ・フラッシュの参戦に本気で取り組んだのか、は疑問です。

実際にマレスは、長谷川への挑戦を「公平な判定が期待できない日本には行かない」と来日前提ですが1度は断っています。


もし、長谷川が半年前の〝最初の交渉〟でモンティエル戦が実現していたら?

それでも、結果は変わらなかったかもしれません。

しかし、リングサイドに座った亀田興毅が「ボクシングの会場がここまで緊張するなんて」という、あの日の武道館に充満していた重く堅い空気にはならなかったはずです。

また、あの舞台がラスベガスなら小さな会場か、あるいはほとんどの席が封鎖された大会場で、長谷川はもっとのびのび戦えたかもしれません。

長谷川や日本人軽量級にとって、ラスベガスにはカネもなければ、栄光も見当たりませんでした。とどのつまりは、夢もありませんでした。


最強を証明する一本道が見えないトップボクサーは「どうしたら実力を認めてもらえるか」に頭を悩ませてしまいます。

長谷川のように圧倒的な内容で10度も王者を守っても「強い相手と戦っていない」と言われるてしまうのです。


20勝投手に「強打者と対戦していない」とケチをつける人はいません。サッカーW杯の優勝国に強豪チームが番狂わせで負けたから幸運と揶揄する人もいません。

「どうしたら最強を証明できるのか」。

まともなスポーツなら選手が考える必要などないことに思い悩んだ挙句に、夢遊病者が幻覚する蜃気楼ように見えてしまうもの、それが「ラスベガス」だとしたら悲しい話です。

「PFPファイターならラスベガスでメガファイトが出来る」。

短絡的で無責任で、ありもしない蜃気楼を見せる報道は慎むべきです。ボクマガは随分、控えめになりましたが、ネットニュースではまだフェイクまがいの報道が目立ちます。

一時、「西岡利晃」で暴走してしまったWOWOWも先日の当の西岡の特集で印象的なやり取りがありました。

「いい試合をすると会場が盛り上がってくれて次のオファーが来る、認知されてることが実感出来る」という亀海喜寛の言葉を受けた司会者が「西岡さんの場合は?」と聞かれた西岡は「日本に帰ってきてから、こんなに報道してくれてたんだと」と現地では実感がなかったと告白。

司会者が「軽量級ですからね」と悪気なく返した一幕がありました。

そりゃそうです。何十試合、何百試合を観てもジュニアフェザー以下でマディソン・スクエア・ガーデンのアリーナや、ラスベガスの大会場がメインの試合はまずありません。

ロマチェンコvsリナレスのライト級統一戦ですらMSGの上階席を封鎖するしかありませんでした。

PPV歩合が膨らむ1000万ドルレベルの報酬となると、歴史上1試合もありません。フェザー級以下ではPPVメインも考えられません。

「〝黄金のバンタム〟でPPVで20億円」。

もちろん、それは敬虔な信者にとっては心地よい幻覚を見せてくれるお経かもしれませんが…。