アジアのボクシング史上で、最も偉大な勝利はどの試合か?

ジミー・ワイルドをニューヨークのポロ・グラウンズで下し、アジア初の世界王者となったパンチョ・ビラか?

1960年代PFP1位のエデル・ジョフレを2度撃破したファイティング原田か?

オスカー、デラホーヤを粉砕し「アジア=(欧米で全く人気がない)軽量級」という鉄条網を引きちぎったマニー・パッキャオか?

…正解のない問題ですが、ここにまた一つの〝正解候補〟が出現しました。




今年4月15日、敵地ロンドンでジョー・ジョイスを6ラウンドでストップ、WBOヘビー級の暫定王座に就いた張志磊(ヂャン・ヂレイ)です。

アマチュア時代に北京2008で銀メダル、世界選手権で金メダルを獲得、プロでも暫定ながら世界王者に…ここまでなら村田諒太の方が明らかに上ですが、張のクラスはヘビー級(アマではスーパーヘビー級)なのです。

世界的な評価基準から見ると、10階級に渡って8階級を制覇、アジアで唯1人ウエルター級を制したパッキャオと、WBO暫定王者になったばかりの張は比べる対象ではありません。

「WBO」「暫定王座」など、軽量級なら箸にも棒にもかからないストラップですが、それが「アジア」「無差別級」となると全く別の話になります。

アジア人が辿り着いた世界タイトルは、ストロー級からスーパーミドル級までの14階級のうち、パッキャオを例外にするとウエルター級が抜け落ちて13階級。

アジアにとって、ウエルター級の敷居が途轍もなく高い原因は、より重いジュニアミドル級、ミドル級、スーパーミドル級で世界に届いている事実からも、小さな体格がハードルになっているわけではありません。

ウエルター級は欧米の人気階級、スーパースターの根城であるため、レベルが高いと同時に、それゆえにそもそもアジアにチャンスが回って来ないという事情があります。

下手な鉄砲すら、めったに撃たせてもらえないのです。

スーパーミドルから上のライトヘビー、クルーザー、ヘビーの3階級になるとここに体格の問題も突きつけられてきます。

特に、ヘビー級ともなると体格も人気もアジアにとってあまりにも重すぎるのです。

ウエルター級よりも体格の問題が圧倒的に切実で、世界挑戦のチャンスはまず与えられない、それが世界ヘビー級です。

「アジア」という特殊なプリズムを通して見たとき、張のジョイス撃破は最も偉大な勝利なのでしょうか?

そして、今月23日、張はジョイスとのダイレクトリマッチのリングに上がります。