世界評価の高い日本の絶対的エースが、圧倒的有利予想の中で対立王者との決戦に挑む。
IBF世界バンタム級王者エマヌエル・ロドリゲスvs井上尚弥(井上は世界的には王者と認められていないWBAセカンド王者ですが、今回はこのタイトルは井上が勝ったら防衛、負けたら空位とWBAから発表されています)。

嫌が応にも、8年前のあの日が苦い思いとともに蘇って来ます。
■WBC世界バンタム級王者・長谷川穂積vsWBO同級王者フェルナンド・モンティエル■
2010年4月30日、日本武道館は「ものすごい緊張感で異様な雰囲気」(亀田興毅)が充満していました。
8年前は東京、そして明日はスコットランド・グラスゴー。リングが組み上げられた場所こそ違え、日本のボクシングファンが固唾を飲んで見守る二つの〝団体統一戦〟(厳密な意味ではどちらも団体統一戦にはなりませんでした)。
あまりにも共通点が多すぎる、8年の時を隔てた二つの試合を比較考察していきます。
【共通点① 世界評価が非常に高い日本のエース】
世界評価で最もわかりやすい指標はPFPになります。
8年前の長谷川はボクシングシーンなどネットメディアで10傑入りはしていたものの、2大メディアの10位の壁は破れませんでした。
それでも、リング誌の年間100傑で12位につけるなど「モンティエル戦に勝利した時点で6〜7位に入るのは間違いない」(当時のナイジェル・コリンズ編集長)と〝予約済み〟でした。
実際に、長谷川戦で大番狂わせを起こしたモンティエルはリング誌で9位、ESPNでも10位に入っています。
もし、長谷川が勝っていればモンティエルよりも上の数字でランキングされていたのは疑いようがありません。あの試合は長谷川にとって「最終試験」だったのです。
一方、井上はリングとESPNともに7位とすでにPFPファイターの仲間入りを果たしています。
リング誌の階級評価ではジュニアフライ級でアドリアン・エルナンデス(4位)、ジュニアバンタム級でオマール・ナルバエス(1位)、河野公平(7位)、バンタム級でジェイミー・マクドネル(10位)、ファン・カルロス・パヤノ(9位)と〝本物の世界ランカー〟5人に対して圧勝の5勝0敗。
その実力が世界王者クラスであることに疑問を挟む余地はありません。
一方、長谷川もウィラポン・ナコンルンアンプロモーション(1位)からタイトル奪取、圧巻の内容で10連続防衛を果たし、シンピウェ・ベチェカ(10位)、ヴィシ・マリンガ(10位)の2人と、初戦のウィラポンを含めて3人の〝本物の世界ランカー〟と戦っています。
「井上は本物で長谷川は雑魚狩り」というのは本質が見えていません。
「強い相手としかやらない」と公言している井上も「強い奴が逃げた」と上記5人以外はしっかり雑魚挑戦者を狩っているのです。
現在のボクシング界の構造で雑魚狩りを一切しない王者など1人も存在しません。
チェリーピッカー(雑魚狩り)と批判されることがある長谷川と井上ですが、ではノニト・ドネアは強い相手ばかりと戦っていたのか?レオ・サンタクルスは雑魚狩りしないのか?と聞かれると誰もが答えに詰まるでしょう。
リング誌もESPNも「バンタム級1位」と評価した2人には、他の日本人ボクサーとは一線を画する「国内での期待」と「世界評価」の二つを背負うという共通点が確かにありました。
そして2人は、日本のボクシング界を担っている、自分の拳でボクシングを活性化させるという高潔な思いを胸に抱いていていたのです。
【共通点② 無責任な大本営発表】
日本ボクシングファンの期待のバブルは、世界評価を巧みに歪曲しながら〝大本営〟発表による布教活動を活発化してしまうーーーこれもまた2人に酷似しています。
「打たれ強さが試されていない」「クロスレンジのパンチ交換で防御に不安がある」という〝試されていない要素〟まで、今の井上とモンティエル前の長谷川は酷似していますが、都合の悪い報道はほとんど無視されてしまいます。
先日、ESPNがレポートした Naoya Inoue, the best pound-for-pound boxer you've probably never seen という記事は、タイトルの通り「井上は注目度の低い軽量級で戦うがゆえに無名だがPFPキングかもしれない」という趣旨が抜け落とされて訳されていました。
正確に翻訳することで初心者のファンにも「欧米でバンタム級は注目度が低いんだ。ウェルターかヘビーでないと巨額の報酬なんてありえないんだ」ということがすんなり伝わったはずですが…。
ウィラポンやナルバエスを「伝説の名王者」と呼称するのも、まともなボクシングファンなら笑い話ですが、知らない人にとっては「14度も防衛してるなんてまさしく伝説!」「二階級制覇でそれぞれ二桁防衛なんて伝説としか思えない!」と先走りする数字に踊らされるのは無理もありません。
長谷川と(現時点の)井上のベストファイトは、ともに「伝説の名王者」に完勝したことです。これも共通点です。
さらに、日本のメディアは歪曲報道を通り越して明らかなウソも垂れ流してきました。
モンティエル戦でリングアナウンサーをつとめたジミー・レノンJr.に「こんなメガファイトは一生に一度経験できるかどうか。ギャラは要らない。自腹で日本に行く」と言わせ、それを冗談ではなく本気でメディアが取り上げたのです。
試合を盛り上げるために対戦相手を過剰に持ち上げる、イベントの巨大さをウソを交えてメディアに流す…これはボブ・アラムもオスカー・デラホーヤも興行主なら誰でもやります。
問題は、それをそのまま垂れ流すメディアです。
これが高じて「西岡利晃のMGMメイン」が〝捏造〟されてしまうのです。
ナルバエス戦は「世界を震撼させた」と報じられましたが、リング誌では他の試合と同じ結果報告だけでした。
メディアは信者たちが求める記事やニュースを提供するために、事実を加工してきたのです。
本来なら「井上はラスベガスで巨額の報酬を稼げるスーパースターになれる」とありえない記事など捏造するなんてもってのほかです。
IBF世界バンタム級王者エマヌエル・ロドリゲスvs井上尚弥(井上は世界的には王者と認められていないWBAセカンド王者ですが、今回はこのタイトルは井上が勝ったら防衛、負けたら空位とWBAから発表されています)。

嫌が応にも、8年前のあの日が苦い思いとともに蘇って来ます。
■WBC世界バンタム級王者・長谷川穂積vsWBO同級王者フェルナンド・モンティエル■
2010年4月30日、日本武道館は「ものすごい緊張感で異様な雰囲気」(亀田興毅)が充満していました。
8年前は東京、そして明日はスコットランド・グラスゴー。リングが組み上げられた場所こそ違え、日本のボクシングファンが固唾を飲んで見守る二つの〝団体統一戦〟(厳密な意味ではどちらも団体統一戦にはなりませんでした)。
あまりにも共通点が多すぎる、8年の時を隔てた二つの試合を比較考察していきます。
【共通点① 世界評価が非常に高い日本のエース】
世界評価で最もわかりやすい指標はPFPになります。
8年前の長谷川はボクシングシーンなどネットメディアで10傑入りはしていたものの、2大メディアの10位の壁は破れませんでした。
それでも、リング誌の年間100傑で12位につけるなど「モンティエル戦に勝利した時点で6〜7位に入るのは間違いない」(当時のナイジェル・コリンズ編集長)と〝予約済み〟でした。
実際に、長谷川戦で大番狂わせを起こしたモンティエルはリング誌で9位、ESPNでも10位に入っています。
もし、長谷川が勝っていればモンティエルよりも上の数字でランキングされていたのは疑いようがありません。あの試合は長谷川にとって「最終試験」だったのです。
一方、井上はリングとESPNともに7位とすでにPFPファイターの仲間入りを果たしています。
リング誌の階級評価ではジュニアフライ級でアドリアン・エルナンデス(4位)、ジュニアバンタム級でオマール・ナルバエス(1位)、河野公平(7位)、バンタム級でジェイミー・マクドネル(10位)、ファン・カルロス・パヤノ(9位)と〝本物の世界ランカー〟5人に対して圧勝の5勝0敗。
その実力が世界王者クラスであることに疑問を挟む余地はありません。
一方、長谷川もウィラポン・ナコンルンアンプロモーション(1位)からタイトル奪取、圧巻の内容で10連続防衛を果たし、シンピウェ・ベチェカ(10位)、ヴィシ・マリンガ(10位)の2人と、初戦のウィラポンを含めて3人の〝本物の世界ランカー〟と戦っています。
「井上は本物で長谷川は雑魚狩り」というのは本質が見えていません。
「強い相手としかやらない」と公言している井上も「強い奴が逃げた」と上記5人以外はしっかり雑魚挑戦者を狩っているのです。
現在のボクシング界の構造で雑魚狩りを一切しない王者など1人も存在しません。
チェリーピッカー(雑魚狩り)と批判されることがある長谷川と井上ですが、ではノニト・ドネアは強い相手ばかりと戦っていたのか?レオ・サンタクルスは雑魚狩りしないのか?と聞かれると誰もが答えに詰まるでしょう。
リング誌もESPNも「バンタム級1位」と評価した2人には、他の日本人ボクサーとは一線を画する「国内での期待」と「世界評価」の二つを背負うという共通点が確かにありました。
そして2人は、日本のボクシング界を担っている、自分の拳でボクシングを活性化させるという高潔な思いを胸に抱いていていたのです。
【共通点② 無責任な大本営発表】
日本ボクシングファンの期待のバブルは、世界評価を巧みに歪曲しながら〝大本営〟発表による布教活動を活発化してしまうーーーこれもまた2人に酷似しています。
「打たれ強さが試されていない」「クロスレンジのパンチ交換で防御に不安がある」という〝試されていない要素〟まで、今の井上とモンティエル前の長谷川は酷似していますが、都合の悪い報道はほとんど無視されてしまいます。
先日、ESPNがレポートした Naoya Inoue, the best pound-for-pound boxer you've probably never seen という記事は、タイトルの通り「井上は注目度の低い軽量級で戦うがゆえに無名だがPFPキングかもしれない」という趣旨が抜け落とされて訳されていました。
正確に翻訳することで初心者のファンにも「欧米でバンタム級は注目度が低いんだ。ウェルターかヘビーでないと巨額の報酬なんてありえないんだ」ということがすんなり伝わったはずですが…。
ウィラポンやナルバエスを「伝説の名王者」と呼称するのも、まともなボクシングファンなら笑い話ですが、知らない人にとっては「14度も防衛してるなんてまさしく伝説!」「二階級制覇でそれぞれ二桁防衛なんて伝説としか思えない!」と先走りする数字に踊らされるのは無理もありません。
長谷川と(現時点の)井上のベストファイトは、ともに「伝説の名王者」に完勝したことです。これも共通点です。
さらに、日本のメディアは歪曲報道を通り越して明らかなウソも垂れ流してきました。
モンティエル戦でリングアナウンサーをつとめたジミー・レノンJr.に「こんなメガファイトは一生に一度経験できるかどうか。ギャラは要らない。自腹で日本に行く」と言わせ、それを冗談ではなく本気でメディアが取り上げたのです。
試合を盛り上げるために対戦相手を過剰に持ち上げる、イベントの巨大さをウソを交えてメディアに流す…これはボブ・アラムもオスカー・デラホーヤも興行主なら誰でもやります。
問題は、それをそのまま垂れ流すメディアです。
これが高じて「西岡利晃のMGMメイン」が〝捏造〟されてしまうのです。
ナルバエス戦は「世界を震撼させた」と報じられましたが、リング誌では他の試合と同じ結果報告だけでした。
メディアは信者たちが求める記事やニュースを提供するために、事実を加工してきたのです。
本来なら「井上はラスベガスで巨額の報酬を稼げるスーパースターになれる」とありえない記事など捏造するなんてもってのほかです。
本物のスーパースターであるカネロ・アルバレスと井上は何が決定的に違うのか、ベガスでスターになるには何が必要不可欠なのかを正確に説明すべきなのですが、ウソでも信者が喜べば良しということでしょう。
【共通点③ 対立王者が直前試合でバタつく】
そして、対戦相手の過小評価も8年前と酷似しています。
ロドリゲスは直前の試合で、バンタム級バージョンの河野公平がキャリアで飛び抜けて強い相手だったジェイソン・マロニーにSDで辛勝、敗北でも全くおかしくない内容でした。
一方、直前ではないものの長谷川戦の7ヶ月前にモンティエルはアレハンドロ・バルデスとのノンタイトル戦で、ダウン欧州の末に一旦はバルデスの3ラウンドTKO勝利とアナウンスされる無様なドロー。
この1年前に、バルデスは長谷川に「これぞリバウンダー」というパワーを見せつけられて2ラウンドKOで粉砕されているだけに、すでに階級最弱王者の烙印を押されていたモンティエルの評価は地に堕ちました。
四団体王者にも関わらず、リング誌の評価は9位。典型的な穴王者と見られていました。
ロドリゲスを階級最弱と見る向きはないでしょうが、前の試合で無名相手にもたついたことで評価は下がっています。内容的にも、ずっと指摘されてきた決定力の欠如と、ワンパターンのボクシングで相手に慣れられるという弱点をあらためて曝け出してしまったのですから「やっぱり」という思いと「もしかしたらこいつは穴王者では」という疑念を抱かせてしまっているのです。
怪しいプエルトリカンは山中慎介が9ラウンドで仕留めたアルベルト・ゲバラとも手合わせしてますが、やはり仕留められず判定までもつれ込んでいます。
【共通点④ ルディ・エルナンデスの絶賛】
この〝世界的な名トレーナー〟が絶賛しているという点でも、長谷川と井上は共通しています。
国内メディアやファンの間では「日本歴代PFP1位」という声が上がっているのも、デジャヴのようです。
ルディはご存知 、ヘナロ・エルナンデスの弟で伊藤雅雪のチーフトレーナーです。
畑山隆則、石田順裕らを指導、バランスのとれたボクサーファイターを育ててきました。
「世界的な名トレーナー」と紹介されることもありますが、日本で評価の高いトレーナーです。
「長谷川はバンタム級歴代最高選手の1人」「井上尚弥がPFPキング」「帝拳のエドウィン・バレロならパッキャオを3分でKO出来る」…日本のボクシングファンにとってはありがたい御宣託を繰り返して頂いています。
もしスター選手を育成したり、大手メディアの解説陣に加わり、リング誌やESPNのPFPを決めるパネラーになって頂けると、井上のPFPランキングが跳ね上がるのですが…。
【共通点③ 対立王者が直前試合でバタつく】
そして、対戦相手の過小評価も8年前と酷似しています。
ロドリゲスは直前の試合で、バンタム級バージョンの河野公平がキャリアで飛び抜けて強い相手だったジェイソン・マロニーにSDで辛勝、敗北でも全くおかしくない内容でした。
一方、直前ではないものの長谷川戦の7ヶ月前にモンティエルはアレハンドロ・バルデスとのノンタイトル戦で、ダウン欧州の末に一旦はバルデスの3ラウンドTKO勝利とアナウンスされる無様なドロー。
この1年前に、バルデスは長谷川に「これぞリバウンダー」というパワーを見せつけられて2ラウンドKOで粉砕されているだけに、すでに階級最弱王者の烙印を押されていたモンティエルの評価は地に堕ちました。
四団体王者にも関わらず、リング誌の評価は9位。典型的な穴王者と見られていました。
ロドリゲスを階級最弱と見る向きはないでしょうが、前の試合で無名相手にもたついたことで評価は下がっています。内容的にも、ずっと指摘されてきた決定力の欠如と、ワンパターンのボクシングで相手に慣れられるという弱点をあらためて曝け出してしまったのですから「やっぱり」という思いと「もしかしたらこいつは穴王者では」という疑念を抱かせてしまっているのです。
怪しいプエルトリカンは山中慎介が9ラウンドで仕留めたアルベルト・ゲバラとも手合わせしてますが、やはり仕留められず判定までもつれ込んでいます。
良く言えば、まとまったボクサー。悪く言えばストロングポイントが全く見当たらない…現時点ではそれがカリブのマニーです。
しかし、アスリートの潜在能力を侮ってはいけません。
1999年灼熱のタイで体重超過の末にメッグン・3Kバッテリーに腹を抉られてカンバスに沈んだマニー・パッキャオ。彼が20年後に40歳を超えても熟練のテクニックでウェルター級の第一線で戦っていると、当時の誰が予想できたでしょうか。
八重樫東に粉砕されたシーサケット・ソールンビサイ。不器用なタイ人が8年後にPFPキングを倒して、PFPファイターにその名を連ねると、当時の後楽園ホールにタイムスリップして喧伝しても笑われるだけでしょう。
ロドリゲスも将来「井上戦の前は圧倒的不利予想でマロニー戦もグダグダだったのに、あの試合で覚醒した」と振り返られる日が来ないとは限りません…が!…それにしても悪い意味でまとまり過ぎ、荒削りなところがないんですよね。
【共通点④ ルディ・エルナンデスの絶賛】
この〝世界的な名トレーナー〟が絶賛しているという点でも、長谷川と井上は共通しています。
国内メディアやファンの間では「日本歴代PFP1位」という声が上がっているのも、デジャヴのようです。
ルディはご存知 、ヘナロ・エルナンデスの弟で伊藤雅雪のチーフトレーナーです。
畑山隆則、石田順裕らを指導、バランスのとれたボクサーファイターを育ててきました。
「世界的な名トレーナー」と紹介されることもありますが、日本で評価の高いトレーナーです。
「長谷川はバンタム級歴代最高選手の1人」「井上尚弥がPFPキング」「帝拳のエドウィン・バレロならパッキャオを3分でKO出来る」…日本のボクシングファンにとってはありがたい御宣託を繰り返して頂いています。
もしスター選手を育成したり、大手メディアの解説陣に加わり、リング誌やESPNのPFPを決めるパネラーになって頂けると、井上のPFPランキングが跳ね上がるのですが…。
コメント
コメント一覧 (6)
フシ穴の眼
が
しました
頑張れ井上尚弥!!!!!!!
フシ穴の眼
が
しました
違いを見せつけてくれるでしょう!
楽しみ過ぎて今日は寝れそうにないです!
フシ穴の眼
が
しました